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自由民主党の新国立競技場見直しプラン

2015年08月07日 21時29分 JST
ASSOCIATED PRESS
The official emblems of the Tokyo 2020 Olympics and Paralympic Games, is unveiled at Tokyo Metropolitan Plaza in Tokyo, Friday, July 24, 2015. (AP Photo/Shizuo Kambayashi)

自民党の行政改革推進本部と内閣・文科両部会でまとめた新国立競技場の見直しプランです。

自民党の政調審議会と総務会の了承をいただき、正式に自由民主党の見直しプランとなりました。

これを首相官邸で、総理及び五輪担当大臣に提出しました。五輪担当大臣の下、このプランに基づき、責任を持って見直しが行われることになります。

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新国立競技場(オリンピックスタジアム)見直しプラン

平成27年8月7日

自由民主党

新国立競技場建設計画(以下、旧計画)が白紙撤回となった経緯を検証し、その責任を明らかにすると同時に、これまでの経緯を反映させた見直しプランを提言するものである。

検証作業については、9月上旬に最終報告を行うが、中間段階の現時点においても、旧計画の策定にあたり、いくつかの問題があったことが浮き彫りになった。

まず、オリンピック招致を成功させるため、施設整備計画のインパクトが優先され、招致のための総コストの上限など、具体的な負担可能能力の議論がなかったこと、旧計画の策定の中で、オリンピック後に何をどんな形で残すのかという検討がきちんと行われていなかったことがあげられる。

旧計画の予算については、JSCの有識者会議でも議論されていなかったこと、関係者からの要望を取捨選択せず、相容れないスペックも同時に掲げたこと、減価償却費を考慮しないという安直な考えで、ランニングコストの黒字化を図るために初期投資を大きくしたことがあげられる。

さらに、予算にあわせて設計を変更するという考えが薄かったこと、ザハ氏との契約書をはじめ施工予定者との交渉など、非公開にされた情報が多く、計画途中での見直しにつながらなかったこと、JSCに能力を超えたマネジメントを要求し、それをサポートする体制が構築されていなかったことなど反省点が多々ある。

こうした検証を踏まえて旧計画を見直しするにあたり、あらかじめこうでなければならないと決めうちをすることは厳に慎み、必要なステップをきちんと踏みながら、現在の財政状況にあった計画をたてねばならない。

基本方針

新競技場は「白紙」から考える。

オリンピックのために新競技場を建設する場合は、2020年初頭までに完成させる。

コスト意識を持ち、建設費とその積算根拠と多様な財源を明確に示すとともに民間活力を生かした計画を実行する。

東京都のスポーツクラスター構想や神宮外苑まちづくり計画と一体化した計画をつくる。

何が必要か

オリンピックのために新競技場に必要な要素は主に開会式・閉会式、陸上競技、サッカー等の三つである。 

ゼロ・オプション

現在の我が国の財政状況を考えれば、たとえオリンピックといえども無駄なコストをかけることは避けなければならない。

新競技場に必要な三要素、開会式・閉会式、陸上競技、サッカー等のうち、陸上競技とサッカー等には駒沢競技場の改修、味の素スタジアムの活用といった代替案がある。

残る開会式・閉会式に関しては、現状では6万人収容のスタンドという条件がある。しかし、オリンピックの施設にかかる費用が負担となり、招致を辞退する都市が続出するなかで、新しい日本を世界に印象付けるためにも、スタジアムという閉鎖的な空間から飛び出す新たな開会式のあり方をIOCと協議するべきである。

数百億円の費用を削減できることを考え、政府は真剣にゼロ・オプションを検討すべきである。

競技場をつくる場合

オプション1

国立競技場跡地に、6万人のスタンドを持つ天然芝の陸上競技場・球技場兼用スタジアムを建設する。屋根は観客席を覆うものとする。陸上競技のサブトラックは仮設とする。

オプション2

国立競技場跡地に開会式、閉会式とサッカー等のための6万人のスタンドを持つ球技場を建設し、オリンピックの陸上競技のために駒沢競技場を改修する。

陸上競技場としてオリンピックに必要なのは3万人規模のスタジアムであり、常設のサブトラックを持った第一種の競技場が東京にできることがオリンピックレガシーとしてもふさわしいと考えると、駒沢競技場を改修し、3万人規模のスタジアム等、オリンピック用に整備すべきである。オリンピック後は、東京に、世界陸上も開催することができる合理的な大きさの陸上競技場が残ることになる。

常時利用可能な陸上競技場を国立競技場跡地に建設することは、サブトラック用地がないため難しい。仮にオリンピックのために仮設のサブトラックを建設したとしても、オリンピック後は陸上競技場として使用することはできない。

陸上競技用のトラックがある競技場では、ピッチとスタンドに距離ができるため、球技の観戦のためにはベストとは言えない。また、6万人のスタンドでは陸上競技としては大きすぎることになる。

開会式、閉会式とサッカー等のための6万人のスタンドを持つ球技場の新設とオリンピックの陸上競技のための駒沢競技場の整備は合理的な選択肢である。

サッカーのワールドカップ招致を視野に入れた8万人収容のスタンドの要求があるが、サッカー大国ブラジルでさえ、スタジアム建設を巡り、国内で大きな反対が起きた。現行のFIFAルールではワールドカップを招致することができる国は限られてくる。そうした現状に鑑み、日本が再度、ワールドカップを招致しようとするならば、現在のFIFAルールの変更を協議したうえで、既存の施設の活用を考えるべきである。

また、コンサート等イベントのための屋根の要求もあるが、基本的に天然芝と全面屋根は両立しない。また、遮音のための屋根を可動式にすることは現実的ではない。オリンピック後に競技場をイベント等に使用することは考慮すべきだが、全面屋根は合理的ではない。

どうつくるか

オプション1(民設民営)

国は土地を提供し、民間事業者が新たな競技場を含む施設を建設し、一定期間、管理運営をするものとする。オリンピック後は運営管理には国費、totoの売り上げを投入しない。

オプション2(民設民営+国庫補助)

国は土地を提供するとともに建設費の一定額を負担する。民間事業者が新たな競技場を含む施設を建設し、一定期間、管理運営をするものとする。オリンピック後は運営管理には国費、totoの売り上げを投入しない。

オプション3(公設民営)

国は新たな競技場を建設し、オリンピック終了後の運営については、民間事業者の知見を活用した運営体制を整備する。そのために、早急にオリンピック後の活用を考慮したビジネスプランを公募する。公設の場合、日本の設計・建築業界の総力を挙げたコスト削減のための最大限の努力が必要である。オリンピック後は運営管理には国費を投入しない。

いずれの場合も、オリンピックのレガシーを後世に残すべきである。神宮の環境を保全し、日本の文化を発信するために、木材等の多様な資材を利用したり、大規模災害時の防災拠点となったりすることを考慮し、設計および都市計画の専門家による審査を経る必要がある。建設コストを抑えると同時に、その競技場をオリンピック後にいかに多くの国民が活用して利益を生み出すか、あるいはコストを最小限にするかということが重要であり、単なるデザインのコンペではなく民間活力を十分に生かしたビジネスプランとそれに基づいた設計を競わせるべきである。

JSCが名義上、発注者等にならざるを得ないかもしれないが、今後の設計、建設、管理運営は、JSCではなく関係閣僚会議が責任を持つ体制をとるべきである。その上で、オリンピック後の管理運営については、JSCからハード部門を切り離す必要がある。

以 上

(2015年8月7日「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)

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