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「全国で動き出せば日本は変わる」約100名の議員が参加したLGBT自治体議連研修会

2017年07月28日 17時33分 JST | 更新 2017年07月28日 17時33分 JST

ゲイやトランスジェンダーであることをオープンにしている自治体議員を中心に、日本で初めて「LGBT自治体議員連盟」が7月6日に発足。

議連の最初の取り組みとして、LGBTについて学ぶ「LGBT自治体議員連盟2017 夏の勉強会」が27日、28日の2日間にわたって開催されました。

開催場所である豊島区役所には「学校で何ができるのか」「同性パートナーシップ制度はどう進めていったのか」と、全国から自治体議員をはじめ100人を超える方々が集まりました。

LGBT自治体議連の世話人の一人であり、自らもゲイであることをオープンにしている豊島区議会議員の石川大我さん

「私たちは歴史の重要なポイントに立っています。LGBTに関して、10年前までは『それは個人の問題だ』と言われて続けてきました」

「今日これだけの議員の皆様が集まっていただけているのが本当に感慨深いです。近い将来『かつて日本では男女しか結婚できなかったんだよ』と言うと子どもが驚く、そんな時代になることを目指してがんばりましょう」

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(研修会に参加した議員の方々:LGBT自治体議員連盟提供)

■同性カップルを家族として扱う流れは確実に進んできている

1日目は自治体のLGBT施策に関わった有識者からの講演が中心でした。

最初に講師を担当されたのは、今年6月にスタートした札幌のパートナーシップ制度に中心となって携わった明治大学の鈴木賢教授。

同性パートナーシップ制度は渋谷区と世田谷区から始まり、札幌も合わせて6つの自治体で施行されています。札幌市では7月の時点で23組のカップルが制度を利用しているそうです。

鈴木教授によると「札幌は世田谷区と同様、条例ではなく要綱に基づいて、カップルの宣誓書に対し受領証を発行する形で承認するという方式を採っています。違う点としては、戸籍上の性別にこだわらない、同性に限定しないという点。実際に利用者で戸籍の性別上は異性のカップルが1組いました。このカップルは制度上は婚姻が可能ですが、本人たちの性自認は"同性"なのでこの制度を利用したのです」「なので、私たちはこの制度を同性パートナーシップ制度ではなく『札幌パートナーシップ制度』と呼んでいます」

渋谷区、世田谷区の同性パートナーシップ制度の社会的なインパクトは大きく、いまや民間企業における従業員や顧客の同性カップルも家族として扱うという事例がとても増えてきました。

鈴木教授は異性カップルの事実婚と比較して「事実上、同性カップルを家族として扱う流れは進んできていて、これは世界的な動きであり不可逆です。もうスイッチは押されたのだと思います」

「今動かせるのは自治体と司法です。これだけたくさんの議員さんが来てくれたのは心強い、全国で動き出していただければ日本は変わると思っています」

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(鈴木賢教授:LGBT自治体議員連盟提供)

渋谷区・文京区の施策を紹介「人権の問題を真正面に据えてやっていけるのは公務員であり、議員です」

昨今の同性パートナーシップ制度の広がりのきっかけである渋谷区から、長谷部健区長、男女平等・ダイバーシティ推進担当課長の永田龍太郎さんも講師として登壇されました。

長谷部区長は当事者との出会いから、6年前のパートナーシップ証明書の構想、そして2年前の発行に至るまでのお話とその意義を紹介。

「ただ、パートナーシップ証明書は、パートナーがいる一部の人が幸せを享受できる仕組みのようになっています。大事なのは子どもたちが自分のセクシュアリティに悩まずに生きていけること」

担当課長の永田さんは、それに付随して「同性パートナーシップ条例という報道が多くありましたが、実際には『渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』という名前で、パートナーシップ証明書は性的少数者をサポートする施策のひとつなのです」とお話ししました。

「この条例は男女平等の柱に加えて性的少数者の柱を加えているものですが、この大きな二つの柱は別物ではなく、例えばレズビアンは女性であり同性愛者であるというように、両者は多様な性を尊重する地続きの課題であると感じています」

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(渋谷区 長谷部健区長:LGBT自治体議員連盟提供)

日本大学の鈴木秀洋准教授からは、自治体におけるジェンダー・人権施策の進め方についてお話しがありました。

元文京区男女協働・子ども家庭支援センター担当課長でもあった鈴木准教授を中心に進めていた「文京区男女平等参画推進条例」では、性的指向と性自認による差別禁止を明文化しています。

性的指向や性自認は「タバコやお酒などの『嗜好』とは違い、人格を形成する中核部分の問題である」ということを条例の基本的な考えの中に位置づけ、人権の問題として「真正面に据えてやっていくべき。それをできるのは公務員であり議員です」とお話ししました。

条例の法律との整合性や、制定までの戦略、条例制定後の具体的な取り組みについて、また文京区でやりたかったがやれなかったこと等を詳しく伺うことができました。

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(鈴木秀洋準教授:LGBT自治体議員連盟提供)

1日目だけで、既にものすごい情報量でしたが、2日目は豊島区、文京区、世田谷区、中野区の担当課長や当事者議員、地域で活動している当事者団体から各自治体での取り組みの説明がありました。

「同性パートナーシップ制度」が自治体の施策として注目を集めやすいところですが、どの自治体も多様性を受容する基本方針等を策定し、行政や教育に関わる職員や区民向けの研修、相談窓口の設置やコミュニティ運営など多岐にわたる施策を実施しています。

研修会では座学だけでなく、実際に新宿二丁目にあるHIVをはじめとするセクシュアルヘルスに関する情報センター、フリースペースの「akta」や、渋谷区男女平等・ダイバーシティセンター「アイリス」を視察しました。

2日間を通して参加した議員の方々は「元自治体職員の方や大学教授など、いろいろな立場の方からお話を伺うことができて良かった」

「具体的に議員としてどういう風に進めていけば良いのかがわかった」など、自分の自治体で活かせる実践的な内容を学ぶことができたという声が多くありました。

■10年後「あのときの研修会があったから今がある」と言えるよう、草の根から始めて、大きな一歩にしたい

参加者数が当初の想定より非常に多かったそうで、全国的な関心の高さを伺うことができました。

世話人の一人であり、トランスジェンダーであることをオープンにしている世田谷区議会議員の上川あやさんは「当事者の議員である我々が身近に感じてきた問題が、当事者以外の議員の中でもダイレクトに身近に感じていただくことができました。バトンを渡された議員のみなさんが、今後どういう成果を報告してくださるかが楽しみです」

同じく世話人の一人、文京区議会議員の前田邦博さんは「10年後振り返ったときに、あのときの研修会があったから今がある。草の根から始めて大きな一歩にしていきたい」

参加された自治体の議員の方々が、この研修会で学び取ったことをそれぞれの自治体の施策に反映することができれば、とても大きな動きになるのではないかと思います。すべての地域で性的指向や性自認にかかわらず安心して暮らせるよう、様々な自治体で取り組みが加速していくことを期待したいです。