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日本人思想と戦争

2015年07月15日 14時25分 JST | 更新 2016年07月12日 18時12分 JST
ASSOCIATED PRESS
Japan's Emperor Akihito and Empress Michiko walk on their way to welcome Philippine President Benigno Aquino III at the Imperial Palace in Tokyo Wednesday, June 3, 2015. Aquino is on a four-day state visit to Japan. (Franck Robichon/Pool Photo via AP)

遠藤周作氏の作品、「沈黙」に出てくる「日本人に神という概念は存在しない」というセリフをご存知だろうか?

最近になって、私は日本人の思想というものに関心を抱くようになった。その火付け役となった作品がこれだ。

「沈黙」には、キリスト教を宣教するために来日した西洋人たちが、日本人によって改心させられてしまうまでの心境や状態が描かれている。

日本人に神という概念が存在しないとはどういう意味だろうか?

これは「日本人の信じる神と西洋の信じる神が異なる」という意味だと私は捉えている。

本作にも書かれているように、宣教師たちはキリスト教を日本人に伝道し、

日本人は洗礼も受け、キリシタンたちが迫害されながらも神に祈りを捧げた時期は確かに存在した。

しかし、彼らの信じていた神はキリスト教の「それ」ではなく、

日本人(日本人には神が人間を超越した存在であるとする概念がない)が独自に生み出した「それ」といつの間にか置き換えられていたというのだ。

中西輝政氏の「日本人としてこれだけは知っておきたいこと」という本で、

彼は天皇の神聖化を日本人は皆、自然に敬っていたと述べている。

日本人の宗教の核には常に天皇の存在があり、日本人が神を神とせざる所以はここにある。 

大東亜戦争の敗北により天皇が危機に晒された。ワシントンがイギリスを真似て政策化した王室を潰す方法が三つ有る。

一つは、「戦争で打ち負かす。」

二つは、「民主主義を吹き込む。」

三つは、「王位継承を絶やす。」ことだ(p178)。

マッカーサーが一、立憲君主国とすること、二、武力を放棄すること(憲法九条)、三、華族制度を全廃するという、

「マッカーサー三原則」を日本に厳命したのは正に、日本の王室を潰すためだ(p177)。

戦争中、アメリカが一番恐れたのは日本人の「天皇宗教」(p179)なのだが、アメリカは日本人からの反撃を避けるため迂闊に皇室を廃止するのではなく、表向きでは民主主義を吹き込み、裏で皇位継承を絶やしていくという戦略をとった(p180)。

私自身、今までは戦争についての知識を持っていなかった。

けれどもこの本と出会い、日本人の宗教や思想の視点からでも戦争問題にアプローチしていく方法が可能であることに気がついた。

また、安保法案などの問題から、ニュースでは連日戦争についての問題が取り上げられ、戦争への関心・問題意識が高まってきている。

STORYS.JPに投稿されたストーリーに、「日本は戦争をする国になるのだろうか?という話」というものがある。

日本は戦争をする国になるのだろうか?

このストーリーの中で、著者は現政権が想定している戦争には以下のケースがあると考えている。

①領土紛争にかかわるもの 

②ミサイル防衛にかかわるもの 

③海外の邦人保護にかかわるもの 

④中東からの石油輸入のためのシーレーン防護にかかわるもの

これに対しての解決策として、以下の選択肢があるとされる。

①全方位外交日米安保条約を堅持しつつも、周辺の国家とも友好関係を維持する「全方位外交」。

かつて小沢一郎が「正三角形」、あるいは鳩山由紀夫が「友愛の海」と形容した政治方針。その後、小沢も鳩山も失脚する。

②対米従属から対中従属へ日米安保条約を破棄し、日中安保条約のようなものを締結する。

在日米軍は撤退し変わりに在日中軍が国内に駐留する。

あるいはそこまで行かなくても、中国海軍の艦艇の補給や整備を国内の港湾で行う。

③中立国家宣言

韓国が提案しているような、スイス型の中立国となる。韓国と日本が同時に中立国化し、

周辺国による覇権主義から距離を置く。一種の鎖国主義。

著者はTPPや集団的自衛権の見直し等の視点から日本とアメリカの関係性を挙げ、

今後の日本政府の対策を見守る姿勢を表している。

この七十年、 憲法九条のおかげで日本に戦争が起こらなかったとお思いの方は多いだろう。

しかし日本で戦争が起こらなかった理由は、実際は憲法九条のおかげではない。

そもそもこの条約を作ったのは日本ではなく、アメリカなのだから日本に戦争を終える意志があったのかは定かではない。

私たちは戦争を、戦争を経験していない人たちから、それがさも事実であるかのように歴史として教わる。

しかし、事実は様々な理由で操作されている場合がある。

このストーリーを通して、若い世代が戦争に興味・関心を持ち、戦争の本当の事実を受け継いで行かなければならない。

【参考文献】

遠藤周作 「沈黙」 1996年 新潮社

中西輝政 「日本人としてこれだけは知っておきたいこと」 2007年 PHP研究所 図書印刷株式会社

【関連ストーリー】

日本は戦争をする国になるのだろうか?

(文=STORYS.JP:八木美佐子)