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宮田拓弥 Headshot

「AIの一般化」Y Combinator W17のDemo Day。

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先週は半年に一回開催されるY CombinatorのイベントDemo Dayの一週間でした。

会場はいつもと変わらずMountain ViewのComputer History Museum。会場に到着するとMuseumの玄関に写真の飛行機が。

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これも今回のバッチの参加企業で、NASAなどからの資金を元に開発した「電気自動車」ならぬ「電気飛行機」を商用に展開しようというWright Electricです。飛行機を作ろうというスタートアップがものすごく多いわけではありませんが、一年前のバッチに参加をした「超音速飛行機」Boomも、先日$33Mの大型のSeriesAを発表して順調に開発を進めているようです。こうしたムーンショットのスタートアップに会えるのもYCのDemo Dayの醍醐味です。

Demo Day自体は月曜日と火曜日の二日、そして前回(S16)から導入されたInvestor Day(相思相愛の投資家とスタートアップが20分刻みで一気に面談するイベント)が開催される水曜日と合わせて 三日間連続の長丁場のイベントです。

今回のポストでは、今回のバッチ(W17)の特徴と注目企業について取り上げたいと思います。

プレゼン企業は106社


二日間で登壇した参加スタートアップはトータルで106社一日目の全リスト / 二日目の全リスト)。前回は98社で、大体100-130社くらいという最近の傾向通りです。

参加企業を「カテゴリー」で分類すると下記のような感じで、このトレンドも大きな変化はありません。Saas / Service系が大半を占めるのが最近の傾向で、二年前くらいからはハードウェア系が2割程度を占めるようになっています

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次に「業種」で見てみると、今回のバッチで3社以上いた業種は以下の通りとなります。

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金融(フィンテック)、医療 、ヘルス、フード系などが上位を占めるのはここ最近のトレンドですが、今回は前回から比較して「AI」系が一気に増えたのが大きな特徴です。

一般化したAIの活用


前回のバッチでもMachine Learning、Deep Learning系のスタートアップはいくつかありましたが、数自体がそれほど多くなく、技術自体を売りにしたものが多かったという印象です。

今回は、AI自体の活用プラットフォーム / ソリューション、特定の業種にフォーカスしたサービスなど、バラエティに富んだものが一気に増えたという印象です。

Googleが、I/Oで「モバイルの次のプラットフォームはAIだ」と宣言してから約一年ですが、いよいよAIは何か新しいものではなく、多くの企業がクラウドやモバイルのように一般的に使うものに昇華されつつあるということでしょう。

今回登場したAI関連のスタートアップを一部紹介します。


FloydHub

"Heroku for Deep Learning"

Deep Learning活用プラットフォーム

NanoNets

"ML API that requires little data"

 Machine Learning API(データ共有型)

Quiki

"Auto-Generated Knowledge Base"

FAQ自動生成

MarketFox

"Better Marketing Automation"

MobileフォーカスのMarketing Automation。

Niles

"Conversational Wiki for Business"

Productivity Chatbot

Tetra

"Automatic notes for business meetings"

議事録自動作成


Xix

" A Predictive assistant that anticipates your needs"

 スマホエージェント


Scrumが注目する10社のスタートアップ


もちろんAI系にも幅広いスタートアップが参加しています。特にユニークな10社をご紹介します。

1 : Bulletin(オンデマンドリアル店舗)


WeWorkのノリで、リアル店舗の小売りスペースを月額で借りることができるサービス。オンライン→オフライン出店が加速するD2Cのトレンドに乗っている。

2 : Boxouse(箱型airbnb)


シェアリングの波に乗って「庭もマネタイズしちゃおう」という簡易型宿泊設備。ネタ感はありますが、ちょっと面白い。

3 : lvl5(カメラオンリー自動運転)


一年前にCruiseがGMに買収されてYCとして過去最大のM&Aとなった自動車の自動運転の分野ですが、この会社は現在主流であるLIDARを使わずに、Computer Visionだけで自動運転を実現しようというスタートアップです。これは現在徐々に主流になりつつある取り組みです。

4 : Cartcam (体験動画型コマース)


eコマースにおいて、Unboxingなどのユーザによる体験動画が重要な役割を占めています。これは体験動画をアップすることを条件として商品を割引するというユニークなコマースサービスです。

5 : Voodoo Manufacturing(自動3Dプリンタ工場)


多様な材料が使え、品質も向上している3Dプリンタにロボットを組み合わせることにより、自動で稼働し続ける3Dプリンタ向上を作ろうというスタートアップ。

6 : REZI (賃貸住宅証券化)


賃貸住宅の証券化ビジネス。独自のDLにより適切なアービトラージを見つける仕組みを導入している。

 7 : Indigo Fair(ローカルショップ仕入れ)


パパママストアのデータ化支援。ほぼデータドリブンで仕入れなどが行えていない小規模店舗が陳列商材のA/Bテストなどが行える仕掛け。

8 : Supr Daily(牛乳配達)


ここ3年で一気にグローバル化したYCの参加企業ですが、そのクオリティや将来性は飛躍的に上がって来ている気がします。これは、1億人のインド人に毎日フレッシュな牛乳を届ける牛乳配達ビジネス(現在は7割くらいの牛乳に不純物が含まれているということです)。

9 : FirstHand(セルフサービス店舗)


超ローテクAmazon Goです。カフェやオフィスに設置できる無人店舗。オフィスグリコの拡大版です。

10 : Cambridge Bio Augmentation(体USB)


先日、Elon Muskが「脳とコンピュータをつなぐ」Neuralinkという新しいスタートアップを立ち上げたことが大きなニュースになっていましたが、これはBionicsを体の組織に簡単に接続する技術。

今回もいろんなバックグラウンドを持ち、幅広い社会課題の解決にチャレンジする起業家にたくさん出会えました。次回は夏、8月です。