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旅先で見かける野良猫の耳が切られていたら?

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猫好きにとって旅での大きな楽しみの一つは、その土地の猫と出会うこと。猫たちが木陰でのんびりしていたりする姿を見るだけで、初めての場所なのにこちらの心もリラックスします。魅力あふれる猫たちの写真を撮りまくることを旅の目的にする人もいるくらいです。

そんな猫たちのなかで、変わった耳の持ち主に出会ったことはありませんか? 片耳の先が切られていたり、V字に切り込みがいれてあったり。でも彼らは喧嘩や虐待によって耳の一部を失ったわけではないのです。

今週のタビイコムは、猫達の暮らしが垣間見られる「耳」の秘密についてご紹介します。


●耳が切られている猫=「地域猫」

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野良猫の片耳が少しだけ切られていたら、それは「地域猫(コミュニティー・キャット)」であるサインです。地域猫とは避妊去勢が済んでいる野良猫のことで、大抵は餌や水の世話をしてくれる人がいます。常に誰かに見守られていて、病気になれば病院にも連れて行ってもらえるはずです。そのかわり、子供を残さずいずれは一代限りで世を去ることになります。

「TNR(捕獲―去勢―放す)」は、人に懐かず保護することのできない野良猫の殺処分数を減らすためにアメリカで始まった活動で、すでに去勢避妊が済んでいる野良猫たちの耳を少しだけカットするのは世界共通の印。世界のあちらこちらで地域の人たちと共生している猫たちのなかにもこの「地域猫の印」を持つ猫たちが増えてきています。


●地域猫の歴史はとても古い

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TNRと対になった地域猫活動が始まる前から、世界には誰かの飼い猫ではなくそのコミュニティ全体に属する猫がいる有名な場所がありました。最も有名なのは、イタリアのベネツィア市にいる猫たちとケンブリッジ大学の猫たち。ベネツィアの猫たちの飼い主は市長であると法律で定められており、それぞれのコロニア(猫の集団)を世話するケアギバーがいます。決して殺処分されないガッティーレという猫保護施設もあります。そしてケンブリッジ大学ではそれぞれのカレッジに属する「カレッジキャット」達がたくさんいて、その歴史は1209年の大学創立時に遡るとも言われています。なかにはホールで教官と学生が食事を共にする際に同席を許された「名誉晩餐権」を持った猫もいたとか。

そこまで大規模でなくても、世界の多くの街でレストランやホテルでケアを受けながら、「看板猫」として地域と共生している猫たちがたくさんいます。そのなかに、近年のTNR活動の世界的な潮流に則って、耳に印を受けた猫たちがいるのです。


●人懐っこい猫たちに癒やされたときに、私たちにできること

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地域で保護しながら猫と共生しているところでは、猫のケアや避妊去勢のために寄付を募っていることがあります。東京近郊だと江ノ島が有名で、島のあちらこちらにたくさんの猫がいますが、参道から江島神社の鳥居に歩いて行く途中に募金箱があります。

地域猫活動で多く取り入れられているTNRには賛否両論があり、特に野良猫の数の抑制にはあまり役立っていないと言われることもあります。しかし、オス猫が喧嘩でけがをしたり、メス猫が出産で消耗する機会を減らせるので、猫たち一匹一匹がより健やかに一生を送れるようになることは間違いないようです。旅先で出会ったかわいい猫たちの生活に何かしたいと思ったときに、そのひとつの選択肢として、彼ら守るためにささやかな寄付をすることがあります。募金箱がなくても、たとえばレストランに人懐こい猫がいたらどういう猫か聞いてみて、お店の人に寄付を託すこともできるでしょう。

旅で得る様々な記憶は、私達の心にかけがえのない輝きとして残ります。その一翼を担ってくれた地域に根ざした猫たちに、ちょっとだけ踏み込んで関わりを持ってみれば、その土地での思い出に特別な色合いをほどこしてくれるかもしれません。

猫好きの皆さんが、旅でたくさんの素敵な猫たちと出会いますように。

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(写真・文 松下祥子)

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