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米国の量的緩和縮小見送りに関して思うこと

2013年09月19日 18時03分 JST | 更新 2013年11月18日 19時12分 JST

昨日の米国FOMCでは量的緩和の縮小が見送られた。この量的緩和の縮小、すなわち出口戦略は世の中が認識している以上に大問題だと思う。成功しなければ米国はもちろんのこと、その後に量的緩和の出口を模索する日本にとっても悪夢になるからだ。

今回見送られた量的緩和の縮小は、たとえ昨日実行されていたとしても出口戦略の第1ステージに過ぎない。悪影響と言ってもマーケットが動揺するくらいだっただろう。本当に難しい問題は、そのあとにやって来る。ハイパーインフレのリスクだ。FEDが債券の購入を完全に終え、次の段階としていざ資金吸収をしようとしても方法がないのだ。

FEDが短期債を買って資金供給をしている限りにおいては、購入をやめれば量的緩和は終わり、必要とあらば、すぐにでも引き締めに入れる。財務省が市中から税金を徴収し、その資金で満期証券の代り金をFEDに返済してくれるからだ。こうしたオペレーションでFEDは市中から資金を回収できる。引き締めが遅れるにしても、短期債券の満期までという短期間に過ぎない。

しかし今、FEDが2012年9月のQ3から月850億ドルずつ購入している債券は、MBS(住宅ローン担保証券)等の長期債だ。

満期までFEDが保有するとなると、市中からの資金回収が大幅に遅れる。それでは困るからと民間銀行に売却しようとしても買う機関が見当たらないはずだ。なにせFED自身が金融引き締めを行いたい、すなわち金利を引き上げたいからだ。

金利を引き上げると、国債価格が下がる。買った途端に値段が下がる長期債を購入する機関などない。そうなると資金吸収が不可能になって、インフレへの道まっしぐらだ。

残る資金吸収の手段は新券発行と預金封鎖という暴力的なものしかなくなってしまう。

だからこそ平和時において、「長期債購入による量的緩和」という危険極まりないオペレーションなぞ、どの中央銀行もかつて行ったことがないのだ。

日銀もFEDと同じ問題を抱えている。10年国債を大量に購入し続けているからだ。その昔、日銀が長期国債購入による資金供給を行っていたのは事実だ。しかしそれは「成長通貨の供給」といって、経済成長に伴い必要になる資金の供給に限られていた。将来、吸収する必要のない資金を長期国債の購入で供給していたのだ。今は当時と違い、将来吸収しなければならない資金を長期債の購入で供給している。危険極まりないオペレーションだと私が言うのはその点だ。

昨今の景気回復は、安倍首相が「円高はデフレを助長する」「円高を是正する」などと発言したことによって起きた円安によるものである。

市場原理の働かない日本においては、量的緩和では円安は進まない。「百害あって一利なし」の量的緩和に私は大反対だ。どうしても景気刺激を金融政策で行いたいのなら、マイナス金利の採用しかない。これが私の20年近くにわたる主張である。