オメガ、独自の認定システムを開発。腕時計に科学を

独自の認定プロセスを開発し、更なる顧客主導のサービスを目指す。

テク人間のあなたがなぜ、Omegaがマスター・クロノメーター認定なるものを作っていることを気にしなければならないのか?まず、現状から説明しよう。

通常、優れた腕時計はスイス公式クロノメーター検定協会(COSC)の認定を受けている。これは、様々な条件下でその正確性がテストされていることを意味する。検定の詳細は次の通り。

ケースから外されたムーブメントは、個別に15日間、5種類の位置、異なる3つの温度下でテストされる。ムーブメントには特殊な秒針が付けられ、テスト中自動巻機構は取り外される。測定は毎日カメラを用いて行われる。

これは時計ムーブメントの卒業試験のようなものだと思えばよい。COSC認証ウォッチは、腕時計世界のハーバード卒業生であり、それ以外はフェニックス大学のオンラインクラス出身だ。

過去数十年間、COSCは時計メーカーにとって付加価値要素だった。COSC認定は腕時計の価格に数千ドルを確実に上乗せし、それに意味があろうがなかろうが、意地悪く見れば、スマートフォンと原子時計の時代ではそのすべてがペテンである。しかし、ここでは意地悪く考えるのをやめよう。

というわけで、実力ある時計メーカーだがCOSC認定モデルを多くは持たないOmegaは、別の認証団体であるスイス連邦計量・認定局(METAS)を通じて独自の認定プロセスを開発した。これは、Omegaが自社の時計をCOSC仕洋沿うよう認定できることを意味している。SwatchグループのCEOでOmegaのオーナー、Nick Hayekがこう言っている、「信頼性はMETAS業務の核である。われわれは政府機関であり、スイスのあらゆる計測を代表している。何よりも、われわれは消費者および顧客主導である。この機械式時計の新しい標準が全ブランドに対してオープンであることが重要な理由はそこにある」。

要するにOmegaとSwatchグループは、既成プレーヤーに目を付けて足をすくおうとしている。これは一種ずるいいやり方だが、それはCOSC認定が長年ブランド無依存なプロセスであり、メーカーにも認定組織にとっても極めて実入りのいいものだったためだ。しかし今、Omegaは自らの手で仕切ろうとしている。実際彼らはMETASの方がCOSCより上だと言っている。

業界標準のCOSC認定は今後もOMEGAのプロセスの重要部分だが、新たなMETASテストは各製品の認定を事実上倍加し、OEMGAや他のスイス時計メーカーにこれまでにない水準の品質と計時性能を誇示する機会を与える。10日間にわたる8項目のテストを通じて、各製品は1万5000ガウスの磁界への暴露をはじめ、実生活の着用条件を再現した様々な基準を通過しなければならない。

古い会社が自ら独自の製品を打ち出してくることは素晴らしい行動だ。METASは他のメーカーにも間違いなく手を差し伸べるだろうが、認定プロセスの採用によってOmegaは特別な位置を占めることになる。彼らは容易かつ安価に、認証費用を自社の全製品の価格に上乗せすることかできる。一方METASはCOSCという「メジャーリーグ」に仲間入りできる。これは全くの内輪ネタだが、Omegaの新しいGlobemasterがマスタークロノメーター認定となって結構な金額が価格に加わることは、コレクターやファンにとって、この時計の魅力がちょっと増すことを意味している。

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

(2015年10月26日 TechCrunch日本版「オメガ、独自の認定システムを開発。腕時計に科学を」より転載)

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