政府から、自民党に対して新たな国立競技場の建設プランが示された。六万八千人の収容人員、仮設のサブトラックを持つ陸上競技場で中央にサッカーのピッチを持つ。総工費は1540億円。

政府から、自民党に対して新たな国立競技場の建設プランが示された。

六万八千人の収容人員、仮設のサブトラックを持つ陸上競技場で中央にサッカーのピッチを持つ。総工費は1540億円。

常設のサブトラックのめどがたたないため、オリンピック後には陸上競技用のトラックをつぶすことも明確になった。

稲田政調会長と相談し、自民党としてはこのプランを了承しないことにした。

関係閣僚会議事務局は、政務に対して、このプランでみんな賛成するなどとでたらめな情報を上げていたこともわかった。

自民党は、政府に対して、1540億円を上限とし、今後の設計などでさらなるコストダウンを求めるとともに、1540億円の財源を明確にすることを求める。

実はこのプランには隠された狙いがある。

固定席六万八千人に加え、トラックをつぶした後に一万二千人分の仮設席を設ければ、FIFAのいう招致ルールの八万人のスタンドという条件をクリアできるというスケベ心が見え見えだ。

招致が決まったオリンピックのための競技場ならば、建設するというオプションもあるが、招致するかどうかもわからないワールドカップのためにコストを増やすというのは、行革推進本部長として、到底受け入れられない。

関係閣僚会議には、サッカーのワールドカップ招致には前向きの声が強いという情報が挙げられたようだ。

サッカー協会にしてみれば、身銭を切らずに競技場が整備されることに反対する理由はない。サポーターもワールドカップ招致には反対しないかもしれない。しかし、招致にかかるコストは考慮されていない。

以前に書いたように、日本のサッカー界が直面する問題は、ワールドカップ招致とはずれている。

2020年のプライマリーバランス黒字化という財政目標を掲げているなかで、「できたらうれしい」というだけで予算を使うわけにはいかない。

今回の競技場は、固定席六万人に仮設席八千人で十分なはずだ。その場合、総床面積を削減し、建設コストをさらに削ることができる。

(2015年8月28日「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)

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