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アメリカで人気上昇、ホテルデザインの次なるトレンド

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その昔、魅力的・個性的なホテルというと、無駄を一切省いた超ミニマリストなモダニズム対、フィリップ・スタルクに代表されるドラマチックな曲線溢れるフォルム対、ネオバロック様式のデコたっぷりのスタイル、といったように、主にそのデザインスタイルが勝負所となっていました。

一方、近年はデザイナーズホテル、ブティックホテルというと、逆にこれまでのビジュアル的進化を遡るかのように、何かしら歴史ある要素を取り入れつつ、親しみある心地よさと歴史の重みを感じさせるスタイルが人気のようです。

しかし、ビジュアル面だけに目を向けていては、この20年間でホテル界に起きた最大の変化は、もっとコンセプト的な部分である、ということを見逃してしまうかもしれません。

近頃特に魅力を光らせているのは、ソーシャルな要素を持ち、周りの環境に対してとってもオープンなスタンスを構えるホテル。

以前は、お洒落で話題のホテルの"社交シーン"というと、滞在中のゲストさえなかなか入れないほど、エントランスが厳しいのが自慢だったりしましたが、最近は、もっと地域性・コミュニティ性を大切に反映したスタイルを目指すホテルが人気を博しています。

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ミレニアム公園を見渡す「シカゴ アスレティック アソシエーション」のテラスと、文字どおり多様なゲームを揃えた同ホテル内のバー、"ゲームルーム"

◎ 地元人気分の滞在がより簡単に

近所の老舗で腕を振るうシェフが手がけるレストラン、地元の人気バーテンダーが指揮するバー、地元で焙煎されたコーヒーを淹れてくれるカフェなど、その表現方法はホテルごとに異なるけれど、最近話題性が高いのは、どれも地域の個性を何かしらの形で提供してくれるホテル。

遠くのどこかで流行っているものを上から目線で押し付けたり、全く異なる場所なのに、チェーンだからと同じコンセプトをひたすら打ち出していては、今やデザイナーズホテルとは言えません。

逆に成功率が高いのは、たとえチェーンでも、場所ごとの地域性に合わせて自分たちのスタイルをカスタマイズできるホテル。例えば「エース ホテル」は、シアトルの90年代ロックスタイルをロンドンやニューオリンズで再現しようとしたりはしていません。

その代わり、ショーディッチ地区やウェアハウス・ディストリクトで培われてきたそれぞれの街らしさに焦点を当てた、一軒ごとに魅力あるデザインを作り上げています。

また例えば、「シカゴ アスレティック クラブ」は、かつてその名の通りの会員制クラブだった場所。

それをホテルとして造り替えるにあたりデザイナーチームのローマン・アンド・ウィリアムズは、建物の歴史をしっかり残しつつ、現代の若い旅行者はもちろん、夜遊び(とシカゴ内2軒目となるシェーク・シャック)に訪れたい地元の若者も考慮したデザインを完成させました。

一方、マンハッタンに登場した「ザ・ビークマン」の巨大なアトリウムは、ダウンタウンにこれまでありそうでなかった、便利なミーティングスポットとして人気。

館内のレストランやバーは、地元のベテラン、トム・コリッキオ氏とキース・マクナリー氏が手がけ、どれも本格的なニューヨークの食文化を楽しめるスペースになっています。

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「ザ ビークマン」の感動的なロビー空間は、着々と活性化する新たなダウンタウンのホットスポット

◎ 近寄り難い高級感はもう古い!

街の社交場となっているホテルというのは、もちろん新しいコンセプトではありません。けれど今日のそれは、「サヴォイ」で上品な食事を楽しむ紳士淑女、といったイメージとは違います。

例えばサンフランシスコの「ゼッタ」では、大学生やIT会社の社長と、ロビー脇に設置された巨大なプリンコ(ピンボール風のゲーム)の対戦をすることになることも。限られた人だけにアクセスを制限するのではなく、幅広い人を迎え入れる姿勢がポイントとなっているのです。

カーライル」でウッディ・アレンがジャズバンドに参席するのを静かに見守るのではなく、パームスプリングスの「エース ホテル アンド スイム クラブ」の"アミーゴ・クラブ"で、音楽フェスに向かう途中の人気ミュージシャンと肩を並べてリラックスしていた方が楽しいはず。

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「ホテル ゼッタ サンフランシスコ」では、レクリエーションルームをぐっとアップグレード。パソコンやスマホから目を上げずにはいられません

そして、テキサス州サンアントニオの「ホテル エマ」は、街とホテルの境界線がわからないぐらい、環境に溶け込んだ一軒。

パールと呼ばれるこの辺りは、歴史あるビール醸造所を大型改造し、数百戸のアパートと数十軒のレストランやカフェ、ショップやオフィス、そしてこのホテルを抱える、期待のウォーターフロント再開発地区として、活性化が進んでいます。そんな統合性ある文化的エリアの一部とあれば、ホテルのレストランであろうと、地元のレストランであろうと、その違いは全くなくて当然です。

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川沿いの醸造所を改造した複合開発地域、パールの中に自然に溶け込んだ「ホテル エマ」

◎ シェアリングエコノミーとホテルのあり方

近年人気のアパートシェアも、もともとは超ローカルな体験、ツーリストではなく、普通の地元生活に溶け込んだ滞在がしてみたい、という願いが燃料となって盛り上がったもの。ということは、地元と上手に連携した最近のデザイナーズホテルは、そういったアパートシェアと同じ、少なくとも同じ願いがモチベーションとなって存在しているといっていいはず。

例えばウィリアムズバーグなら、近所のエレベーターなしの4階のアパートを借りても、「ザ ウィリアム ベイル」のような地元っ子も足を運ぶホテルに泊まっても、ローカル色は同等に楽しめるはず。しかも、ホテルなら24時間プロのスタッフが揃っているから、慣れない土地でも安心して滞在ができるはず。

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「エース ホテル アンド スイム クラブ」で楽しみなのは、お洒落な客室空間だけではありません

◎ 良質なホテルは"思い出になる体験"を重視

こうして全体的なトレンドを見ていて分かるのは、最近はより沢山の旅行者の方が、人間味と個性と、思い出になる体験を求めているということ。そして、それを実現するのには、特定化が必要となるということ。

今日のホテル滞在者は、単に"ニューヨークのホテル"に泊まるのではなく、ミッドタウン対ソーホー対ウィリアムズバーグ対ウォール街といった形で、エリアによって滞在体験が大きく異なることを意識しながら宿泊先を選んでいます。

そこにはアクセスや交通の便、近所のアトラクションや騒音レベルといった、外的要素の影響もあるけれど、それ以上に、それぞれのエリアに集まる人がポイントとなってきます。

そして、今最も良質なホテルはどれも、滞在中のお客様ができるだけその地域コミュニティーの一部となれるよう、橋渡しをしてくれるのです。

元記事はこちら:Tablet Hotels Magazine