格差社会の処世術

アメリカに住んでいる僕から言わせれば、日本の格差なんてカワイイものです。でも方向性としては日本もだんだんアメリカのような格差社会に向かっている気がします。

アベノミクスは突き詰めて言えば格差拡大にオーバードライブをかけることで景気にカツを入れ、日本経済を窮地から救おうとする勇敢な(というか虫のいい)政策です。

Market Hackは名もなき小市民が運営しているブログなので、大上段に構えた政策提言などは、しません。

現状を、あるがままにじっくり観察し、個人としていま自分に出来ることを一生懸命考える......それだけです

アメリカに住んでいる僕から言わせれば、日本の格差なんてカワイイものです。でも方向性としては日本もだんだんアメリカのような格差社会に向かっている気がします。

下は米国の所得階層別平均実質家計収入がどう変化してきたかを示すグラフです。1978年以降、上位1%の家計収入の伸び率は、その他の所得階層グループを大きく引き離してきました。

これはアメリカの労働者の生産性が上がっていないからというわけではないのです。実際、労働者の生産性はそれなりに向上しているけれど、1970年頃からそれが時間給の伸びと連動しなくなっているのです。

時間給が伸びなくなっているのは、全員がそうなのではなくて、情弱な下層の人たちだけがボンヤリしている間に置いてきぼりにされています。下のグラフで青は上位5%です。

つまり裕福層の賃金はいつの時代でも着実に上がっていたけど、中流以下の時間給は1995年から2000年(=当時はドットコム・ブームでした)の一時期を除いて伸びていないということです。(なおこのデータは「実質」であり、その計算に際してはインフレ率が大きく影響してくると思います。ドットコム・ブームの時代は経済の強さに比べてインフレは安定していたので、それが結果を大きく左右したのではないか? と思います)

格差社会で「被害を受ける側」に回らないために、どうすればよいか? という事ですが、月並みな結論で申し訳ないけれど、先ず学歴はしっかりつけるべきだと思います。

上のグラフでAdvanced degreesというのは大学院などを指します。

また上位1%の裕福層になるためには、やっぱり自分で会社を持つことが大事だと思います。雇われの身では、いつまで経っても裕福層の仲間入りはできません。

下は所得階層別の資産、債務の分配を示すグラフです。事業持分というのは、平たい言い方に直せばオーナー社長ということです。

また上位1%は株式投資もしっかりやっています。投資用不動産というのは自分が住む家以外の、利殖のための物件を指します。生命保険や預金は庶民の金融商品であり、これらを持っていても裕福層にはなれません。

因みに上位1%の資産の内訳をみると、やっぱり自分の事業持分が富の半分近くを占めています。次に多いのが、自社株以外の株式投資です。

これに対して中流の資産の大部分はマイホームの価値に依存しています。殆どリターンを生まない預金を沢山持っているのも、中流の特徴です。

以上をまとめると、貧困から脱するには先ずちゃんとした学歴が必要ということです。次に株式をはじめとした、価格が変動する資産に対してカムファタブルになる胆力を養成することが急務となります。さらにある時点で独立するなどして自分の事業を始め、オーナーとして自分のビジネスを育むことを通じ、富を築く必要があります。

【チェックポイント】

自分の会社を持っていますか?

株式投資をしていますか?

高い教育を受けていますか?

(2015年1月2日「Market Hack」より転載)

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