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国内でのテロは?国際支援活動は?失われる「非軍事ブランド」の重さ

2015年06月12日 01時48分 JST | 更新 2015年06月12日 01時48分 JST

日本の「非軍事ブランド」を捨てていいのか?

集団的自衛権を考える際に、私が最初にお伝えしたいことは、日本の「非軍事ブランド」「平和ブランド」の重みについてです。たとえば、戦地において自衛隊の官舎や車両に日本の国旗(日の丸)をかざしておけば、アメリカのそれと比べて、標的となるリスクは今まで低かったと考えています。これは、日本の最大の平和ブランドといえるのではないでしょうか。過去の経緯を鑑みた結果論としても、「非軍事ブランド」「平和ブランド」があったからこそ、今の日本の世界各地での平和貢献が存在したのではないかと考えます。

しかし、今行われている集団的自衛権等の議論において、「米軍と軍事行動を共にし、後方支援していくこと」を選ぶとすれば、米軍に従軍、一体化のイメージがつき、「非軍事ブランド」「平和ブランド」を捨てることになります。平和ブランドで本当に日本を守れるのか?という意見があるかもしれません。しかし、最初から集団的自衛権ありきで議論するのではなく、その手前の段階の議論で、平和ブランドを捨てる覚悟ができるのかどうかを議論する必要があると感じています。

専守防衛の概念を変えると敵が増える!

もうひとつ、「専守防衛」の概念を変えることについての議論も必要です。「先制攻撃は行ってはならず、自国が攻撃されてから、軍事力を行使して守備と防衛に徹する」また、「攻撃されたからといって、宣戦布告をしてもいけない」というのが、防衛に専守するという軍事作戦です。しかし、この概念を変えて、集団的自衛権でアメリカとともに軍事行動をすることになると、専守防衛の枠組みを大きく超える可能性が出てきます。

もちろん、安倍総理は、専守防衛に徹すると主張されていますが、現実的なことを考えると、交戦状態になってしまったときには、専守防衛だけで耐え凌げるかどうかはわかりません。

また、日本が実際に揉めている国は、現在中国、北朝鮮、ロシアの3ヶ国程度ですが、それ以外の国に対しても、軍事行動をとる可能性をつくることが、あるいは先方にそう取られることが、本当にいいことなのでしょうか。アメリカの後方支援をするということは、「アメリカと一緒に軍事行動をやっている国」というように一体化して見られることであり、周辺三カ国以外にも、かえって敵を増やしてしまうことにもなりかねません。これらをふまえると、私は、周辺事態への対応という枠組みを超えて集団的自衛権を行使することは、日本にとってプラスにはならないと思っています。

日本がとるべき行動は?

日本ができるアメリカへの協力手段は、軍事的後方支援だけではないと思っています。たとえば、仮にアメリカが戦争状態になった場合に、平和な先進国である日本が仲裁をすることも支援の一つといえるでしょう。しかし、アメリカと一体になってしまったら、平和ブランドというカードを切ることができなくなります。アメリカと軍事行動を共にすることで大切なカードを失ってしまって、本当にいいのでしょうか。私は、集団的自衛権を行使することだけが、今後の日本の平和につながるとは、思えないのです。

自衛隊員のリスクについても議論されていますが、現実的に世界では日本の自衛隊でしか平和貢献ができない地域があることも確かです。紛争地帯の周辺地域で、特に欧米が当事国となっているエリアの近くでは、日本であるからこそそういった活動ができるのです。そういった活動も集団的自衛権を認めることで難しくなるでしょう。

また、自衛隊員にリスクが生じるのはある意味当然ですが、国内にもリスクは高まります。たとえば、過去に、イラク戦争でアメリカの後方支援をしたスペインで、2004年3月テロ事件が起こっています。スペインマドリードで列車爆発テロが起き、300名を超える犠牲者がでました。その後、スペイン軍はイラクからの撤退を余儀なくされました。スペインがイラク戦争のあとに治安維持にあたったことが原因です。今は、日本国内でテロが起きるリスクはまだ低いですが、集団的自衛権が行使されれば、現実的にテロも起こり得るということを覚悟しなければならないでしょう。

集団的自衛権を認めるのか認めないのか、という議論だけで突き進んでしまうのではなく、その前に、日本独自の役割や平和ブランドというカードや、テロが起きる可能性について、きちんと認識することが大切です。国会の中でも、リスクの側面をもっと分析するなど、別の側面から議論することが必要でしょう。

【こちら】の記事で、集団的自衛権よりもまずは日本防衛力についての意見を書いています。

幅広く記載されている安保法制についての解説も同時に載っています。

(2015年6月10日「山田太郎 オフィシャル Web サイト」より転載)