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酒鬼薔薇事件の加害者が発表した手記『絶歌』、犯罪心理の観点から見る、少年Aの心理とは。

2015年07月05日 21時56分 JST | 更新 2016年07月04日 18時12分 JST

1997年、日本を震撼させる事件が起きた。

当時14歳の少年が起こしたその事件は、別名「酒鬼薔薇聖斗事件」と呼ばれ、少年犯罪の歴史に大きく名を残す事件となった。

学校の校門に置かれた被害者の切断された頭部、新聞社に送られた挑戦状。

事件の凶悪さと異質さから、当時多くのメディアで取り上げられた。

加害者少年は少年法の適用される中学2年生ということで、「少年A」と呼ばれるようになる。

その少年Aは、2005年には少年院を退院し、名を変え、プロフィールを変え、普通の社会生活を送っている。

そして2015年6月。

件の少年Aが手記を発売するというニュースが日本全国を駆け巡り、大きな論争を呼び起こした。

少年A、出版社への批判、販売を取りやめる書店、印税の行く末、

出版された少年Aの手記「絶歌」を読む人への批判、読まない人の持論。

様々な意見が飛び交う「絶歌」を、犯罪心理の観点から見たストーリーが投稿された。

少年Aはなぜ手記を発表したのか、その内容とはいかなるものなのか。

投稿されたストーリーを紹介しよう。

【転載元ストーリー】犯罪心理学専攻の私から見る『絶歌』

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(以下、STORYS.JPより一部転載)

前編では、可愛がっていた愛犬が亡くなり、残ったドッグフードを猫が食べる姿を目撃します。

そして猫を殺める事により、性的快楽を得ていた事をつづっています。

後編では、犬を見て過去を思い出し、居たたまれなくなりその場を去る描写があります。

しかし、あれ程、ある意味お世話になった猫の描写は一つもありません。

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「絶歌」は「人を殺めた頃」と「社会人になってから」の2部構成になっている。

少年Aは殺人に及ぶ以前、数十匹の猫を殺すなどの動物虐待をしていた過去がある。

そういった描写が前半には描かれているが、後半には全く出てこないという。

また、被害者の頭部を切断し、それを校門の前に置くという行動をした際、

どこに配置するかを考えあぐねいたときに見た月を、「夜に食らいつく下弦の月」と表現しているが、

これも同じく、後半では一切触れられることがない。

後半で主に綴られているのは、被害者遺族への思いだという。

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(以下、STORYS.JPより一部転載)

"それでも、もうこの本を書く以外に、この社会の中で罪を背負って生きられる居場所をとうとう見つけることができませんでした。"

"僕はひたすら声を押しころし生きてきました。

それはすべてが自業自得であり、それに対して「辛い」、「苦しい」と口にすることは、

僕には許されないと思います。でもぼくはそれに耐えられなくなってしまいました。"

僕にはこの本を書く以外に、もう自分の生を掴み取る手段がありませんでした。"

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2005年の退院以来、少年Aがどのような思いで人生を過ごしてきたのかは知る由もない。

ただ、こうして手記を発表することで、当時の自分と今の自分を形にすることで、

アイデンティティを保とうとしているのかもしれない。

このことについて、犯罪心理を専攻していた著者はこう語っている。

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(以下、STORYS.JPより一部転載)

前編では、彼の内なる感情は全く感じられません。

それに対し、後編では、彼の葛藤が真摯に伝わってくる文章です。

今の彼にはどのように月が見えるのでしょうか。

もし、仮に彼が変化していたならば、月を見上げた時に、自分の変化に気づくでしょう。

彼のことです。きっと繊細な言葉で表すでしょう。

同様に、あれほどまで執拗に彼の瞳に映っていた猫は、どこへ行ってしまったのでしょう。

家族のことについて、できる限り触れないのも不思議ですね。

けれど『絶歌』によって、再び家族を傷つけたくないという思いもあるのでしょう。

意識的に書かないようにしている印象を受けました。

彼にとっては、人を殺める記述をするよりも、自分の家族を思い出す事は、痛みを伴い、記述できないのではないでしょうか。

なにしろ、公園で家族を見た時に、被害者の家族を思い出しても、自分の家族については思い出さないのですから。

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更生とはなにか、思考とはなにか。

自分が被害者家族だとしたら、この出版をどう受け止めるか。

「絶歌」を通して、少年Aはなにを主張したかったのか、その見解は転載元ストーリーを読んでほしい。

現在STORYS.JPでは、「少年Aが居た街」というストーリーも投稿されている。

事件が起きた街に住んでいた著者が書いているストーリーだ。

新聞やテレビでは取り上げられていない、地元での当時の動きが分かる。

関連リンクより、そちらも併せて読んでみてほしい。

【関連リンク】少年Aがいた街

様々な意見が飛び交う「絶歌」。

少年法の改正にも影響を及ぼした犯罪の手記は、読むべきか否かは個人の判断だ。

どちらにせよ、犯罪を犯し、少年院から退院した少年少女たちが、その後の社会復帰をどのように迎えるのか、

目的とされる更生はきちんと果たされているのか、今一度きちんと考える必要があるだろう。

(文=STORYS.JP編集部・阿部仁美)