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富士山から天城山まで 麗しき湧水紀行

2015年11月28日 15時43分 JST | 更新 2016年11月26日 19時12分 JST

水といえば、美味しいのはやっぱり湧き水ですね。透明度も高く魚も水草も美しく、思わず心奪われる湧き水が、富士山から伊豆半島へ南下する線状にいくつもあるのです。今回のタビィコムはその麗しき湧き水ポイントをご紹介します。

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富士山といえばここ!「忍野八海」

2013年に「富士山−信仰の対象と芸術の源泉」の一部として世界遺産になった忍野八海は、現在では外国人観光客の押し寄せる有名スポットとなりました。

富士山からの湧き水自体は他にもたくさんあるのですが、富士山を崇める人々が各地から参拝ツアーを組んでやってくる「富士講」の巡礼地となった8つは、「忍野八海」と呼ばれ特別な意味合いを持つのです。

忍野八海は世界遺産であると同時に国の天然記念物でもあり、20年の歳月をかけてろ過される富士山の雪解け水は「日本名水100」選に選ばれる水質を誇っています。水くみ場もあるのでその場で味わえるのも嬉しいところです。

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Photo by Quad Dimensional pictures

晴れていれば、雄大な富士山をバックにした忍野八海を望めます。

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池と池をつなぐ小川。水草の美しさが映えます!

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水深7メートルの御釜池。忍野八海で最も深い池で、覗き込むと青い壺のように見えます。


一日百万トン!「柿田川湧水群」

日本で一番短い一級河川でたった1.2キロしかない柿田川ですが、そのすべての水が富士山や箱根山からの湧き水という驚きの川です。豊富な湧水量と国内トップレベルの透明度で、四万十川、長良川と並ぶ「日本三大清流」に数えらています。実際に川の様子をその目で見ると、大きな湧き間と水量の豊かさに圧倒されます。同じ富士山系の湧き水でも、ジオラマのように整った忍野八海とは正反対の魅力が柿田川湧水群にはあるのです。

柿田川湧水群には驚きの歴史があります。実は、1960年代の柿田川は日本有数の「汚染された川」だったのです。製紙工場が汚水をたれ流し、河原はコンクリートで固められた、いかにもな産業地帯の川だった柿田川に変化が訪れたのは80年代。地元の有志が集まった保護の会によって、水質改善や工場の移転運動、土地の買い上げが進み、大自然の恵みそのものの柿田川へと生まれ変わりました。

柿田川の豊富な水は隣接する三島市、沼津市を始め、遠く熱海まで水道水として届いていますが、川の様子が一望できる国道1号線沿いの「柿田川公園」で飲むこともできます。そのお味は意表をつく無味!純度の高い水がどういうものか、実際飲んでみて初めてわかりました。一切の癖がなく喉を流れ落ちていく水は、足を運んで味わってみる価値大です。

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柿田川湧水群といえば、第二展望台から見えるコバルトブルーの湧き間。かつて川を汚していた製紙工場の取水口が、この青を作りだしています。

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Photo by Hiroyuki Nakano

この水量すべてが湧き水とは、にわかには信じられません。富士山から約10年かけて溶岩の間を流れてくるといわれています。

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柿田川湧水群の最上流にある湧き間。目に入るあらゆる水底で、砂を吹き上げて水が噴き出る様子は圧巻の一言。ため息しか出ません。


伊豆の底力「天城山のわさび田」

山梨や静岡の湧水といえば富士山のものが定番ですが、南に下った伊豆半島に行くとそこは天城山の国。誰もが口ずさめるあの「天城越え」の歌の地は、日本でも有数の湧き水ポイントなのです。

柿田川の湧水が流れこむ狩野川の源流が天城山なのですが、伊豆が大変水に恵まれた場所だといわれるのも、降水量の多い地で天城山が蓄える水の量が多いから。中伊豆の高級旅館で腕を振るう料理人の方に「伊豆で一番きれいな湧水はどこか」と聞いたところ、一番に教えてくれたのが天城山上部にある「筏場(いかりば)のわさび田」でした。

「天城越え」で有名な浄蓮の滝も、実際に見るとその水量の迫力に腰を抜かしますが、そこから車で20分ほど行ったところにある筏場では、見渡す階段上の斜面全部を覆い尽くすわさびの葉と大きな水音に驚かされます。実は伊豆はわさびの里として有名な安曇野を超える、日本一のわさび産出量を誇る地。その栽培を一手に担うのが天城山の湧き水なのです。

わさび田から流れ出る水を手にとって味わってみると、わずかな甘みが。柿田川の極限まで澄んだ水の味とは違う、しっかりとした舌触りがあります。この力強い水が日本一のわさびを育てるのです。

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見渡すかぎりの棚田がわさび!この葉っぱの下にはすべて、天城山の湧き水が流れています。

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わさび田の中央を流れる湧き水の川。滝でもないのにマイナスイオンを胸いっぱいに吸い込めます。

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棚田からわさびの下をくぐって流れ出る湧き水。あまくて強くていいお味でした。

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今回ご紹介した3つの湧き水ポイントは、東京からすべてめぐっても車で3時間弱ほど。滞在時間を入れても半日で回れます。青く深い水を眺められるのも、豊かな湧き水がある場だけ。美しい水で心をデトックスするショートトリップ、この秋の紅葉狩りとともにトライしてみてください。

(写真・文 松下祥子)