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収入は?クレームは?元海外添乗員が語る、海外ツアーコンダクターの裏話

2016年01月16日 02時05分 JST | 更新 2017年01月13日 19時12分 JST

ツアーで海外旅行なんかに行くと必ず居る"海外添乗員(ツアーコンダクター)さん"。

仕事で色んな世界に行けて、現地のことをなんでも知っていて、美味しいものも食べられて、と羨ましく思う人も多いのではないでしょうか。

でも実は、なかなかに大変なお仕事なのです。

お客様同士の対立の板挟みになったり、ガイドの機嫌を損ねないように立ち回ったり、ホテルや航空会社などと喧嘩をしたり。

それなのに給料は安いし社会的地位も低い。それが海外添乗員です。

元海外添乗員さんが語るストーリー元に、そのお仕事内容やハプニングをご紹介します。

■そもそも海外添乗員の仕事って?

旅行会社の組んだツアーに同行し、その旅をサポートするお仕事です。

現地の手配会社、現地ガイド、そしてお客様の間に入り、クレームのないようにつつがなく正しくお客様に旅を提供します。

こう聞くと一緒にツアーを回るだけじゃないのか?と思いがちなのですが、

添乗員さん=なんでも屋さんと思っている人も多いそうで、

一発芸のリクエストがあったり、夜の大人のお店の手配を頼まれたりすることも稀にあるそうです。

これらは添乗員さんのお仕事ではないのですが、

拒否するとツアー終了後のアンケートになんらかのクレームがきます。

クレームが来ると会社から怒られます。

事情を説明すれば理解してくれますが、クレームがあるという評価は一生ついてまわります。

ストーリーを投稿してくだっさった元海外添乗員さん曰く、

「世界中を旅したい、そんな人にはオススメですが、

知り合いがなりたいと言ったら殴ってでも止めます。」とのこと。

ちなみに初任給は16万円程度。

派遣社員や契約社員がほとんどみたいですね。

■添乗員はベテランではなく新人が多い!?

せっかくお金を払って参加するツアー。

ベテランの添乗員さんにツアーをプロデュースしてほしいですよね。

でも実は、その地域に一度も行ったことのない人が添乗することが多いのです。

離職率の高い添乗員は常に求人、人員補充が行われています。

新人が中堅になったくらいで半分くらいが退職してしまうそうなので、

ベテランが育つことはあまりないそうです。

とはいっても「この地域はもちろん、添乗も初めてです!」なんて言われたら、お客様は不安になりますよね。

ではどうするのかというと、ちょっと話を盛ります。

「これくらいの歩きやすい恰好がいいですよ!」

「天候は変わりやすいので、上に羽織るものをお持ちになるといいですよ!」

というと、詳しい人だな、と思ってもらえるのだとか。

「添乗では行ったことはありませんが、個人で行ったことはあるのでご安心くださいね!」という魔法の言葉も存在します。

■ツアータイトルの隠れた悩み、空港は戦場だ。

空港に着くと、他社さんと並び合うことがあります。

挨拶もそこそこにツアータイトルをチラ見しては「このツアーいいな」「このタイトルはクレームくるわ」などと心の中でツアータイトル批評会が始まります。

ツアータイトルとは恐ろしいもので、ハードルが上がれば集客は簡単、でも蓋をあけるとクレームの嵐、ということがままあります。

かといってハードルを下げると募集人数が埋まらず、ツアーが催行できない。バランスが非常に難しいのです。

例えば「美食の旅」と謳えば、集客は一瞬だけど満足度は最低なのだそう。

どれだけ予約を取るのが大変かをアピールしたり、グルメリポーターよろしく必死で美食を主張しなければなりません。

さて、空港にお客様を迎えるときの最優先課題は、顔と名前を一致させること!これから始まる旅のためにも、とても大事なことです。

パスポートとは別人だったり、特徴が似通ったり、ここでも苦労が絶えません。

手続きを間違いないよう声をかけ、いざ搭乗。

なんでもいうことを聞いてくれる添乗員は、お客様にとっては最高のCAとなります。飛行機に乗れば一安心なんてことはありません。

お客様が着席されたらご挨拶。自分の居る席を伝えます。

これを離陸までに行わなければならないので、大人数だとてんやわんや。

席のトラブルも後を断ちません。

夫婦やカップルなら必ず2席並びが取れる。

1人なら必ず通路側が取れる。

そんなわけありません。

団体や修学旅行などとブッキングすると、希望通りにはいきません。

添乗員に責任はないのですが、それもクレームになってしまいます。

いよいよ現地に到着、シートベルトサインが消えてから勝負が始まります。

お客様が先に降りてしまうとどんどん先に行ってしまって、はぐれてしまうことがよくあるので、添乗員は真っ先に降りて、旗などで場所をアピールし、お客様を捕まえていきます。

そして入国手続きもなかなか大変。

日本から直行便があるところは発着数も膨大。

入国管理は大変混みあい、時間がかかります。

お客様全員を確認しないと動けないので、毎回ハラハラするのだとか。

ちなみに入国手続きが面倒なのはアメリカ、イスラエル、サウジアラビア。

1人ひとりにかかる時間が膨大なのだそう。

サウジアラビアはどれだけ混んでいてもお祈りの時間になると係の人がどっか行っちゃうみたいです。

■あるあるハプニング

よく聞くハプニングに「ロスバゲ」というものがあります。

スーツケースが無くなるアレですね。

ターンテーブルからお客様のスーツケースが出てこない。

いっそのこと全員ロストしてくれと思うほどの修羅場です。

不公平感は添乗員最大の敵なんだとか。

そこで大事なのがスーツケースのクレームタグ。

これに記載されているバーコードでスーツケースが追跡できるんです。

無くすと手続きに時間がかかるようなので、きちんと持っておきましょう。

スーツケースの居場所を確定し、いつ送られてくるかが確定したら、

戦いのゴングが鳴り響きます。

この"ロスバゲ"の責任は航空会社にあるのですが、荷物を届ける以上のことはしてくれません(破損した場合は別)。

余計なコストをかけたくない航空会社VSお客さんの怒りをおさめるための落とし所を見つけたい添乗員。

対応費として金銭の要求ができれば勝利。

これがなかなかタフな交渉だそうです。

ちなみにロストが頻発する航空会社はTシャツや洗面グッズを用意しているらしいです。果たしていいのか悪いのか。

無事に交渉成立したからといって安心するのはまだ早い。

約束した便で荷物が届かないこともザラにあります。

しかし旅行は移動をし続けなければなりません。

旅はあきらめも肝心。

■世界を舞台に働く海外添乗員の裏話、お楽しみいただけましたでしょうか。

他にも現地ガイドさんとのやり取りや、ホテルやレストランでのハプニングなど、旅行中にはさまざまなことが起こります。

添乗員さんはお客様の満足度が給与に影響を与えるということもあり、

一生懸命に旅のサポートをしてくれます。

しかし、お客様のアンケートが絶対的な力を持っているので、

厳しい言葉に精神を病んでしまう方も多いそうです。

でも、旅や人との素敵な出会いという魅力があるのもまた事実。

海外ツアーに参加される方は、是非添乗員さんにも注目してみてくださいね。

(文=STORYS.JPライター・かわいしほ)

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