ついつい気を遣ってしまう-『息子は自閉症。ママのイラスト日記』(24)

もう一歩が踏み出せない、自分がいます。

子どもたちが小学生になり、日中の時間を自由にもてるようになったことで、お母さん同士の交流というものも増えました。実は今まで、何でも話せる友人というのは、療育園で知り合ったお母さんたちしかいませんでした。

当時はどこへ行くにも、こもたろが一緒にいる生活。お母さん同士での交流も、子どもありきになってしまうので、同じ障害を抱えている親御さんで集合することばかりでした。

それが、こもたろの手が離れたことで交流の幅が広がりました。療育園以外でのお母さんの友人ができたのです。

その中で、何でも話せる友人が何人かいます。その友人は、我が家の事情を知っています。もちろん、自閉症児のこもたろのことも。

先日、友人と食事に行きました。話して、笑って、とても楽しい時間。子どもの話で盛り上がっている時に、友人が「今度ウチに遊びにおいでよ。こもたろくんも是非一緒に。」と言ってくれました。こもたろが自閉症児だとわかっていてのこの言葉。すごくすごく嬉しい言葉。ありがたい言葉。

涙が出そうになるくらいの幸せな気持ちで、心の中では、「行きたい行きたい!いつにする? お子さんはどんなお菓子が好き? お菓子とジュース、いっぱい持って行くね!」

...でも、言えませんでした。セーブをかけてしまいました。もう一歩が踏み出せない、自分がいます。

息子のこもたろは自閉症児。

話には聞いていても、突飛な言葉や行動を目の当たりにしたら、やはりビックリすると思います。お子さん達はきっと戸惑うでしょう。それがきっかけで、ぎくしゃくする関係になったりでもしたら...? 相手もすごく気を遣うんじゃない? このまま、何ごともなく関係を維持していた方がいいんじゃないの?

もしかしたら、私が無駄に慎重になりすぎているだけかもしれません。でも、やっぱり...勇気が出ない。

「嬉しい。ありがとう。今度ぜひ。」

そう笑顔で答えるのがせいいっぱいでした。きっと来ないであろう、今度。なかなか踏み込んだ関係になれない。

そうさせているのは私の気持ちだとわかっています。でも、勇気が出ないのです。

~続く。

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