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歌で社会へメッセージ アイドルグループ会長が伝えたいこと

2014年08月18日 15時57分 JST | 更新 2014年10月16日 18時12分 JST

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取材・執筆・撮影:田中美知生

 「清く正しく美しく」をモットーに活動を続けるアイドルグループ、制服向上委員会(SKi)は、今年で活動開始から22年目を迎える。「可愛く歌って踊り、社会問題を提起していく」と、グループの会長である橋本美香さん(34)は話す。集団的自衛権の行使容認など最近の政治状況についても「政治家だけで強引に決めていくやり方」と疑問を抱いており、今後も、歌を通じて社会にメッセージを伝えていきたいと話した。

 中学2年のとき、オーディション雑誌の文通コーナーで知り合った同級生と一緒にSkiに応募し、合格。高校1年で加入した。「他のアイドルと違い、社会に対するメッセージを曲に乗せて発しているところにひかれた」と語る。

 社会活動を強く意識し始めたのは、19歳のとき、ベトナムにある病院の施設「平和村」を訪れたころからだ。アメリカ軍がまいた枯葉剤の影響とみられる奇形児の遺体が、ホルマリン漬けにされて瓶に入れられている光景が目に焼きついた。「歴史上は戦争が終わったかもしれないけれど、ベトナムでは今も戦争が続いている」と実感した。別れの際に施設の女性がかけてくれた「泣かないで」という言葉が忘れられない。何時間もサッカーをして交流した後、別れが近づき、涙を流した自分を、17歳なのに身長が幼稚園児のままで止まってしまった女性が慰めてくれた。「なぜこんな心のきれいな子がハンデを抱えているのか」と不条理を感じた。

 帰国後、日本の若者に戦争について考えてもらうために、平和村の子どもたちが写った写真や描いた絵をパネルにして、東京・中野で企画展を開催した。しかし、来場客に若者の姿はなかったという。「同じ世代の子が戦争のリアリティを感じていない」とやるせなさを覚えた。それでも、「知ったからには黙っていられない。おかしいと思ったことを胸に、行動に移していくことが重要」と説く。SKiの社会活動に対して「売名行為だ」という批判もあったが、何かの役に立ちしたいという純粋な気持ちで活動をしているメンバーを周囲も支えた。

 東日本大震災の際、安全だと思っていた原発が事故を起こすのを目の当たりにし、「正しいと思っていたものがそうではないと思うように、世の中にも変化が出てきた」と、ときどきに応じて問題を投げかけていく重要さを再認識した。現在は、SKiの会長として一人ひとりに合った歌唱指導や社会活動のレクチャーを後輩にする一方で、ソロでシンガーソングライターの活動もしている。「社会に関心のないように見える人たちも、自分で情報を得られる機会がないだけで、知れば変わる。歌で社会を知るきっかけを作っていけたらと思う」

(2014年8月12日「Spork!」より転載)