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「やりたいことは何ですか?」いよいよ年越し前、元Fランク大学生・現日本トップ商社内定者の半生から考えたいこと

2014年12月25日 17時21分 JST | 更新 2015年02月23日 19時12分 JST
mog via Getty Images

「ああ、海外に住んでみたいなあ」そんな風に、何かを無性に「やってみたい」と思うことはないだろうか。

「ああ、なんか○○したい。やってみたいなあ。」日常生活の中で、そのような気持ちがモワモワっと顔を出すことがある。

考えるだけで楽しい「やってみたい」こと。

私たちはそれを時折夢想する。夜寝る前にワクワクが浮かんで眠れなくなったことが、あなたにもあるのではないだろうか。しかし、同時にその気持ちを無理矢理に押さえ込んでしまうことも。例えば、海外に住んでみたいと思っても、

・英語しゃべれないしなあ

・治安とか・・危ないんだろうなあ

・家族や友達とも離れないといけないしなあ

という考えが、モクモクと浮かんでくる。

友達に伝えてみてもあまり良い反応は帰ってこず、あれだけ輝いていた気持ちは、即座にイエローカードを2枚もらって、ワクワクタイムは終了、いつもの自分と日常に戻る。

私個人も、事ある毎に小さな夢を見つけては「やってみたい。いやあ、でも」のやりとりを繰り返しながら30年近くも生きてきてしまった。結婚も子供もまだだが、facebookのタイムラインで暇をつぶせば、入籍と出産のお知らせが日本各地に散らばった懐かしい顔から届く。自由に冒険できるリミットが迫って来ているようにも感じる。今の生活に特段不満があるわけでもないものの、自分の「やってみたい」をとことん実行しない人生は、何か違う気がする。むずかしいものだ。

そんな中、現在運営しているSTORYS.JPに投稿されたストーリーが出版されるのを機に行なった著者インタビューで、著者の放った言葉が私の背中を押してくれた。

Fラン大学生が英語を猛勉強して日本のトップ商社に入る話

著者の名前は間部理仁さん。今から6年前、彼は元々偏差値30の大学、世間では俗に「Fランク大学」と呼ばれる大学に通っていた。勉強が大嫌いで授業中にスポーツ漫画を読むことに夢中だった彼は、陸上のスポーツ推薦でその大学に入った。「4年間部活に打ち込んで、将来はまあ、陸上関係の仕事に就くか、和歌山にある実家のガソリンスタンドを継ごう」と思っていた間部さん。ところが、イギリスに短期留学していた姉とのメールがキッカケで、「自分もイギリスに行きたい。どうしてもそこで生活がしてみたい。」という強い想いが芽生え、その陸上部の寮を入部一週間で逃げ出し、部活も辞め、半年後には大学を辞めてしまう。勉強嫌いだった間部さんは心機一転、猛勉強に励み、再度に臨んだ大学受験で関西にある外国語大学に進学。さらに勉強を続け、TOEIC970点を叩き出し、イギリスへ留学、そして世界第4位の大学(※東京大学は32位)ロンドン大学の大学院にも見事合格。最終的には念願だった日本トップのある商社の内定を勝ちとったのだった。

勉強が大嫌いだったが「イギリスに行ってみたい」という気持ちを追いかけ続け、Fランク大学から日本のトップ商社へと進んだ間部さん。このストーリーがネットで話題を集め、今回書籍化されるに至った。来春から新入社員となる彼は現在25歳。

そんな彼のインタビューは、私にちょっとした勇気をくれた。彼がインタビューの中で語ってくれたことをここで少し紹介したいと思う。

自分の人生を生きるのはすごく難しいと思うんですね。
僕たちは人の期待、友達とか家族とか先生とか、そういう人の期待に応えようとして道を選びがちだと思うんです。

それとか、例えば、お医者さんとか、弁護士とか、社会的に良いとされてる、社会的に格好良いとされてるから選んだり。

でも、それって本当に幸せなのかなあと思ったりするんですよ。 結局、自分の心に従って、自分の直感を頼りに決断をしないと後々後悔すると思うんです。
僕が以前部活を辞めた時も、留学を志した時も、大学院進学を選んだことも、未来にどう繋がるかは全く分からなかったんですけど、その時々の自分に込み上がってきた直感に従って決断をしてきたんです。

直感を信じて寮を飛び出してから6年が経った今振り返ってみると、それまでのすべての直感が全部繋がってくるんです。

上手い事パズルを組合わせたかのように、ほんとにピシっとはまってくるわけなんです。

そうやってると(そういう直感に従って歩む生き方だと)結局巡り会う人なんかも、奇跡的な感じで「この人がいなかったら今の自分なんていない」って人に巡り会ったりします。


それはきっと、 自分の直感だったら本気で頑張れるし、本気で頑張っていたら周りの人も手を差し伸べてくれるからだと思うんですよね。

━━ 直感って理屈じゃないものですよね。だからこそパワーがある気もしますが、同時にだからこそ信じ切るのが怖い気もするんです。その先がなかなか見えませんし。間部さんは直感を信じてゆくのに不安はなかったのでしょうか?

間部:
確かに先が分からないことに対する不安ってあるかもしれないですけど、 結局将来どうなるかって誰にも分からないと思うんですよね。

どんなに準備してもその通りになるとは限らないですし。これが将来正解になるんだと思って自分の信念を信じてやるしかないですよね。選ぶ前にどの選択肢が正しいなんて分からないですから、これだと思った選択肢を、選んだ後に正解にしていく。それに、自分の直感で本当にしたいことを選んだら、その道が正解になるように自分で努力できるもんだと思うんですよね。

かつては、実家のガソリンスタンドを継ぎ、地元での平穏な暮らしを将来像として描いていた間部さん、その将来像はどう変わったのか、そこも伺ってみた。

まだ手段は決まってはないですけど、日本が抱えてる問題に取り組みたいと思っています。日本では、集団主義とか事なかれ主義とか、長いものには巻かれろみたいな、そういう文化とか、見えないルールによって、個人の自由が阻害されているようなことってこの国に絶対あると思うんです。
堅苦しい雰囲気とか、豊かなのに幸せじゃない国になってると思うんです。

目に見えない空気みたいなもので、個人の自由みたいなものが制限されてる。 海外に出てみて思ったんですけど、イギリスの人の方が選択が自由な気がするんです。日本は、同じ先進国で豊かなはずなのに豊かじゃない人って結構いると思っていて。

その点、僕が人と違うやり方で生きて、僕が自分なりに納得した人生を歩んでいくことで、人と違う事したいって思ってる人を応援したいんです。
応援できる人の数を出来るだけ大きくしたくて、そうなると1つの方法としては政治家になるか、もう1つの方法としては、例えば大学の先生になるか。

かつての自分のような落ちこぼれを育てて、日本にインパクトを与えられるような人材にしたい。 その為に自分がどこまでやれるのか、そう考えています。

「目に見えない空気みたいなもので、個人の自由みたいなものが制限されてる。」

間部さんの言葉にもそうあったように、日本にはどこか「人は大概レールに乗っていて、将来の行き先は『今居る場所』が決めてしまう」という思想、特殊な空気のようなものが充満している、あなたもそんな風に感じたことはないだろうか。

自分の気持ちを信じて追いかけ続けてきた間部さんでさえも、かつては「今居る場所は、スポーツ推薦で入った偏差値の低い大学だし」と、当時大学の4年間を陸上に捧げ、卒業後は和歌山に帰って実家のガソリンスタンドを継ぐか陸上関連の仕事につくかをぼんやりと考えていた。

「やってみたい」そのような個人の自由意志が見えない何かによって束縛されている日本社会。

知っている人は多いかもしれないが、2014年10月7日、文部科学省の大学改革を目的とした有識者会議に、

「トップ大学以外の大学をすべて職業訓練学校化する」という提案がなされたのをご存知だろうか。

トップの大学以外は職業訓練学校と割り切ってしまい、授業内容を高度な学問から、特定の技能を身につけるものに変更し、大学の授業で学んだことを就職後も活かせるような仕組みをとるというもの。

そして、各産業分野で役立つ人材を輩出し、それによって産業を活性化、国力を向上させようというのがこの提言の趣旨だ。

賛同する声も多数上がっているが、同時に、大学の自由時間は人生のモラトリアム(猶予期間)であり、人生を模索し豊かにしていくための時間だが、それを奪ってしまうのではないかという声もあがってる。

また、この提案通りに社会が動くと、個人の仕事スキルが高まるもののスキルの活用範囲が狭くなるため、他の仕事に転職しにくくなるとも考えられる。自分がいる場所を飛び越えて「やってみたい」を追いかけられる機会が減っていくのだ。

勿論、今回の提案が採用されると決まったわけではないが、今後社会は、産業活性化による経済力向上を目指し、大方そのような方向に進んでいくものと考えられるので、いつの日か個人の社会的な自由度が、現在よりかなり低くなる日がやってくるだろう。

「そういえば、○○をやってみたい」という気持ち。

ご飯を食べる時、シャワーを浴びている時、人と話している時、明日に備えて布団の中で目をつむった時、日常のいろいろな場面でふとした時にやってくるその気持ちによって、私たちは一瞬現実を離れて夢想する。何とも言えない高揚感に浸る。

しかし、次の瞬間、私たちは会社や学校、家庭、そして今日の社会のことを思い浮かべ、周りの人の意見を優先し、「現実的には無理だなあ」とその気持ちを追いかけることはしない。

それではダメだと言うつもりはないし、前述したように私もかれこれ30年近くそうやって生きてきた。

しかし、その気持ちを追いかけない人生は果たして私たちを幸せにしてくれるのだろうか。

年が経つにつれ、社会が動くにつれ、今いる環境になじむにつれて冒険するチャンスは確実に減って行く。私たちの心も、追いかけることを億劫に思うようになるだろう。

だから、今、もしあなたの中に「やってみたい」ことがあるのであれば、熱が冷めないうちに少しだけでも追いかけてみてはどうだろうか。

「イギリスに行きたい」一人のFランク大学生を動かした想いがあった。

私たちが自分自身の気持ちを大切にした時、それは日々を生きる喜びと、困難を乗り越えられる力を与えてくれる。その時、私たちの人生は私たちらしく輝くのだろうし、私たちはパフォーマンスを最大限に発揮することができるのだろう。

そして、そのように働く人に溢れた時こそ、産業の活性度は最高潮を迎え、経済的にも精神的にも、私たちの国は本当の意味で豊かになるのかもしれない。

いよいよ年越し。今年1年を振り返り、来年に向けて考えてみてはどうだろうか。

あなたの「やってみたいこと」は、何ですか?

元Fランク大学生・現某日本トップ商社内定者 間部理仁氏インタビュー全文

(ストーリー紹介:STORYS.JP編集部 清瀬 史)