各電力会社による再生可能エネルギーの接続保留問題に関する省令改正で、平然と行政手続法違反を犯そうとしていたエネ庁だったが、さすがに態度を改めた。

各電力会社による再生可能エネルギーの接続保留問題に関する省令改正で、平然と行政手続法違反を犯そうとしていたエネ庁だったが、さすがに態度を改めた。

パブコメ最終日の1月9日の朝、エネ庁長官は、500から600通のパブコメが来ているが、順次対応しているなどとうそぶいていた。

しめきってみると2000通を超えるパブコメが出されていた。

行政手続法違反を指摘しなければ、おそらく寄せられたパブコメの大半を無視して、3連休あけに省令改正が行われていたであろう。

パブコメを整理した結果、例えば住宅用の太陽光発電設備についてエネ庁は立場を変えた。

元々は、すべての住宅用太陽光発電設備に出力抑制のための設備をつけさせると言っていたが、パブコメの結果、今後設置される住宅用太陽光発電設備に関しては、出力抑制の必要性が視野に入ってきた段階で、出力抑制のための機器をバックフィットすればよいとなった。

つまり、現実的には住宅用太陽光発電にまで出力抑制が及ぶことはないということをエネ庁も認めたのだ。

もし万が一、そういう事態になったとしても、出力抑制のための機器は一万円程度ですむとエネ庁は説明している。もしそれが本当ならば、仮にそうした事態になったとしても負担は一万円程度に収まる。

しかし、メガソーラーに関しては、無補償、無制限の出力抑制を前提とした導入ということになりかねない。

エネ庁は、内々には、おそらくそんな事態にはならないと言うのだが、かりにそんな事態になった時の負担に上限はない。そのリスクが明確にならない状態で、金融機関からの融資を受けられるかという問題が起きる。

損保会社がそうした事態向けの保険を開発してくれるだろうか。

出力抑制に対する補償を行うことは、発電されていないものに対して国民負担が発生することになるから補償を発生させられないというのがエネ庁の主張だが、なぜ、賦課金で補償しなければならないのか。

電力会社がどの程度、再生可能エネルギーを導入できるかシミュレーションを毎年二回程度実施して、導入量が決まるというならば、補償は賦課金ではなく、電力会社が負担すればよいだけだ。

そうしなければ電力会社に正確なシミュレーションを行うインセンティブが働かなくなる。

パブコメに関わる手続き違反に関しては、来週中にも各省から提出されてくるが、パブコメの内容が反映されているかどうかのチェックをどうするか、引き続き検討している。

(2015年1月17日「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)

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