30%援交発言の衝撃!ブキッキオさんの件の顛末(後編)

国連人権理事会に提出される最終報告書でマンガやゲームを販売禁止にするような勧告がでないようにするために、あらゆる努力が必要だと思っています。

【特別寄稿】国連特別報告者 ブキッキオさんの件について

~マンガ・ゲームを規制する国連勧告を出させないようにするために~

*本コラムは2015年12月発売のAFEEマガジンvol4のコラムをwebに載せたものです

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国連報告者のブキッキオ氏のやりとりについては、「日本の女子中高生の13%が援助交際をしている」という発言で脚光を浴びましたが、それ以外にも様々な問題を抱えています。特に、来年、2016年3月に最終報告書が国連人権理事会に提出される見込みですが、その中でマンガやゲームを販売禁止にするような勧告がでないようにするために、あらゆる努力が必要だと思っています。

児童の性的搾取の担当省庁はなし

私との面談でブキッキオ氏が盛んに強調されていたのが「日本では児童の性的搾取に対する総合的な戦略がない」ということでした。確かに、2001年以降、日本はこういった総合的な計画を立案していません。しかしながら、各省庁では個別に対策を行っているのではと考えていました。

そこで、外務省に加えて、総務省(児童ポルノ排除総合対策担当)、法務省(児ポ法)厚労省(児童福祉法、児童虐待防止法など担当)、警察庁(各種執行機関)、文科省(中高等教育担当)の担当者に確認して、驚くべき事実が発覚したのです。

参議院議員会館の私の部屋で「児童の性的搾取」の担当部署はどこになるのかという質問をしたところ、どの省庁も顔を下に向けてしまったのです。個別に聞きましたが、どこの省庁も自分の省庁ではないと言い張るばかり。これでは、国連に指摘をされて当然の状況です。一旦は、省庁に調整をして部署を決定するよう依頼をしましたが、ギブアップしてしまい、11月末にでも6省庁での調整会議を私の部屋で行う予定になっています。

今後の取り組み

来年3月に向けて、マンガやアニメ・ゲームの禁止が国連からの勧告に盛り込まれないよう、国民的な運動にしていく必要があると思っています。これは二つの意味で効果があると思っています。一つが、直接国連に対して働きかけが出来るという点。もう一点は実際に勧告が出た際でも、日本政府に対して国民の意思としてはっきりと示すことができるということです。

具体的なアイディアは今、関係各位と一部相談を始めているところです。年明け早い段階で(その頃はこのAFEEマガジンVol.4も発売されていますね)皆さんにもお知らせできると思います。そして、その時には皆さんにもご協力頂くことが多いと思います。是非、よろしくお願いします。

最後に

私は前回の選挙で「表現の自由」を重要公約として選挙を戦いました。そして、その後国会議員になり、次から次へと表現規制の問題がわき上がってきました。その時、いつも規制を推進しようとする論拠は、国連からの勧告であり、国際会議で不当に日本が糾弾されてきた事実です。

2016年の3月の国連からの勧告は、今後を占う意味で非常に大きな意味を持ちます。仮に、勧告が行われれば、その事を根拠に、青少年健全育成基本法や児童ポルノ禁止法によるマンガ・アニメ・ゲームの国レベルでの規制が行うべきだとの議論が高まることは間違いありません。

その意味でも、3月4日の勧告は非常に大きな意味を持ちます。是非、皆さんと運動を盛り上げ、日本の表現をする自由や表現を楽しむ自由を守って行きたいと思います。(参議院議員 山田太郎)

*本コラムはC89で発売のAFEEマガジンに掲載されています。

(2016年3月7日「参議院議員 山田太郎 公式webサイト」より転載)

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