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メガバンクに入行すれば一生安泰なんて時代もありました

2017年07月02日 15時47分 JST | 更新 2017年07月02日 15時47分 JST

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私は最近、大学でキャリアに関する講義を行ったり、キャリアに関するセミナーを開催したりしています。

そんな中で、大学生と話をすることが多いのですが、こういうことをいう学生がたくさんいます。

「ホントは◎◎がやりたかったけど、将来の安定を考えて◎◎銀行に就職することにしました」

きっとこの人は、親から、「公務員とか銀行みたいな安定した仕事に就きなさい」と言われてきたんでしょう?

でも、銀行って安定した職業なのでしょうか?と、思ったら早速こんな記事が出てきました。

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MUFG:過去最大の1万人削減検討、10年程度で-関係者

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が今後10年程度で過去最大となる1万人規模の人員削減を検討していることが分かった。超低金利の環境下で収益性が低下する中、金融と情報技術(IT)を融合したフィンテックで業務合理化を進め、店舗の閉鎖や軽量化などによって余剰人員削減につなげる方針。MUFGの社員数は世界で約14万7000人おり、約7%の人員カットとなる。

出典:Bloomberg

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この記事によると、3500人は自然減(定年退職など)と書いてあるので、6500人は何らかの形で退職していただくことになるのでしょう。

銀行員の給料が高いのはよく言われていることですが、彼らがやっている仕事は必ずしも高度な仕事とは限りません。

例えば、とある銀行には「提出された書類が正しいかどうかチェックする人」がいたそうです。

行員が作った書類に対して、誤字脱字をチェックしたり、書かれた日付が休業日かどうかチェックしたり。この人たちがいるからスムーズに稟議がまわり、ミスをしてお客様に迷惑をかけることも少なくなる、銀行業務には必須の、職人肌の仕事です。

が、しかし、ある日いきなりこの仕事はなくなりました。

それは、彼らがチェックしていた書類が全部電子化されたからです。

住所などの誤字脱字は郵便番号から自動入力とすることでほぼなくなりました。

営業日などのチェックも、日付けをカレンダーから入力する際に、休業日が選択できないようにすれば100%チェックできます。

その他諸々、紙の書類を、PCからの入力にかえただけで、入力ミスはほぼなくなり、一瞬でおじさんたちがお払い箱になったのです。

彼らの仕事は注意力と知識が必要な仕事でした。

早稲田大学政治経済学部出身、年収一千万円のおじさんが20年かけて身につけた職人肌のスキル。

でも、そのスキルを使って作った仕事は、5万円のパソコンと、専門学校を卒業したばかりの生徒がエクセルのマクロで作れるくらいのシステムで簡単にリプレイスすることができる仕事だったのです。

一気に仕事がなくなったおじさんたちには別の仕事があてがわれます。しかし、長年書類のチェックしかやっていなかったおじさんに、いきなり営業回りをさせても、成果が出せるわけがありません。

こうやって、営業成績未達をネチネチと攻められたおじさんたちは、ひっそりと退職届をだす。こんなことが6500人分くらい起こるのでしょう。

このように「銀行に入ったから安定」なんてことは全くありません。会社に言われたとおりの仕事を、会社が求める以上のクオリティで20年間達成し続けても、ある日突然仕事がなくなることがあるのです。

しかも、その人の給料が高ければ、人員削減をしたときの業績に対する貢献は高くなるので、「リプレイスできる」+「年収の高い人がやっている」仕事というのは、まっさきに消失する可能性があるのです。

銀行の書類の手続きをしていると、なんでこんなに非効率なんだろう。っていうか、なんでこんなに書類が多いんだろうと思うことは多いと思います。

それは、書かされる顧客にとっても大変なのですが、受け取って処理をする銀行側にとっても負荷が高いのです。

そして、あるとき、「コレ要らなくね?」「実はシステムを作れば簡単にできるんじゃね?」と気付かれて改善されてしまったときに、その書類を処理する仕事をしていた人の仕事は消失するわけです。

これは、銀行に限ったことでありません。

「無駄に非効率な仕事をしている高給取り」は、将来どうなるかわからないということです。

そして、恐ろしいことに、これからAIをはじめとするコンピュータプログラムの性能がどんどん上がってくるため、どんな仕事がなくなるかさっぱり予想がつかいないのです。

2000年に600人いたゴールドマンサックスニューヨーク本社のトレーダーが2017年に2人になってしまうことなんて、誰が想像していたでしょう?

だから、安定を求める就活生は、銀行とか公務員とか、そういうもので仕事を選ばない方がいいと思います。

無駄な仕事、いつなくなるかわからない仕事を延々とやり続けさせるような職場に行かないことが非常に大切なのはもちろんです。

それに加えて、今ある仕事がなくなったときに別の仕事ができるように準備することが大切なのです。

コンピュータシステムや、安価な外国人労働者ができないような仕事をやったり、たとえ今やっている仕事がとられても、すぐに新しい業務に対応できるような準備をしておくこと。これが安定した生活につながるのです。

もっというと、将来日本がどうなるかもわからないので、場合によっちゃ海外でも仕事ができるようになっておけばもっと人生は安定します。海外っていってもアメリカや欧州みたいな先進国から、東南アジアやインドみたいな途上国まで、いろんな所で活躍できる力を付けておけば、まあ地球上のどっかしらには景気のいいところはあるでしょう。

若いうちは激動に慣れておき、何か起きたとき、自分で考えて行動をして、移動ができるようになっておく。これが人生を安定させるのではないかと思うのです。

と、いうわけで、結論。

安定を求める人は、激動を体験せよ。

いま、私がやっている仕事は、若い人に海外で2週間で激動を体験して、こんな時代に生き抜く力をつける機会を与えることです。