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猪野元健 Headshot

絶滅危機のレッサーパンダ、飼育は日本が世界一 「風太」が知名度や繁殖で貢献

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立ち姿で有名になった千葉市動物公園の風太は7月で13歳です。子孫が海外に渡るなど子づくりでも大きな役割を果たしています。

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えさを食べようと二本足で立つレッサーパンダの風太=どれも5月、千葉市動物公園、猪野元健撮影

千葉市動物公園のえさやりの時間。飼育係の浜田昌平さんがリンゴを持つ手を上げると、風太はつられて後ろ足だけで立ち上がりました。「年をとって落ち着いてきたけれど今も立ちますよ。最近は『あの動物は今』なんて取材が多くなってね」と浜田さんは来園者に解説し、笑いを誘いました。

風太は2003年7月5日に静岡市立日本平動物園で生まれ、もうすぐ13歳(人でいえば60歳くらい)になります。誕生日には毎年、ファンからえさの差し入れや寄せ書きがよせられます。人気者になったきっかけは、2005年5月に背筋を伸ばして立つ姿が新聞で報道されたことです。「二本足で立つレッサーパンダ」として全国で注目され、写真集の出版やCM出演など、動物界のスターになりました。

浜田さんによると、野生のレッサーパンダは竹の葉が主食で、高い場所にある好物のやわからい葉を取ろうとするときなどに手を伸ばして立つといいます。若いときの風太は好奇心が強く立つことが多かったそうですが、ほかのレッサーパンダも二本足で立ち上がります。

風太はレッサーパンダの知名度を高めただけでなく、子孫を残すことでも大きな役割を果たしました。1986年にレッサーパンダの飼育をスタートした千葉市動物公園で、初めて繁殖に成功したのが風太とめすのチィチィ(15年に12歳で死亡)のペアです。2006年に双子が誕生し、これまでに5男3女が育ちました。このうち7匹が別の動物園に移動しました。全国に孫世代が約20匹、ひ孫もいます。

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好物の竹を口に入れ、むしゃむしゃと食べる風太

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木登りが得意なレッサーパンダは、木の上で生活することが多いです

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レッサーパンダ舎前では、風太ファミリーが紹介されています

レッサーパンダは、中国南部に分布するシセンレッサーパンダ、ヒマラヤからミャンマー北部に分布するネパールレッサーパンダの2亜種に分類されます。日本の動物園では風太をふくめシセンレッサーパンダが一般的です。

シセンレッサーパンダの生息地では森林伐採などの影響で絶滅の危機にありますが、国内では数が増えています。2015年末現在、55施設で過去最高の258匹が飼育されています。世界の飼育数の7割以上をしめます。

日本へは中国からの友好のしるしとして、1980年代から輸入が増加しました。絶滅のおそれのある野生動植物の国際ルール「ワシントン条約」で取引がきびしくなり、95年ごろからはほとんど入っていません。数が増えたのは、日本の飼育技術が向上し、風太ブームを受けてレッサーパンダの展示に力を入れる施設が多くなったことが背景にあるようです。

動物園の間では、レッサーパンダをひんぱんに移動させています。相性のいいペアをつくり、血縁が近いもの同士を交配させないねらいもあります。血縁がこいと、病気に弱くなったり繁殖しにくかったりする可能性があるためです。

国内のレッサーパンダ管理のまとめ役をつとめる静岡市立日本平動物園によると、風太の子どもらが繁殖のためにカナダやチリ、台湾などに繁殖目的で引っ越しました。日本の動物園がシセンレッサーパンダの絶滅をふせぐ「種の保存」に大きな役割をになっています。

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ファンが私費でつくり動物園に寄贈した風太の石像(右)。チィチィ、初めての子の長男ユウタと長女風花の双子も

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5月23日付の朝日小学生新聞に掲載した連載「動物園のいま」に加筆し、写真を追加しました。

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