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韓国の軍事裁判所は、同性愛者を暴き出す軍の違法捜査にお墨付きを与えた ――同性愛者の軍人、A大尉に対する有罪判決に際して

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뉴스1
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韓国陸軍の通常軍事法院(軍事裁判所)は24日、同性愛者であるA大尉に有罪判決を下した。差別とヘイトの暗い影が司法を窒息させている。彼に対して下された懲役6ヶ月、執行猶予1年という判決の根拠となるのは、軍刑法92条の6だ。

【訳注】
軍刑法92条の6(醜行)
第1条第1項から第3項までで規定された者に対して、肛門性交やその他の醜行を行った者は2年以下の懲役に処す。

第1条(適用対象者)
1. この法は、この法に規定された罪を犯した大韓民国軍人に適用する。
2. 第1項の「軍人」とは、現役で勤務する将校、准士官、下士官および兵を指す。ただし、転換服務中の兵は除外する。
3. 以下の各号のいずれかに該当する者は、軍人に準じ、この法を適用する。
1) 軍務員
2) 軍籍を持った軍の学校の学生、生徒と士官候補生、下士官候補生および兵役法第57条による軍籍を持った在営中の学生
3) 招集されて実役に服務している予備役、補充役および第2国民役である軍人

出典 http://www.law.go.kr/LSW/lsInfoP.do?lsiSeq=149926#0000

この法律に被害者はおらず、加害者だけが存在する奇妙なものだ。A大尉の犯罪行為とされたのは、業務上の関係のない相手と私的空間で合意の下に行ったセックスだ。相手が同性というだけの理由で、国家が個人のプライバシーに犯罪の烙印を押したのだ。これが、国連人権理事会で10年以上の理事国を努めている韓国の恥ずべき素顔だ。

韓国軍は、張駿圭(チャン・ジュンギュ)参謀総長の指示の下、A大尉をはじめとする同性愛軍人の性関係を暴き出すためにあらゆる不法行為を行った。陸軍捜査中央団はおとり捜査で性的少数者を探し出した後、同性間で性関係を持ったことを自白するよう強いた。事件が明るみに出て、世論の激しい批判を浴びた軍は、被害者がわいせつ動画を流布したという虚偽事実を広め、被害者の名誉を毀損した。

それでも軍事法院はA大尉に有罪を宣告した。この判決は、違法捜査への免罪符となるだろう。違法捜査にもかかわらず、家宅捜索に許可を出し、逮捕令状を発行した軍事法院は、今回の判決でわずかばかりのプライドすらかなぐり捨てた。4万605人の市民が無罪釈放を求める嘆願書を提出したにもかかわらず。魂を売り渡した裁判官は、韓国司法の歴史に長く汚点として記憶されるだろう。

この事件により、軍独自の法体系を民間に移譲する必要性がさらに強固なものとなった。正義を守って然るべき裁判所が、陸軍参謀総長へのゴマすりのために、不正義の側に立って人権を抹殺するために下した今回の判決は、国民の幅広い怒りを巻き起こし、自らの首を絞める結果となるだろう。

A大尉以外の被害者に対する裁判も今後開かれるものと思われる。実に耐え難い現実だ。このように、性的少数者にとって軍隊はもはや安全な場所ではない。アウティングのリスクに晒され続けてきた性的少数者は、いつプライバシーを暴かれるかもわからないという恐怖まで抱え込まされた。兵役の義務に従えば、犯罪者となりかねない状況に追い込まれている。

韓国の時計は逆戻りしている。性的少数者にとってに安全でない軍隊は、異性愛者にとっても安全ではない。他人の人権を踏みにじり、人生を消し去る空間は、誰にとっても危険だからだ。

軍人権センターは、被害者支援に万全を期す一方、同性愛を違法とし、違憲である軍刑法92条の6の廃止と、誤った権力に司法権を許している軍事法体系の速やかな民間移譲を進めていく。

また、裁判を控えた性的少数者の軍人のための法律サポートで、法廷闘争を続けていく。韓国軍の兵士は出自、宗教、性的指向を問わず、等しく尊重されるべきであり、国は尊厳に等級をつけてはならない。

(翻訳:植田祐介)

ハフポスト韓国版より翻訳しました)