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小児医療費を考える

2017年03月25日 21時45分 JST | 更新 2017年03月25日 21時45分 JST

平成15年から平成25年までの年齢別の一人当たり医療費の伸びを、後期高齢者(74歳以上)と小児(14歳以下)で比較してみると、下記のようになります。

年齢   伸び率(平成15年=100)

0- 4 123%

5- 9 132%

10-14 129%

75-79 107%

80-84 116%

85以上 119%

14歳以下の一人当たり医療費の方が、後期高齢者の一人当たり医療費より伸び率が高くなっています。

日本の子供は身体が弱くなっているのでしょうか。

どうもこの背景には、各自治体の小児医療費の助成があるようです。

2004年には、日本の自治体の96%が、小児医療費の助成対象を小学校に入る前までとしていました。同じ2004年に小児医療費の助成を中学校卒業までとしていた自治体は、全体のわずか0.4%に過ぎませんでした。

ところが2014年になると、中学校卒業まで小児医療費を助成するとしている自治体が、なんと全体の40%になりました。その一方で、小児医療費の助成対象を小学校に入る前までとしている自治体は38%と大きく減少しました。

首長選挙のたびに小児医療費の助成対象年齢が引き上げられてきたことがよくわかります。

医療費の自己負担額が少ないと、消費者の受診回数が増えることがわかっています。特に医療費が無料の場合、その傾向が強くなります。

小児医療費が無償になっている自治体で、コンビニ受診と言われる不必要な受診が増えているとの指摘があります。

小児医療費の無償化が小児科医の負担を増やしているという指摘はよく聞かれます。

他方、医療費の自己負担額の大小が健康状態に大きな影響を及ぼすことはないというのがこれまでの様々な研究の結論です。

ただし、低所得世帯の子供、特に子供の健康状態が悪い時には、自己負担の有無が影響を及ぼすことがわかっています。

しかし、所得制限なく小児医療費を無償にしている自治体も多く見られます。例えば東京都23区は、港区をはじめ、すべて所得制限なく、自己負担なく、中学校三年生まで、千代田区は18歳まで、小児医療費は無償です。

年齢別の一人当たり医療費をみてみると、0歳から4歳までは22.0万円と高くなっていますが、5歳から9歳までは11.6万円と半減し、10歳から14歳は8万円、15歳から19歳は6.6万円と人生で最も医療費がかからない年齢になります。

小児医療費の助成は子育て支援策として必要だという意見もあります。

しかし、例えば東京都目黒区の場合、所得制限なしで、中学校三年生まで、通院、入院いずれの場合も自己負担はありません。その一方で、目黒区の待機児童は平成24年の143人から平成28年には299人まで増えています。

待機児童がいる東京都区内で、小児医療費の助成の対象年齢を引き下げる、あるいは所得制限をかけて、その分を待機児童対策に回すといった議論が行われてきたのでしょうか。

首長選挙のたびに、あるいは地方議員選挙のたびに、小児医療費の助成対象年齢の引き上げが主張されます。しかし、対象年齢の引き上げにはコストがかかります。

対象年齢を引き上げますという公約を打ち出す一方で、その財源はこうしますという説明がないことがほとんどです。

例えばそのためにいくらかかるので、その分、固定資産税を引き上げますとか、ごみを有料化して財源をひねり出しますとか、あるいは、対象年齢を「引き下げて」待機児童対策に予算を回します、あるいは住民税を引き下げますという提案があって、はじめて政策議論になるのではないでしょうか。

もし、あなたのまちでこうした議論が起きたら、財源はどうするのか、優先順位は正しいのか、しっかり議論してください。

(2017年3月24日「衆議院議員 河野太郎公式サイト」より転載)