危機的な銚子市の事業仕分け

銚子市の事業仕分けに参加しました。銚子市は、財政状況が悪く、財政再建団体転落一歩手前です。
Japan, Kanto Region, Chiba Prefecture, Choshi, View of Byoubugaura cliff. (Photo by: JTB/UIG via Getty Images) (Photo by: JTB Photo/UIG via Getty Images)
Japan, Kanto Region, Chiba Prefecture, Choshi, View of Byoubugaura cliff. (Photo by: JTB/UIG via Getty Images) (Photo by: JTB Photo/UIG via Getty Images)
JTB Photo via Getty Images

銚子市の事業仕分けに参加しました。

銚子市は、財政状況が悪く、財政再建団体転落一歩手前です。

一般会計のお金が足らず、水道特別会計から四億二千万円を借り入れるという荒技でつなぎましたが、水道特会もお金があるわけではないというのが、今日の仕分けで市民にもわかりました。

構想日本が、すでに銚子市では二回、事業仕分けをやっていて、私は一昨年の仕分けにも参加させていただきました。

今回は、銚子市の施設に焦点を当てた事業仕分けになりました。

私の入った第一班は、東京都や浜松市の自治体職員と小田原から夕張に住民票を移したビルメンテナンス会社の代表取締役と私の四人が仕分け人を務め、そして構想日本の伊藤伸さんがコーディネーターでした。

最初の対象事業は、斎場管理運営事業。

火葬をするだけの施設なのにプロポーザル公募方式で指定管理者が決められ、結果として、焼却炉メーカーがそのまま指定管理者となり、コストが高くついていました。

さらに斎場使用料が安く、受益者負担になっておらず、一般会計の負担が大きくなっています。

コストの見直しと受益者の負担の適正化、そして長期的には近隣自治体との共同での施設に移行すべきという判定になりました。

二つ目は青年館管理運営事業です。

銚子市には、青年館と呼ばれる集会施設が94館あります。そのうち38館は銚子市が保有するもので、築50年から30年近いもの。56館は町内会が保有しているが、同様に古くて耐震も不十分です。

これらの改修や建て替えをどうするかということですが、そもそも利用頻度が月一回程度から二、三回のものばかりで、お祭りの太鼓をしまう倉庫代わりでしょうか。

さらに銚子市にはコミュニティセンターがあり、憩の家をはじめとする同様の公共施設もあり、小、中学校だって放課後に利用することもできるのだから、市が保有する青年館は全廃、町内会が自ら管理運営するならば引き渡す、町内会が運営するものについては、市の助成はなしにするべきというのが大勢でした。

青年館を担当している部署では憩の家については関知していないなど、似たような施設を縦割り管理していることから施設の無駄が生じています。

午後一番の事業は、消防団消防庫管理運営事業。

銚子市内の消防団九分団四一部の拠点整備の費用です。毎年、二千万円近くかけて一つを新築し、四十年という計画ですが、そもそも消防団の配置が適正なのか、市の他の施設が新築、改築されるときにそこへ複合化など、長期的な必要性の見直しをすべきということになりました。

次の水道施設管理運営事業が、今日一番の問題でした。

まず、水道特別会計は、一般会計にお金を貸せるほどの余裕はなく、貸した四億二千万円も五年間できっちり返してもらわないと困るという状況です。

四億二千万円も単年度で足らない一般会計が、翌年から一億円ずつ、返済ができるのだろうかという疑問を、今日の市民判定人の皆さんはきっと思ったでしょう。

銚子市は、自らの水道事業の他に、旭市や東庄町と一緒に、東総広域水道企業団を設立し、そこからも受水しています。ところが昭和五六年に締結された覚書の申し込み水量に対して、銚子市はその二割しか使用していません。

ところが受水費の基本料金は、この申し込み水量で計算されるため、銚子市は申し込み水量の二割しか使っていないのに、毎年五億円も負担しています。しかも、それがほとんど問題視されて来ませんでした。

この東総広域水道企業団との関係を明確にし、覚書を締結し直して負担を下げるのか、覚書まで受水量を増やし、自らの水道事業を縮小するのか、長期的な戦略をはっきりとさせることと、短期的には、現在は非常に安い水道料金を長期的に見て適正な設備投資ができるところまで引き上げるという両方を市民に示し、了解を得るべきというのが仕分け人の意見であり、市民判定人も合意してくれたようです。

最後の事業は高等学校管理運営事業で、市立銚子高校をどうするべきなのかという議論でした。たしかに歴史のある市立高校かもしれませんが、現在の銚子市に、市立高校を運営していくだけの理由と財政能力があるのかどうか。

また、市立銚子の高校生のうち、市内から通学するのは四割ですが、市外から来る高校生に何も追加負担を求めなくてもよいのかどうか議論になりました。一般会計から七千万円ぐらいの持ち出しになっていますが、それを銚子市民が税金という形で負担するのがよいのか、そこは市外からの通学者に受益者負担という形で求めるのか。

また、市立銚子高校の施設の管理運営はPFI事業として公募プロポーザル方式で入札されたが、やはりコストが極めて高くなっていることが問題視されました。

また、将来的に、高校の生徒数が減少していくことが予想される中で、長期的に施設管理コストがPFI事業として固定されているため、銚子市の負担額が大きくなることも問題として取り上げられました。

なぜ市立高校が必要なのかという問いに対して、行政からは、かつて創立の時の考え方はこうだったという返答がありましたが、これから銚子市が、この財政状況の中ででも市立高校を維持していくのはなぜなのか、考えられているとは思えませんでした。

銚子市民の皆さんが、市立高校に対しては、答えを自ら出さなければならないと思います。

財政が破綻すれば、現状よりも、行政が提供できるものははるかに少なくなります。行政サービスは極めて限定されます。

銚子市の行政にその危機感があるかといえば、ないといわざるを得ない一日でした。

(2015年9月1日「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)

注目記事