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真国立競技場へ13

2015年06月14日 22時22分 JST | 更新 2015年06月14日 22時30分 JST

計画案の方を進めます。

検討の大前提はこちら

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で、芝生席の面積ですが、過去資料によれば約2770坪だそうです。坪というのは日本の尺貫法の面積単位で、タタミ2畳分のことをいいます。レジャーシートの一番小さいもの、コタツの敷布とかが大体そのくらいですね。面積に直すと、9150㎡ぐらいです。

この9150㎡に何人くらい収容できるかというと、、、河川敷で花火を見ているときを想像してみると分かりやすいでしょう。

芝生席で気持ちよく座って観戦というと、こんな感じですよね。

小学校時代の体育座りだと、こうでしょうか。

つまり、過去資料にある、芝生席の収容観客数5万人というのは、立ち見を想定していたということです。

立ち見の場合の占有面積はEVとか、満員のライブハウス会場から想像していただければ分かるように、大体0.25㎡です。

芝生席の収容人員数は、1万5000人~3万5000人で変動することになります。

この初代競技場で学徒動員の壮行会で7万5000人が見送りをされたというのはもう本当に多くの方々が詰め掛けたことを物語っています。

人が通る通路部分のこともありますから、余裕をもって3万人程度とみるべきでしょう。

そいうことで、次のステップではこのスタンド席を増設したいと思います。

上に

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この当時の資料によれば、この観覧席建物の高さは37尺ということですので

2段になっても、20メートルほどの高さ

2層に増築することで外苑西通り側のファサードも、益々東京駅やホテルや大学みたいに重厚でクラシックっぽくなってきました。

これで、高さ20メートル強ですから先日解体されてしまった、旧国立競技場35メートルよりも高さは低いんですよ。

この二段工事の際に、EVや設備系を増強していくことになるでしょう。

つづいて観客席の屋根についてです。

まず、この観客席がどのようになっているか?なんですが

こんな断面をしています。

雨掛かりを避けるようにするには、観客席よりも少し外に張り出していなくてはなりません。

よって、観客席の傾斜部分の幅約35メートルに対して少し余分に40メートルくらいの屋根が必要となるでしょう。

で、その屋根なんですが、ほとんどの場合は支柱を端っこに立てて、そこから屋根を支える梁に向かってつっかい棒を斜めに出しているのが普通でしょう。

そのつっかい棒の接合部をなにやら細かく分解したり三次元加工の部材でかっこよく見せよう、、ということをやっているわけです。

屋根といっても相当な大きさがありますから、自分の重さを支えなければなりません。同時に積雪荷重が一番の問題です。

これは建築構造だからといって何も難しい話ではなくて、身近なものでは壁や柱から出した棚板と同じ原理です。

上から斜めに鎖で吊るか、下からつっかい棒で支えてやるか、その両方の組み合わせです。

この片っ方だけに柱や壁があり、もう片方に柱がない棚。

重い物を乗せても棚板が支えられるようにする仕組みが、スタジアムの屋根の構造の基本的な課題なのです。

大体が日曜大工レベル。中学生でもわかる。

今の新国立競技場問題は、この屋根の支えにする予定のものが存在しないまま、さらにキールアーチというぐにゃぐにゃで基礎がバイーンと外れそうなものを延々と三年間も悩んでいるわけですね。

だから、現在新国立競技場問題で屋根がつかないとかつくとかで連日報道内容まで変わり、文科省が500億円くださいと都知事にねじ込もうとしたり、悩むということ自体、棚板が落ちるか落ちないか、で悩んでいるのと同様で非常にバカバカしい話なのです。

では、我々真国立競技場検討委員会ではどうするつもりなのか

部材点数を減らして、現場作業のもっとも簡易な構造方法。そして、全国のほとんどの鉄工所で加工が可能なくらいシンプルであたりまえの枯れた技術、枯れきった工法。

トラスです。

このような部材を準備します。

上図で黄色いところがトラス。グレーのところが斜面傾斜に合わせた現場打ちの基礎です。

こいつを47本準備する。

鉄骨工場には実はグレードというのがありまして、Sグレード、Hグレード、Mグレード、Rグレード、Jグレードという風に工場の規模や資本力、従業員数等の評価で、工場の格付けが決まっています。

Hグレードというのは各県に1社あるかないか、Sグレードに至っては全国に10数社しかない。

ですから、超大型案件ではこれらの工場にしか発注が流れないんですが、実は職人さんの鉄鋼の加工技術ではMグレードだって、Rだって、Jだって、そんなに変わらない。

このMグレード工場は日本中に存在します。

このどこにでも均等に一定以上の技術力をもった工場や職人さんが、いっぱいいるという日本の技術世界というのこそが、世界にもっとも誇れる日本の建築世界の特徴なのです。

つまり、この建物の工事には、普通のレベルの鉄骨工場なら、誰でも参加できる。

同時に、この鉄骨部材なら、日本中どこからでも運んでこれるでしょう。

47都道府県で、むしろ速さや仕上がりやその溶接やボルト接合の丁寧さや、いろんなことを競いあえばいい。

地方創生、国民参加を詠うなら、この真国立競技場では鉄骨バトル、鉄骨甲子園をやってみたいと思うのですが、いかがでしょうか

そのあたりの、鉄骨にかける熱い想いを以前マンガにしていますのでご興味のある方はぜひ、読んでみてください。

鉄骨マンガの最終校チェック中

鉄骨マンガの最終校チェック中②

鉄骨マンガの最終入稿

鉄骨造とはどういうものか。著書のあとがきでも解説しています。

「予測する力」です。

この全国に発注するトラスですが、敷地にどのように設置されるか、といいますと、このように斜面にインストールされます。

まあ、いってみればデッカイカーポートですかね。簡単な構造です。

これが47本並ぶ。

このように

オールジャパンでつくるので、「オールジャパントラス47」と名付けました。

そして、膜屋根を固定する。

ステップ3の完成です。

何か、初代のDNAを引き継ぎ、二代目のハートを引き継いだようにも見えますね。

意外と空が広いんです。

自動車でいえば短い開発時間やレース期間の中で、定められたレギュレーションの中で極限の速さを競うF1は、贅肉をそぎ落としたアスリート的マシンといえるでしょう。

同様に、建築もギリギリの状況の中では、アスリート的な姿に近づいてきているように思えませんか?

たぶん機能美というのが建築にもあるはずなんです。

この真国立競技場にはブヨブヨして太った贅肉はありません。爽やかな建物、すごくいい感じの施設なんですけど。

ラグビーワールドカップ、そしてオリンピック施設としては、最速で完成フィニッシュです。

真国立競技場のロゴにもピッタリ合ってる感じしません?

というわけで、次章14ではここからさらにオリンピック後も見据えたバージョンアップできる可能性について言及していきたいと思います。

新国立競技場のデザインたち