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職場での無視やいじめに心を病み、退職という決意をした。自分を守るために逃げることを学んだ日。

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新生活がスタートしてから早いもので1か月が経とうとしています。
部署、上司、仕事内容、お客さん。
働いてみて初めて分かる内情もきっとあるはず。

人生のストーリーを投稿するサイト『STORYS.JP』には、
就職や人生の生き方についてのストーリーが数多く投稿されています。
うつ病になって仕事を辞めた人、
たまたま入った会社で人生を変える学びを得た人。

そして、職場でのいじめに悩んで「ある決意」をした人。

■内定先は文句なしのクリニック

高校を卒業して専門学校へ行き、2年生の秋には無事に就職先が内定していました。
内定先は地元では有名なクリニック。
クリニックの中では規模が大きく、入院や手術をしていたり、食堂があったりと、設備の良いところでした。

私がそのクリニックの面接を受けた理由はお給料やボーナス、福利厚生が他のクリニックよりもずば抜けて良かったためです。
普通、クリニックだと産休制度を設けていないというところが多いのですが、このクリニックでは産休制度も設けていました。

ここなら長く勤められて安定できると思い、このクリニックに面接を受けることを決めたのです。

そのクリニックから専門学校へは2人分の求人が来ました。

給料や福利厚生がちゃんとしているのに応募するのは私ともう1人の女の子の2人だけ。

もっと大勢受けても良さそうなのに2人しか受けなかった理由は、
「ここは給料いいけど先生が怖いよ」という学校の先生の言葉にありました。

でも、私は「どうせ先生たちの脅しだろう」くらいに思って、応募しました。
職場の人間関係なんて入ってみないと分からないですからね。

面接に行ってみると、とてもにこやかで優しい60歳くらいの院長の奥様が出迎えてくれました。
そして、面接なんてしないまま
「服のサイズはMで良いかしら?」「タイムカードはここにあるからね!」
というように、すでに内定は決定しているかのように受け入れてくれました。

すんなりと内定が決まり、本当に良かったなと、心底ホッとしていました。
3月には友人たちと卒業旅行でグアムへ行き、新社会人への期待を胸に最後の学生生活を楽しみました。

そして3月下旬、いよいよ初出勤です。

■初出勤の日

20歳の私は、着慣れない真っ白なナース服を嬉し恥ずかしな思いで着用し、
就職先のクリニックへ出勤しました。
早めに着き、まだ誰も出勤していない職場を見渡して意気込んでいました。

従業員は総勢15名のクリニック。
受付と検査室と診察室の3つの部署に分かれていて、私が配属されたのは受付です。
ちなみに、同期の子は検査室スタッフとして配属されました。

受付には3名のスタッフがいました。

1番年上のSさんが指導係をしてくれて、とても丁寧に業務を教えてくれました。
分からないことはなんでも聞きやすい雰囲気だったので、新人でも居心地が良かったです。

しかし問題は検査室。

検査室にも3人のスタッフがいましたが1人ボスがいました。

35歳のMさん。新人イビリをすると有名な様子でした。
気に入っている人とは楽しくお話するのですが、気に入らない人にはとことんイビる。

相手が何をしても
「それはそういうやり方じゃないでしょ」
「何度も言わせないで!」「仕事してる意味がない!」「もう教えるの無理」

そんな罵声を浴びせるのです。
Mさんが怒っている声は、ちょっと離れている受付にもよく聞こえてきました。
Mさんのイビリは明らかに不当なもので、相手を追い詰めるのを楽しんでいるかのようでした。

結婚していて2歳の娘がいるという彼女は何不自由なく幸せな生活をしているはずなのに、どうして人をいじめるのかな?と不思議でした。

他の検査スタッフもMさんに嫌われないように上手にやり過ごしているようで、新人がいじめられたって知ったこっちゃない感じでした。
検査室のスタッフはみんな悪口が大好きで、MさんがいないところではMさんの愚痴や悪口ばかりこぼしていました。

幸いにも私が配属された受付の人たちはみんな優しかったので、安心して働くことができました。

しかし、私と一緒に就職した同期の女の子は入社1ヶ月で退職してしまったのです。
検査室のMさんにイビリ倒され他のスタッフにも悪口を言われたため、精神的に追いつめられてしまったようです。
私も同期の子と会えた時には話を聞いていましたが、厳しい環境だ・・・と感じていました。
新人の私には救えるはずもなく、同期の子は私にも何も言わずに辞めてしまいました。

残念ではありましたが「私は受付を頑張ろう!」と思い、仕事を続けていました。
受付の人たちはプライベートな話も色々してくれました。

私が入社して1年くらいは良い感じで毎日を送っていました。
お給料も良く人間関係も良好だったので、特に不満を感じることもなくこの調子で長く勤めるだろうなと思っていました。

ただひとつだけ、1年過ごしてきた中で気になることがありました。

それは同じ受付スタッフのFさんのこと。
いつもは面白くて冗談ばかり言っているタイプなのに、時々全く違う顔を見せるのです。

Fさんのお姑さんがクリニックに受診に来た時に見せる顔です。
月に1度ほどクリニックに受診に来ていたんですが、Fさんはお姑さんが来ても無視するんです。
他の患者さんへするような「こんにちは」とか「お大事にどうぞ」すらまったくなし。

いつも面白くて優しい人なのに、お姑さんにはなんでこんな態度するのか不思議で仕方ありませんでした。

Fさんは「嫌いだからね~」と笑いながら言っていました。
Fさんとお姑さんとの間に何があったかは知りませんが、いくら嫌いでも旦那さんのお母さんに無視はないだろう・・・と、20歳独身の私は衝撃を受けました。

そういう一面があるのは少し気になりましたが、私とは楽しくお話してくれるし、別にいいかと思っていました。

■平穏な毎日が少しずつ危ない方向へ

平穏な日々を過ごしていたある日。突然その時はやってきました。

いつも通りFさんに話しかけると、なぜだかノリが悪い。
めげずに話しかけてみても、やはり冷たい。

私の頭の中はパニックでした。
しかも、他のスタッフにはいつも通りのFさんなのです。

態度が違うのは完全に私だけ。
なんでだろう。どうしてだろう。原因は不明でした。

冷たい態度が怖くて「私何かしましたか?」と聞くこともできなかったんです。
Fさんに話しかけることが怖くなってしまったんですよね。

あんなに仲が良かったのにどうしてだろう・・・と落ち込む気持ちが強くて。
後から考えると、多分私に対して何か気に食わないことがあったんだと思います。
もしかしたら私の存在自体が面白くなかったのかもしれません。

本当の原因は分かりませんでしたが、結局Fさんはこの日をさかいにパッタリと私とはお話してくれなくなりました。

辛かったのは、周りにはそれがバレないようにされたこと。
他の人とは普通に話すので、誰もFさんが私にだけ冷たくしていることに気が付かなかったんです。

Fさんから無視されるようになったのが入社1年後の4月あたり。
原因を取り除かないまま数ヶ月が過ぎ、私とFさんとの溝はどんどん深まっていきました。

Fさんに無視されてから少しずつですが、私は自分に自信がなくなっていきました。
無視される=私って必要ない人間?そんな思考になっていったのです。

人間というのは不思議なもので、自信がなくなると
仕事で初歩的なミスを連発するようになります。

Fさんに無視されてから半年程たったある日、院長の奥さんがある提案を思いつきました。
それは『受付の人は検査の仕事を覚えて、検査の人は受付の仕事を覚えるようにしましょう!』というもの。

現場の状況を全く把握していない奥さんが、何故いきなりそんなことを言い出したかと言うと
「どちらかのスタッフが休んだ時にお互いカバーし合える」という思いつきからでした。

そういった指示があったため、私は検査室へ、検査室のスタッフの一人が受付へ行くことになりました。

■検査室への異動、本当の地獄のはじまり

検査室には、人をいじめるのが大好きなMさんがいます。

ただでさえ私は受付のFさんに無視されて傷ついて自信をなくしているというのに、
強いMさんのところで生き残れるかな、と不安でした。
でも仕方がないので、一生懸命業務を覚えました。

入社した時に1週間だけ検査室を体験したことがあったのですが、その時にはMさんに結構褒められたのです。
後々思えば、同期の子をいじめるためにわざとそう言って私を褒めていたのかもしれませんが。

理由はどうあれ入社したての頃は褒めてくれたので、今回はどうかな・・・なんて思っていたら
褒めるなんてもってのほか!怒られまくりました。

「何度も教えてるのに全く成長しない!」
「患者さんの顔と名前をいい加減覚えたら?」
「あなたは仕事をしている意味がない!」

質問をすると「あなた1年半なにやってきたの?」

いやいや、ずっと受付にいたから検査室のことわかんないし。
覚えたいから聞いてるのに。

とにかく毎日毎日否定されまくりの怒られまくり。
「仕事ができない」という言葉ばかり浴びせかけられていると、自分はダメな奴なんだなと思えてきます。

私がいるすぐ後ろで他のスタッフに「あいつ本当仕事できないよね」と言うのが聞こえてくる。
頭がおかしくなりそうでした。

思い返すと、これまでの人生でこんなに自分を否定されたことない。
すぐ近くでこんな風に悪口言われたこともない。

でも、職場では決して泣きませんでした。

どんなに怒られても「はい、すみません。」「次からは気をつけます。」そう言って過ごしました。
仕事を辞めたいとは思わなかったし、いつかきっと報われる日が来ると思っていたから。
仕事なんてやっていけば絶対に覚えるんだから気にすることない。

そう自分に言い聞かせていました。
それに、負けたくなかったんです。
いじめられて辞めるなんて、いじめる側の思うツボだと思ったのです。

いじめるのが趣味みたいなクズ人間が堂々と仕事をしてお給料をもらい、
私のように普通に働こうと思っているだけの人間が辞めるなんて理不尽すぎる。

だから怒鳴られても何されても耐えていました。

■決意の日

朝出勤すると、Mさんに「始末書を書け」と言われました。

それは数日前のこと、昼休みに電話が鳴り、私が電話を取りました。

「はい〇〇クリニックです」
「あ、もしもし△△だけど、今日大丈夫?」
「(診察してる?って意味かな)はい、大丈夫ですよ。」
「じゃあよろしく」

そんな会話がありました。

私は何の気なしにこのように答えてしまったのですが、実はこの男性は院長の知り合いで、いつもクリニックに来る時には院長が車で駅まで迎えに行く人だったのです。
「〇〇だけど、今日行っても大丈夫?」という言葉は「〇〇だけど、今日駅まで迎えに来てくれる?」という意味だったのです。

私はそんな人がいることを全く知りませんでした。
そういう連絡をしてくる人がいるなら誰か教えておいてよ。
むしろ、院長に直接言ってよ。

そう思いましたが、結局どうなったかと言うと・・・
その男性は駅で待ちぼうけしてしまったそうです。

後で院長に「電話取ったのは誰だ!?」と怒られました。
その時は「ごめんなさい」で済んだのです。
院長も「知らなかったなら覚えておいて、次回からはこういうことがないように」と言って終わりました。
それなのに、なぜかMさんがこの件に関して「これは医療ミスだ!始末書を書け!」と言ってきたのです。

頭の中で何かが切れました。

は??電話のミスが医療ミス?
何言ってんだこのオバサン。頭おかしいだろ。
そして周りはなんでこれに対して何も言わないんだ?
この病院おかしい、腐ってる。

そう心の中でつぶやいていました。

そして固く決意しました。
今日で最後の出勤だ。もう、ここへは居られない。もう、今日で最後。
そう思ったのです。

始末書を言い渡されたのが朝だったので、きちんと1日業務をこなして
始末書を書いて夕方には提出しました。

そして定時まで働いて、スタッフに「お疲れ様でした」と言って、いつも通り職場をあとにしました。

自分の車に乗り、職場から出て走りだした瞬間。
これまで張り詰めていたものや我慢していたものが、すべて崩壊しました。

どんなに無視されても怒鳴られても、決して泣くことはありませんでした。
けれど、この時ばかりはダメでした。

すべてが崩壊して声を出して泣きました。
大号泣しながら家に帰ったら、母もびっくり。

元々職場で無視されていたことや怒られまくっていたという状況を知っていた母はすべてを察しました。
そして「そんな職場、辞めな辞めな!」と言ってくれました。

その後、職場へは電話で『辞めます』と伝えました。

■辞めさせない理由、いじめのつらさ

こうして辞める人はこれまでも後を絶たなかったので、院長も院長の奥さんも慣れていました。

院長の奥さんに直接会いに行き、今までされてきたことを話しましたが
「無視されたなんて言って負けてちゃダメよ!みんな乗り越えてきたんだから!」
と言われました。

そもそも、なぜ院長や院長夫人がMさんを辞めさせないのか。

いろんな人をいじめて、辞めるまで追い詰めるような人をなぜずっと働かせておくのか。

それは、Mさんが院長の親戚だから。

こうして2年間働いてきたクリニックを逃げ出すように辞めたのでした。

この経験を通して分かったことは

・精神を病んでまで続ける仕事はない
・逃げることも自分を守るためには大切
・どんなに明るく前向きな人でもうつ病になる可能性はある

ということです。

仕事が辛すぎるなら、すがりつく価値が本当にあるのか考えてください。
一番大事なのは、心です。
お金は稼げばいいけれど、心は一度壊れてしまったら簡単には治りません。

【いじめ】って、無視したり悪口言ったりする側って、
きっと大したことないって思っているのかもしれません。

でも、された側はこんなにも細かく覚えている。
いじめを受けて死にたいって思う気持ちもわかります。

「無視されるだけで?」
「怒鳴られるだけで?」
と思うかもしれないけれど、毎日されると「自分はダメな人間なんだ」という気持ちになるのです。

――STORYS.JPより転載

企業規模や業務内容、福利厚生。
そういったものも重要です。

でも、働く環境も同じくらい、もしくはそれ以上に大切です。
人に恵まれているのといないのでは、同じ仕事でも、同じ給与でも、きっと価値に大きな差が出ます。
それは働いてみないと分からない、判断の難しい部分です。

自分の心を壊してまで、する価値のある仕事なのか、一緒に働くべき人たちなのか。
どんな仕事でも身体が資本。
仕事内容や条件、環境。自分に合った働き方を考え、見極めることが、1番大切なのではないでしょうか。

(ストーリー紹介=STORYS.JP編集部・阿部仁美)

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