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招待客数は芸能人並み!シンガポール華人の豪華結婚式

2014年10月08日 16時37分 JST | 更新 2014年12月07日 19時12分 JST

シンガポールといえば、国民の7割以上が華人という代表的な華僑国家です。マレー系、インド系や旧宗主国であるイギリスの文化もミックスされた独特の文化を持つ国なのですが、冠婚葬祭ではその民族独自の文化が際立ちます。

今週のタビィコムは、シンガポールで華人カップルが実際に行った最新トレンドの結婚式を、当人であるお二人と日本人招待客の方へのインタビューとともにご紹介します。華人の結婚式を通して見えたのは、世界の華僑文化と価値観が覗き見られるど派手な世界でした!

●結婚式は朝から始まる

シンガポール華人の伝統的な結婚式は早朝4時から始まります。第一の儀式は礼装した新郎がご先祖様に結婚の報告をするというもの。ですが「最近はそこまではやりませんよ。もっとシンプルな式が主流です」と今回の新郎アドリアン・チャンさんは言います。「最初の儀式は朝一番に行うゲートクラッシングです」。やっぱり朝から始まるのは間違いないようです。

このゲートクラッシングはシンガポール華人の結婚式には欠かせないもの。花婿がグルームズメンを引き連れて花嫁を迎えにいくのですが、花嫁宅で待ち構えているブライズメイドの出す難題をクリアしなければ、花婿は花嫁に会えません。

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朝からこの人数!

「花婿は白いリボンと花で飾り付けられたピカピカの外車で花嫁のコンドミニアムにやってきてびっくりしました」と言ったのは、披露宴唯一の日本人招待客であるユオ歩さん。まずはグルームズメンがブライズメイドに「紅袋(アンパオ)」というお祝い袋を配ります。中に入っているお金でブライズメイドを懐柔するとともに、裕福な新婚生活への幸先のよい門出を祝うものです。

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このアンパオ、中華圏のお祝いごとでは定番で、縁起がよいとされる偶数の金額を入れておきます。中身は224ドル。さすが中華風、大盤振る舞いです。

アンパオのあと花婿がクリアしなければならなかったテストは以下の4つ。

 課題その1、花婿とグルームズメン皆で歌って踊る。

 課題その2、花婿が花嫁への「10の約束」を掲げる。

 課題その3、花婿とグルームズメンで力をあわせてパズルを解く

 課題その4、花嫁の部屋の鍵が入った箱を解錠

笑いと困惑に満ちた楽しい時間のあと、やっと花婿のアドリアンさんは花嫁のルイーズ・コーさんをゲットすることができました。

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難しい数式の横に計算機が。パズルは朝から超難問。

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紙を折ってみたら出てきた答えは「I Love You」。心憎い演出です。

●両親&親族はとっても重要

無事ルイーズさんを家から連れだしたアドリアンさんは、アドリアンさんの家へ戻って次の儀式「ティーセレモニー」を行います。これは新郎新婦が新郎側の両親と年上の親族にお茶をふるまい、それぞれからお祝いのアンパオとプレゼントをもらうという儀式で、華人の結婚式ではとても重要な儀式のひとつです。

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お姑さん、ゴージャス!

次の儀式は夕方。華人の結婚式は一流ホテルで行うのが最近のトレンドなのですが、アドリアンさんとルイーズさんの結婚式はセントーサ・コーブにあるブティックホテル「W」で行われました。シンガポール随一のおしゃれ高級住宅街のホテルとは、若いお二人のセンスが光ります。

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午後6時半に始まったのは結婚式。日本のように宗教的なものではなく、治安判事の前で結婚証明書にサインします。「ごく親しい友人と親族のみで行うものです」とアドリアンさんは言いますが、参列者すごく多いです。

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いよいよ夫婦になるアドリアンさんとルイーズさん

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新郎新婦お二人、ではなくご両親も揃っての記念写真。お召し替えされたお姑さん、モノトーンのなかで花開いた蘭のよう! 一方で右端の治安判事はノータイで幾分よれっとされています。この統一感のなさもシンガポールの結婚式の特徴です。

挙式が済んだら新婦側の親族へのティーセレモニーを行います。両親と親族への儀式が二度も。これは日本にはない感覚です。

●招待客なんと400人!

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メインイベントの披露宴会場は、さすがおしゃれで名高いWだけあって、中華を取り入れつつも現代風の華やかなもの。何より400人という招待客数に度肝を抜かれます。アドリアンさんによると、親しい友人と同僚、親族のみとのことでしたが、新婦ルイーズさんのお母さんの友人として招待された日本人のユオ歩さんによると「お母様とはいわゆるご近所づきあいだったので、自分が披露宴に呼んでもらえたことが驚きでした」とのこと。歩さんの旦那様はフランス人で、付き合いもなく、披露宴に招待する人の感覚が日本人と華人ではかなり違うようです。

新郎新婦とご両親の席は、会場で最も注目を浴びる上座です。親族が新郎新婦と椅子を並べるのも日本にはない感覚。またもや衣装替えされたお姑さんが光り輝いております。

シンガポールの披露宴が日本の披露宴と一番違うのは、開始時間と終了時間がきちんと決まっていないことです。アドリアンさんによると、カクテルパーティーのスタートが夜7時だったそうなのですが、歩さんが貰った招待状では開場は6時半。実際に歩さんが新婦のお母様と会場入りしたのは8時前で、メインディナーのスタートは8時半だったとか。招待客も、バラバラと来て食べて、バラバラと帰っていくようなラフな雰囲気。だいたい11時を境に散会へ向かったそうです。ご祝儀も「食事代を会費として支払う感覚」だそうで、歩さんは相場だという100ドルをアンパオに包み、会場にあったご祝儀箱に入れたとのことです。ラフですね。

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バンドの生演奏でのダンスタイムがあり、招待客は好き好きにダンスを踊るのだそうですが「キレッキレでステップしていたおじさまが印象的でした」と歩さん。新郎新婦によるケーキカットや招待客の一芸披露などのイベントがある点は変わらないのですが、一番の違いはこの一芸披露のなかに新郎のお母様が入ったこと。お母様率いる「3人娘」のダンスがこの会一番の盛り上がりだったそうです。お姑さん、どのタイミングにおいても目立ってます!

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親族一同が壇上に上がっての乾杯タイム。主役は新婦ではなくお母様という勢いで輝いています。

中華式披露宴で必ず行うのが、乾杯のときに「ヤムセン」と叫ぶこと。「お金いっぱい」という意味だそうで、「ヤムセーーーーン」と長く伸ばすのだそうです。伸ばせば伸ばすほど縁起がいいのだとか。旧正月や中華式のお盆でもそうですが、お金に関するメッセージが重視される点が日本とは全く違います。結婚式の長さ、一族の繋がりを重視する儀式の多さ、式の豪華さを見ても、世界中に広がって商売をすることで生き抜いてきた華僑の心意気を感じます。華僑の方々にとって結婚式とは、新郎新婦の門出というよりも一族が繋がり合うことを祝う式なのかもしれません。

この乾杯の写真から分かるシンガポール華人らしい結婚式の特徴は、新郎のお母様が新婦よりずっと派手なお召し物であるのを見ても分かる通り、服装が日本よりもかなり自由な点です。「一時間遅れで始まり、招待客はサンダルばき」なんて言われるくらい自由なのがシンガポールの披露宴なのですが、この式ではそこまでカジュアルな人はいないものの、礼服や派手なドレスの方がいる一方でチノパンにカジュアルシャツの人もいるのがシンガポール流なのです。ちなみに新婦のお母様の着ている黒と赤に光り輝くお召し物は、シンガポール風のチャイナドレスのようなものです。

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結婚式を一切しない地味婚が増える日本とは対照的に、ホテルでの豪華な式が増えている結婚式からは、一族の強い繋がりと豊かな暮らしを重んじる独特の価値観が見えました。華やかな場は思い切り華やかに、それが華僑流なのでしょう。島国気質な日本人の感覚からは計り知れない、世界への広がりを感じさせる結婚式でした。

ご協力いただいたアドリアンさんご夫婦とユオ歩さん、ありがとうございました。そしてアドリアンさん、ユオさん、末永くお幸せに。

(取材協力&写真提供:Adrian Chan, Louise Koh, 歩 Huot 文:松下祥子)