医療費を考えるために

行革推進本部のこれからの大きなテーマは社会保障、特に医療・介護になる。ところが「医療費」といったときに様々な定義と数字があって、それを把握していないとややこしい。(把握していたってややこしいのだが。)
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行革推進本部のこれからの大きなテーマは社会保障、特に医療・介護になる。

ところが「医療費」といったときに様々な定義と数字があって、それを把握していないとややこしい。(把握していたってややこしいのだが。)

国民健康保険や健康保険組合、協会けんぽなどの「医療保険本体の医療費」は2011年度の数字だが、36.1兆円になる。

これに生活保護の医療扶助等、医療保険ではないが公費で負担している医療費を加えたものを「医療保険制度等の医療費」と呼びその総額は37.8兆円になる。

さらに労災の医療費や全額自費負担になる医療費を加えたものが「国民医療費」で38.6兆円。

医療費の国際比較などで使われるものは「OECD総保健医療支出」とよばれ、我が国でいう「国民医療費」に妊娠分娩費用や予防に係る費用を加えたもので、我が国の場合47.5兆円。

この「OECD総保険医療支出」をGDP比でみるとOECD平均9.3%に対して我が国は9.6%と少し上回っている。

これまではよく日本の医療費はOECDの中でも低いと言われていたのだが、最早、そうではなくなってきた。

さらにこの「OECD総保健医療支出」を人口一人当たりでみると、我が国は、ほぼOECDの平均並み。

しかし、総保健医療支出の中でも医薬品に関する一人当たり支出では、アメリカ、カナダ、ギリシャに次いで4番目の高額となっている。

さらに、この一人当たり総保健医療支出の実質の伸び率で比較してみると、2009年から2011年までの実質伸び率が4.9%と韓国(6.3%)、チリ(5.5%)に次いでOECD34か国の中で3番目に高い。ちなみにOECDの平均伸び率は0.2%だ。

こうした数字をしっかりと頭において、議論していきたい。

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