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若者の味方政党が公約では不明→今の若者政策がどう変化したか分析してみた

公約比較には限界がある

2017年10月21日 19時53分 JST | 更新 2017年10月22日 17時58分 JST

若者の味方政党はどこか?

そんな議題で開かれた日本若者協議会主催の第48回衆議院選挙サミット『ワカモノのミカタ政党はどこだ!』に若者政策の若手専門家という立場で招待いただきました。僕の専門であるスウェーデンの若者参画政策とベルリンの若者政策のシンクタンクで培った知見で、今回の衆議院選の各政党の公約を比較してコメントしてみました。

協議会で、僕が話したことをまとめると以下の通りです。

  • 18歳選挙権実現に伴い、被選挙権年齢への引き下げもほとんどの政党のコンセンサスにある点は評価できる
  • しかし「何歳へ」「いつ」引き下げるのかという足並みはそろっていないし、そのプロセスと引き下げ( or ない)の背景にある理由を知ると政党の若者参画への考え方が垣間見える
  • 一部、「若者団体」や「審議会への若者の登用」について触れている政党もあるが、基本的には選挙における「政治的な参加」程度にしか参画政策は意識されていない
  • 若者の参政権の障壁となる環境整備(供託金廃止など)についての言及をしている政党も部分的
  • 若者の参画政策の参画のチャンネルを多様化していく努力が必要
  • 現状では、内閣府が実施しているユース特命委員会(ネットで登録した人が意見を送信できる。また政策立案者との直接的な懇談会も最近は実施)や、子供若者育成推進支援検評価会議(専門家がほとんど)、子供若者白書による実態調査(声の反映とは質が異なるが)に限定されている
  • 例えば、各地の若者団体に参加する若者、最近の子供・若者白書で重要性が認識された全国の「居場所(児童館や若者総合センター、勤労青少年会館など)」に集まる若者、全国のジュニアリーダー的な活動やボランティア・国際交流に参加している若者、政党青年部、各地の若者会議(若者議会)などの自発的な若者の地域参画の促進に取り組む若者、生徒会・学生自治会に関わる若者、などから声を集約するのみならずこれらの参画の機会を支援することはまだまだできる
  • そしてこれらの機会が、若者の積極的な市民性を培う機会となるという位置付けること

NPO法人Youth Createの原田健介さんも、若者参画政策の比較を丁寧にわかりやすく解説しているのであわせて読んでみてください。

若者参画以外の若者向けの政策に関しての雑感は以下の通りになります。

  • 自民党・公明党は、地方創生や農林水産分野で「若者の活用」の言及が多い。その上で自民は雇用面に関しては就職内定率の高さなどをアピール
  • 公明党は、手広く若者について言及。自民党でカバーされていなかった、災害復興や社会包摂政策においても若者について言及
  • 希望の党は、供託金の見直し、電子投票、ベーシックインカムの導入など革新的な政策において若者について言及
  • 共産党は「5、この国のすべての子ども、若者が、健 やかに育ち、学び、働くことを可能にするための保育、教育、雇用に関する政策を飛躍的 に拡充すること。」という野党の共通政策にて若者について言及。その上で「予算の改革をし、社会保障・教育・子育 て・若者を優先して格差と貧困の是正」を目指す。というがそれ以上の言及はない。
  • 立憲民主党は、「若者」という単語は使用していない。しかし、若者の生活状況を良くするための前提条件となる包摂社会の強調が明確。
  • 教育無償化、働き方改革、子供の貧困是正に関しては、政策の細部に相違点はあるものの向いている方向はどこも近い

その後、参加者らと議論。財政問題、教育無償化、憲法改正などなど各々の視点でコメントがありました。しかし、若者政策に限った議論に限定しているわけでも、そもそもの共通の議論の素地となる若者政策の定義などがなかったので、議論が拡散してしまった感がありました。今後は、若者政策の指標や定義について議論していく必要があるでしょう。そうすれば政党も「若者政策」を打ち出しやすくなります。

公約比較には限界がある

今回生まれて初めて、公約をがっつり読んでみて思ったことがあります。それは公約比較の限界です。

比較をするためには共通の軸や枠組み、そして基準がないといけませんが公約は各党それぞれで書き方も、使っている文言も異なります。単純に「若者」という単語の頻出度を調べると..

自民

7回
公明党13回
希望7回
共産4回
立憲民主0回

これらの言及の前後の文脈だけで「若者政策が充実している政党はどこか?」と判断していいのか?

この判断基準でいうと例えば立憲民主党は、若者政策を一切掲げていないように見えますし、上述したコメントも薄いです。しかし、実際は立憲民主党の元である旧民主党(おそらくリベラル派)政権下で子ども若者育成支援推進法は成立し、発展して行ったわけです。

公約ではなく、最近の実際の若者政策がどう変遷していったのかという視点で、若者政策をみてみましょう。

「子ども・若者ビジョン(2010)」は「子供若者大綱(2016)」でこう変化した

日本の法制化された若者政策とされる、「子供若者育成支援推進法」は2009年に時の民主党政権下で成立し、それを元に大まかな方針を示す大綱「子ども若者ビジョン」が2010年に決定されました。この大綱は数年ごとに改定されることになっており、2016年に新たに「子供若者育成支援大綱」が自民党政権下で成立しました。どちらも子供若者育成支援推進法を基礎にしており、その枠を出ることはありませんが政策の細かい方針やコントラストは、この大綱でより具体的に定めることになっているのです。

ですので、時の政権下でどうこの大綱が変化したかをみることによって、政党の若者政策に対する考え方がわかってきます。例えば、「若者参加」がこの二つの大綱でどのように打ちだされたのか確認してみましょう。ぼくの考える若者参画政策に該当する項目を抜き出して、その部分を比較してみます。

まずは2010年の子ども若者ビジョン。

子ども若者ビジョン (2010)の若者の参画政策

(2) 子ども・若者の社会形成・社会参加支援

1 社会形成への参画支援

(社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)の推進)

社会の一員として自立し、権利と義務の行使により、社会に積極的に関わろうとする態度等を身に付けるため、社会形成・社会参加に関する教育(シ ティズンシップ教育)を推進します。

具体的には、民主政治や政治参加、法律や経済の仕組み、労働者の権利や 義務、消費に関する問題など、政治的教養を豊かにし勤労観・職業観を形成 する教育に取り組みます。

(子ども・若者の意見表明機会の確保)

政策形成過程への参画促進のため、各種審議会や懇談会等における委員の公募制の活用、インターネット等を活用した意見の公募等により、子ども・ 若者の意見表明機会の確保を図ります。

子ども・若者育成支援施策や世代間合意が不可欠である分野の施策につい ては、子ども・若者の意見も積極的かつ適切に反映されるよう、各種審議会、 懇談会等の委員構成に配慮します。

2 社会参加の促進 (ボランティアなど社会参加活動の推進)

ボランティア活動を通じて市民性・社会性を獲得し、地域社会へ参画する ことを支援します。

(国際交流活動)

若者の国際理解や国際的視野の醸成、日本人としてのアイデンティティの 確立を図るため、国内外の青少年の招へい・派遣等を通じた国際交流や異文 化体験の機会の提供を行います。

子ども若者ビジョンでは、社会参加に関する教育として[シティズンシップ教育]を盛り込み、さらに意見反映のために子ども・若者の意見表明機会の確保」を打ち出しました。ボランティア活動も「市民性」、「市域への参画」という文言とともに打ち出されています。

ちなみに根拠法である、子ども若者育成支援支援推進法(2009)において、意見の反映は第12条において

「国は、子ども・若者育成支援施策の策定および実施に関して、子ども・若者を含めた国民の意見をその施策に反映させるための必要な措置を講ずる」

と力強く打ち出されています。さらには、「子ども・若者の意見を聞きながら、子ども・若者育成支援施策の実施状況を点検、評価」することによって、政策の影響を受ける当事者である子ども・若者を政策の意思決定過程に巻き込んでいくという、これまでにない非常に参画度の高い項目もできました。

子ども・若者育成支援大綱 (2016)の若者の参画政策

2016年2月9日、子ども・若者育成支援推進法(2010)に基づき設置された子ども・若者育成支援推進本部は、「子ども・若者育成支援大綱」を改定しました。これによって2009年に定められた子ども・若者ビジョンは廃止されました。

大綱における若者参加の項目をみてみましょう。

(4)社会形成への参画支援

(社会形成に参画する態度を育む教育の推進)

社会の一員として自立し、適切な権利の行使と義務の遂行により、 社会に積極的に関わろうとする態度等を育む教育を推進する。 民主政治や政治参加、法律や経済の仕組み、社会保障、労働者の権利や義務、消費に関する問題など、政治的教養を育み、勤労観・職業観を形成する教育に取り組む。

(ボランティアなど社会参加活動の推進)

ボランティア活動を通じて市民性・社会性を獲得し、地域社会へ参 画することを支援する。

もっともわかりやすい変化は、「社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)を推進」を削除したことです。またいみじくもビジョンにあった(子ども・若者の意見表明機会の確保)の項がバッサリなくなっています。大綱の「(4)施策の推進等」には、

(審議会等の委員構成への配慮)

若者育成支援施策や世代間合意が不可欠である分野の施策については、子供・若者の意見も積極的かつ適切に反映されるよう、各 種審議会、懇談会等の委員構成に配慮する。

(関係施策の実施状況の点検・評価)

本大綱に基づく子供・若者育成支援施策の実施状況について、有識者や子供・若者の意見を聴きながら点検・評価を行う。

として、子ども若者の意見を聴くことを盛り込んでいますが、政策形成過程への参画を全面的に押し出していたビジョンと比べると明らかに、トーンが弱くなっています。

ぼく自身も、実は「内閣府子ども若者育成支援点検評価会議(平成23年)」という、子供若者育成支援推進法の実施状況の点検と評価をする委員会に、「若者枠」として参加していました。当時の委員会 (十数名)の構成でも20代はたった2名(現、YouthCreateの原田さんとぼく)で、EUやスウェーデンと比べると大した数字ではありませんが、これまでにない大きな前進であったことは間違いないでしょう。

いずれにせよ、「子ども若者の意見を聴く」が参加の限度であり、それ以上の高い参画は求められていないことが明らかです。「意見は参考にする、しかし決めるのは私たち」という解釈もする人もいるかもしれません。総じて、ビジョンも新しい大綱も、ヨーロッパの若者政策と比較すると大差はありませんが、新しい大綱はビジョンの劣化版、つまり昔ながらの若者政策へと逆戻りしたバージョンであるといえなくないです。

***

以上のような視点は公約からは何もみえてきません。

若者政策は全体的に良くはなっているようにはみえますが、参画政策に関してはスタート地点に立ち、歩み始めたばかりです。

公約は若者に言及して具体的であればあるほど良いわけでもなく、何でもかんでも「若者に聞こえがいい政策」を盛り込めばいいわけでもないんです。すべての政党の公約で掲げる若者政策の要素が盛り込まれたらなかなか「聞こえのいい若者政策」にはなりますが、そこには「若者票を取りたい」という裏の目的があります。これは若者を「投票者」という限定的な視点で捉え、その背後には若者と大人の間での「権力関係」の変化は起きていなく「大人が若者を正してあげる」というパターナリスティックな思想が見え隠れします。

ぼくらがみるべしは、投票以外で若者に託していく政策を打ち出してくれる、つまり本質的な意味で若者参画を保障しているかどうかです。それが社会をアップデートするはじまりになるからです。

*こちらの記事は、Tatsumaru Timesに投稿された記事をハフポスト版に修正したものです。

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