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この無駄なもの消防設備

2015年06月30日 00時43分 JST | 更新 2016年06月28日 18時12分 JST

救助袋と呼ばれる消防設備がある。上層階から袋状のトンネルを垂らし、中を滑り降りる脱出器具がそれだ。小学校や中学校の3階・4階にあり、防災訓練でよく展張された避難用具である。

しかし、実際の火事で使った話は聞かない。学校での火災訓練での悠長な展開をみると、小学生でも「階段を使ったほうが早い」とわかる。展示で降りる子が、お行儀のよい「選ばれた子供」なのを見て、「アレは飴だな」と子供心に感じたものだ。

消防設備では、この手の実用性を欠く器材が多い。業界誌をみると、消防法に基づく脱出器具の広告が多い。似たものに緩降機がある。脱出者を縛り付けたロープをゆっくり繰り出す機械だが、これも火事で使った話は聞かない。古典的な避難ばしごもあるが、これもまずは実用例を聞かない。

現実的には、現行の建築基準法態勢では消防法脱出器具には出番はない。建築基準法、施行令、施行規則で、建物には複数の不燃性避難経路が規定されている。実際はどの部屋からも50m以内に複数の階段がある。展開に時間を要するヘンテコな脱出器具は必要ない。

しかし消防は義務化で金を使わようとする。それが既に述べた火災脱出用シュータや緩降機である。最近では、家庭用火災報知機も追加された。

まずは存在価値が低下した行政組織が自ら仕事を作り出す好例である。

そもそも、火事は極端に減った。昭和中頃から、家の中で裸火を使うことが極端に減った。その上、藁葺き、茅葺きのような燃えやすい建築材料も排除されている。木造建築にしても、耐火性や火災時の耐久性、延焼防止、不燃化が実現している。このため、火事は相当に起きなくなり、延焼もまずなくなった。

そうなると、消防の仕事が激減する。

そこで力を入れたのが予防消防であり、消防設備の法的強制である。その象徴が避難器具であり、一般家庭までも義務付けられた火災報知機である。後者も何の役にも立たない。家の中で「火事だ火事だ」と機械が喋っても、家人が居なければ誰も聞きやしない。家人がいれば、燃え出したら臭いや音、熱で分かるだろう。

だが、この予防消防も褒められたものでもない。まずは過剰なお節介だが、なによりも根幹の消防検査が評判悪いことこの上ない。建物を使用する前に義務付けられた検査であるが、消火設備を基準よりも増やせといった法的根拠を持たないリクエストが多い上、消防吏員によって言うことがぜんぜん違う。

この手の予防消防は見なおしたほうが良い。現行の建築基準法に適合した建築物では、火災の危険性は相当に低減している。その上での本当に必要な消火設備の扱いも、業界の利益となる過剰要求をしてくる消防から国交省に移したほうがよい。例えば消防法で規定される消火設備や排煙設備等にしても、基準法での規定や建築主事による検査に切り替えたほうが、納得できる行政となるだろう。

まずは、現実味のない消防設備の強制はやめるべきだ。無駄な高額で役に立たず、場所を塞ぐうえ目障りな避難器具や、面倒なので電源すら入れない家庭用火災報知機は無駄に過ぎる。必要のない設備に無駄金を使わせるべきではない。

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