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今だから知ってほしい、ネパールのこと

2015年05月11日 00時07分 JST | 更新 2016年05月10日 18時12分 JST

未曾有の大地震に襲われたネパール。犠牲者は1万人にのぼると予想され、国全体が壊滅的被害を受けたことが、ここ日本にも連日伝えられています。

旧石器時代から続く長い歴史と、複雑で美しい文化を持つ国ですが、日本からは少し距離があることもあって、あまり馴染みの深い国であるとは言えません。

今週のタビィコムは、人々がとても優しく、訪れた人の心を魅了してやまない国ネパールの素顔をご紹介します。ネパールの人々を身近に感じ、痛みを少しでも分かち合えるように。

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●ネパールはこんなところ

ネパールは北をチベット自治区、南をインドに挟まれている、ヒマラヤ山脈に沿った細長い国です。世界で唯一国旗が四角ではない国で、直角三角形が2つ重なったような形のなかに、月と太陽が描かれています。この2つの三角形は、ヒマラヤ山脈やネパールを代表する2つの宗教(ヒンズー教と仏教)を表しているのだそう。国旗が国そのものを実にうまく表現しています。

メインの産業は観光と農業。エベレストを始めとするヒマラヤ登山やトレッキングが有名で、他にはカシミヤやウール製品が名産品です。最近ではフェルト雑貨が人気で、観光客向けのショップ経営だけでなく海外へ輸出する工房も増えています。

参考記事:「めくるめくネパールフェルト雑貨の世界


●日本とネパール

ネパールと聞くとある世代の人は、ヒマラヤ以外に「深夜特急」と「ゴダイゴ」を思い出すのではないでしょうか?

ヒマラヤのなかでも8000メートル峰14座は、常に世界の一流クライマーたちの目標であり聖地です。なかでも世界最高峰のエベレストはツアー登山ができるため、日本人含む一般登山客にも絶大な人気を誇っています。

深夜特急は80年代から90年代にかけて出版された、バックパッカーのバイブルとも言われる沢木耕太郎の紀行小説。ネパールは旅の中心地ではないのですが、根強い人気を持つヒッピー文化の中心であったカトマンズは、深夜特急ファンにとって憧れの場所のひとつなのです。

そしてゴダイゴ。70~80年代に日本を席巻したプログレバンドであり、第二次ベビーブーマーには「西遊記」や「銀河鉄道999」のテーマ曲を作ったバンドとして有名です。そしてそのゴダイゴこそ、ネパール初のロックコンサートを行ったアーティストなのです。動員数はなんと6万人。1980年2月の話です。

日本とネパールは現在も良好な関係で、ネパールへのODAは日本が世界第二位。

また、インド文化の影響を強く受けているはずのネパール料理は意外にも日本食に味が似ていて、日本人にとってはとても美味しい料理が多いのです。

(参考記事:カトマンズに行ったら外せない、日本人好みのローカルグルメ7選

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●神々の混沌が息づく街、カトマンズ

「330万の神様がいる国」と言われるネパールには、ヒンズー教とチベット仏教が二大宗教として根付いているのですが、それらが独立して存在しているというよりも、渾然一体となっているのが大きな特徴です。特にその様子がよく観察できるのが首都カトマンズ。ネパールのなかでも特別な文化を育む地です。カトマンズ盆地に都市文明を作り上げたネワール文化の中心地で、そこに暮らすネワール族には30以上に及ぶカーストがあります。

中世さながらのレンガ造りの街並みのなかにネワール様式特有の繊細な木彫り模様が施された混合寺院。高台に作られたストゥーパには色とりどりの旗がはためきます。人と犬、牛、鳩でごった返す街。もうもうと煙る砂塵、でこぼこだらけのアスファルトの上を力強くリクシャーが走り、白いSUZUKIのタクシーがずらりと並ぶ様は、新旧清濁合わせ飲んだカトマンズを象徴する景色です。

そのカトマンズで1番謎めいた魅力を放つのが少女の生き神「クマリ」。初潮を迎える日まで、親と離れてクマリの館のなかだけで暮らしています。

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●アジア最貧国、だけど優しい人々

ネパールには観光以外の収入源がほとんどありません。他の主要な産業といえば農業ですが、これは僅かな収入にしかなりません。この国には資源がないのです。急峻な山岳地帯であり、世界一開発が難しい国のひとつとも言われています。

しかし、アジア最貧と言われる経済事情からすると、考えられないぐらい治安がいい国でもあります。お隣の大国インドとは比べ物にならないほど居心地がいい。途上国独特のヒリヒリするような空気がないのは、とにかく人が優しいからです。ネパールの人は、目が会うと笑顔を返してくれます。猛烈なこども好きの人も多く、そのせいか欧米からの子連れ観光客もけっこう見かけるほどです。

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国の貧しさのため、自力復興は絶望的な状況です。世界でも類を見ない独特の美しさを持つこの国を救うために、可能な限りの支援が求められています。

ネパールの優しい人々の笑顔が、少しでも早く戻ってくることを、心から願ってやみません。

(写真・文 松下祥子)