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都内で富士山パワーを存分にいただく「富士塚」登山のススメ

2015年07月12日 21時40分 JST | 更新 2016年07月12日 18時12分 JST

神社に行くと、境内の奥深くにゴツゴツとした岩が盛られたようなものがあるのを見かけたことはありませんか?実はそれ、ミニチュア版の富士山なんです。よーく見るとその小さな"こんもり"には細い道がついていて、頂上に登れるみたい......?

今週のタビィコムは、登るだけでご利益満載といわれる不思議な塚「富士塚」をご紹介します!

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Photo by hogeasdf


富士塚は庶民の夢と希望の象徴だった

富士塚は、富士山を模して作られた人造の小さな山です。表面を富士山から運ばれた溶岩(黒ボク石)で固め、合目を表した参道を作り、頂上には祠や石碑を拝して本物の富士山のリアルさを追求しています。

縄文時代の昔から、富士山は神として崇め立てられてきました。その富士山信仰の象徴が浅間神社です。富士山の麓と八合目より上が寺社の敷地で、頂上には浅間神社の奥の宮があります。富士山は霊山であり、その恩恵に庶民の手がとどくために作られたのが富士塚なのです。

江戸時代に「富士講」と呼ばれる「富士山詣ツアークラブ」のようなものが大流行しました。富士山巡礼の旅は高額の費用と多くの日数が必要だったため、講と呼ばれるグループを作って皆で会費を貯め、グループの数人を代表として富士参拝に行かせ皆でご利益を分けあうものなのですが、その信仰の証として、全国に浅間神社やミニチュア富士が作られました。富士山の山開きの日に合わせて小さな富士塚を登ることで、富士山と同じ霊験を得られるとしたのです。そんな富士塚は、人々に「お富士さん」と呼ばれて親しまれました。

江戸時代に流行した「講」で1番有名なものは伊勢講です。この講というシステム、メンバーの全員に参拝の順番が回ってくるようになっていて、会費さえ払っていれば、いつかは皆の出しあったお金で自分も憧れのお伊勢参りができるという素晴らしいシステムであったわけです。

庶民にとって伊勢や富士山への参拝は、一生に一度と憧れる旅。三丁目の夕日世代にとってのハワイ旅行のような位置づけであったとしたら、富士塚はただの信仰の対象を越えて、庶民の夢の象徴であったのかもしれません。


都内に現存する代表的な富士塚「江戸七富士」

富士塚の始まりは安永9(1780)年。「富士講中興の祖」食行身禄の弟子であった高田藤四郎が、老若男女全ての人が富士山詣をできるように、現在早稲田大学9号棟のある場所に作った高田富士のが始まりと言われています(現在は近隣にある水稲荷神社に移築)。江戸当時はこの高田富士を合わせ、市中にある代表的な富士塚は「江戸八富士」と呼ばれて厚い信仰を集めていました。

造営時は頂上から本物の富士山が見えるように作られたそうですが、残念ながら今は高い建物に囲まれその眺望は失われてしまいました。それでも現在も都内には60位上の富士塚が残っていて、その主だったものが「江戸七富士」。全てが当時のままのもので、7月1日の富士山の山開きに合わせて公開されるものもあります。

以下がその江戸七富士です。

・品川富士 都内最大 (品川神社)

・千駄ヶ谷富士 現在都内最古 都の有形民俗文化財(鳩森八幡神社)

・下谷坂本富士 国の重要有形文化財 (小野照崎神社)

・江古田富士 国の重要有形文化財 (茅原浅間神社)

・十条富士 (富士神社境内)

・高松富士 国の重要有形文化財 (富士浅間神社)

・音羽富士 (護国寺)

運良く登れた方、今年はご利益満載の一年になるかも?


都内最大「品川富士」へ登ってみよう!

富士塚に登ってみたいけれど山開きのイベントは逃した、そんな方でも大丈夫。江戸七富士のなかには、一年中公開されている富士塚もあるのです。それが都内最大の15メートルという高さを誇る品川富士。塚というレベルを超えています。他の富士塚をいくつか廻ってみると、その大きさに目を見張ります。

それでは早速登ってみましょう。


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訪れたのは品川神社例大祭のあった6月初旬。賑やかな露店も出ていて富士山詣で気分が盛り上がります!

無事頂上を極めてからのB級グルメを楽しみに、一路登山道へ。


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整備された参道と同様、富士塚にも立派な階段が。これではあっという間に登れてしまいそう?


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一合目からニ合目の間は4段。この4段のありがたさを一歩一歩感じながらゆっくり登っていきましょう。


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楽勝と思われた登山ですが、頂上に近づくにつれ悪路に!お年寄りは注意が必要です。


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かなりの急勾配!降りは気を抜くと危なかったです。


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頂上です!浅間神社奥の宮の代わりに、こちらの富士には有り難い石碑が鎮座していました。アプローチはたった2分でしたが、江戸の昔から期待に胸を膨らませた人々が多く踏みしめて来た道どりだと思うと胸が熱くなりました。


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下山したら本殿へ参拝を。楽しげな露店の様子は、長く厳しい旅をしてたどり着いたお伊勢さんの「おかげ横丁」を彷彿とさせました。

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いかがでしたか?

現在「御朱印ガール」が人気を博していますが、ちょっと違った寺社仏閣参詣の形として、江戸の歴史の一端に触れる一端として、都内の小さな富士山をめぐってみる。東京を歩く新たな楽しみ方として、身近な富士塚を周ってみてはどうでしょう。

 文  松下祥子