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2020年東京オリンピックの準備が間に合わない3つの理由

2015年04月28日 01時28分 JST
Atsushi Tomura via Getty Images
TOKYO, JAPAN - SEPTEMBER 12: Aerial view of National Olympic Stadium(R) which will host the Opening and closing ceremony, Football, athletics and Rugby events, Tokyo Metropolitan Gymnasium(L) which will host the Table tennis events during the Tokyo 2020 Olympic Games on September 12, 2013 in Tokyo, Japan. Tokyo was selected as the site of the 2020 Olympics. (Photo by Atsushi Tomura/Getty Images)

■5年間で12施設を新規で建設

東京オリンピックは2020年7月24日(金)からの開会式にて熱戦の火ぶたが切って落とされます。8万人収容規模へ建て替えられる国立競技場をメインスタジアムに、1964年の東京オリンピックでも使用された代々木競技場や日本武道館など過去の遺産を活かした「ヘリテッジゾーン」と、有明・お台場・夢の島・海の森など東京湾に面した「東京ベイゾーン」を中心に競技が行われます。また、一部の競技は東京西部の武蔵野エリアで行われるほか、サッカーの一部やゴルフ・射撃は東京都外での開催となります。

五輪施設のうち新たに恒久施設として建設するのは「国立競技場(オリンピックスタジアム)」「有明アリーナ」「大井ホッケー競技場」「海の森水上競技場」「若洲オリンピックマリーナ」「葛西臨海公園」「夢の島ユース・プラザ・アリーナA、B」「夢の島公園」「オリンピックアクアティクスセンター」「武蔵野の森総合スポーツ施設」「選手村」の12施設。現在解体工事中の国立競技場(オリンピックスタジアム)は2015年10月、若洲オリンピックマリーナは2015年12月、有明アリーナと海の森水上競技場、夢の島ユース・プラザ・アリーナA・B、オリンピックアクアティクスセンター、選手村の6件を2016年度、大井ホッケー競技場と葛西臨海公園の2件を2017年度、夢の島公園を2018年度に、それぞれ工事が始まる予定です。

つまり、2016年度には8件、そして2018年度から2020年度にかけては12施設の建設が集中して行われることになります。


■アテネ、ソチ、リオ、平昌オリンピックはなぜ遅れたのか

近年のオリンピックは、2008年北京オリンピック、2012年ロンドンオリンピックを除いてそのほとんどで施設建設が遅れ、直前になって大幅な計画変更を余儀なくされています。

2004年は、オリンピックの原点とも言えるギリシャ・アテネでの開催でした。規模はコンパクトでありながら、会場のデザインは壮大であったアテネ大会の工事準備は大幅に遅れ、大会直前まで開催が危ぶまれました。特に工事の遅れが問題になっていたのは、メイン会場であるオリンピックスタジアムとマラソンコース。これら工事の遅れの第一の理由は、ギリシャ国内でオリンピックの4カ月前に政権交代があり、混乱が生じていたこと、隣国アルバニア人の労働者への給与未払いなど、多くの問題が重なったためでした。

2014年ソチオリンピックでも会場施設の工事の遅れが目立ち、一部は未完成のまま開幕しました。遅れた理由は、開催費の総額が500億ドル(4兆6000億円)に達し、オリンピック史上最高額となったことでした。

さらにこれから開催されるオリンピックでも工事の遅れが指摘されています。

2016年に開催予定のブラジル、リオオリンピック。過去のオリンピックと比較すると、開催2年前の段階で施設が完成している割合は、アテネが40%、ロンドンが60%だったのに対し、リオはまだ10%です。昨年、W杯ブラジル大会で大あわてした悪夢が、また繰り返されそうな気配です。工事が遅れた一番の理由は経済的な問題です。

2018年韓国、平昌オリンピックも準備が滞っています。そのため、通常は五輪開催の1年前に会場のテストを兼ねて行われるプレ五輪大会も本番直前にずれ込む可能性が高まっています。平昌オリンピックの総事業費は、2011年の五輪誘致時点で6993億ウォン(約749億円)でしたが、物価上昇率などを考慮すると8200億ウォン(約878億円)まで膨れ上がる可能性があります。


■東京オリンピックの準備が間に合わないと考える3つの理由

では2020年の開催まであと5年に迫った東京オリンピックは大丈夫なのでしょうか。準備が間に合わず直前になってたいへんなことにならないでしょうか。私が間に合わないと考える理由は3つあります。

1.2020年首都直下地震が東京を襲う

2011年東日本大震災における都内の最大震度は5強でした。一方、中央防災会議が2013年12月に発表した首都直下地震の想定震度は7で、東日本大震災を大きく上回ります。2004年文部科学省 地震調査委員会は、南関東地域におけるM7クラスの地震発生確率は今後30年間(2034年まで)に70%と推定しました。2020年のオリンピック開催日までに大震災が発生する確率は、単純計算すると35%ということになります。

もしも震災が発生すると建物倒壊や火災などで2万3千人が犠牲になり、道路、鉄道、飛行場などの運送手段や、水道、下水道、電気などの生活にも甚大な被害が発生します。また東京都に集中しているマンションが損壊したり、エレベーターの停止によるマンション内での閉じ込めや、人口が集中しているため避難所の不足が懸念されます。交通の遮断による地域の孤立、東京ベイエリア等埋め立て地の液状化現象による地盤沈下のおそれもあります。

そうなれば東京オリンピックどころでなく、開催中止も充分にありえますし、開催したとしても大幅な準備の遅れが懸念されます。

地震が起きないようにすることはできませんが、地震が起きてもその被害を最小限にすることは可能です。東日本大震災の教訓を踏まえて2020年に備える必要があります。

2.建設工事の労働者が消える

1996年670万人いた建設業従事者は、市場の縮小に伴い現在では約500万人に減少しています。加えてそのうち55歳以上の割合が33.6%(全産業平均28.7%)、29歳以下11.1%(全産業平均16.7%)と急激に高齢化が進んでいます。

一方、アベノミクスに伴う公共工事の増加、東日本大震災の復興需要を中心として建設投資が急拡大しており、人手不足が深刻です。岩手・宮城・福島の3県は2015年から2020年の5年間で復興予算は総額8兆円超必要だとしています。東京オリンピックの会場施設整備などの直接建設投資は1兆円であり、復興予算と比べるとその規模は小さいです。しかし2018年から2020年に集中して建設工事が行われること、そしてオリンピック開催に向けて既存の道路や施設のリニューアルが前倒しされること、関連する民間の建設投資を考慮すると、工事の増加に伴い人手不足がさらに深刻化するおそれがあります。

対策として考えられている外国人の受け入れもピーク3万人といわれており、建設業従事者500万人の1%にも満ちていません。建設業従事者の給料や休日などの待遇を改善すること、3K(危険、汚い、きつい)を敬遠する若者に汗を流して働くことのすばらしさを伝えることで建設労働者人口を増やすことは急務です。

3.自民党政権が崩壊し財政難に陥る

安定政権を保っているように見える自民党政権ですが、安全保障法制、憲法改正問題、原子力発電所の再稼働問題、沖縄基地問題、TPP問題など課題山積です。少し方向性を間違うと自民党政権崩壊の可能性があります。加えて財政難も大きな問題です。消費増税の延期、原子力発電停止に伴う燃料の海外調達に伴う外貨流出でさらに財政難に拍車がかかっています。

自民党政権が崩壊したり、財政難になっても東京オリンピックを中止にすることはないでしょうが、財政支出が縮小され、施設建設が遅れる危険性は大いにあります。政権交代で準備が遅れたアテネオリンピックの二の舞になりかねません。

このように東京オリンピックの準備が大きく遅れる可能性は大きいのです。2020年に外国からの選手団や観光客を笑顔で日本に迎えるためには、どうすべきかを真剣に考える必要があります。今後東京オリンピックで新たに建設される12施設建設の進捗状況を本ブログにて随時お知らせしたいと思います。

(2015年4月27日「降籏達生のブログ」より転載)

【降籏達生のブログ】
http://ameblo.jp/tatsuo-furuhata/
「がんばれ建設」を合言葉に、がんばる建設業、がんばる建設技術者に心をこめてメッセージを送ります。建設業が、がんばらないと日本の将来はありません。「技術立国」日本をさらにもりあげることができるよう、がんばります。


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