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「黙っているつもりはありませんでした」キュレーション騒動を受けてNAVERまとめが新方針を打ち出した理由

2017年01月10日 23時29分 JST

shimamura

LINE上級執行役員 メディア担当の島村武志氏

2016年末ネット業界を揺るがした話題と言えば、ディー・エヌ・エー(DeNA)が手がける「WELQ」をはじめとした、キュレーションプラットフォームの騒動だろう。

医療情報に特化したWELQ。このサイトに掲載されていたコンテンツには医学的に誤った情報や不正確な内容が多く、問題視されていた。また、「誰もが投稿できるキュレーションプラットフォーム」とうたうものの、その実態はDeNAがクラウドソーシングを使ってコンテンツを作成する、というものだった。

またコンテンツ作成においては、他サイトのコンテンツの盗用を指示すると言っても過言ではないマニュアルの存在があったことも明らかになった。

結果、DeNAは自社で展開していた全てのキュレーションプラットフォームの記事を非公開化するに至った(詳細はこちら)が、この問題を契機として、各社のキュレーションメディアやキュレーションプラットフォームはコンテンツの見直しや非公開化が相次いだ。

そんな騒動の中、元祖とも言えるキュレーションプラットフォーム「NAVERまとめ」を運営するLINEが動いた。

同社は2016年12月5日、LINE NEWSに関する発表会において、まとめの作成者にオーサーランクを適用するほか、一次コンテンツ作成者へのインセンティブや権利保護を行うといった新方針を発表した。

NAVERまとめのサービス開始は2009年。サービスから6年以上経過したこのタイミングでなぜ新方針を打ち出したのか。LINE上級執行役員 メディア担当の島村武志氏に話を聞いた(編集注:取材は2016年12月8日に実施した)。

今のままでいい、と思っていたわけではない

——改めて、このタイミングで新方針を発表した意図について教えて下さい。

もともと(一連の騒動を受けてNAVERまとめの対応について)黙っているつもりはありませんでした。

本当は発表会でLINE NEWSの取り組みについて発表する予定だったのですが(編集注:新方針の発表はもともと予定されていたLINE NEWSの発表会の中で行われた)、今回の騒動を受けてインターネットの信憑性や著作権まわりの問題、記事の制作プロセス、また“キュレーション”という言葉の定義も曖昧なものになっていました。

「これは先にNAVERまとめの話をしなければ、質疑応答が成り立たなくなるな……」という思いもあり、このタイミングで社内で相談して新方針について発表することを決めました。

振り返ってみると、NAVERまとめの理念についてしばらく話していなかったので、良い機会だなと思いましたし、もちろん今のままでいいと思っていたわけでもないのです。

——具体的にどこに課題を感じていたのでしょうか。

昔から議論していることなのですけど、そもそもNAVERまとめは検索エンジンの問題から始まったサービスです。Googleには「美味しいラーメン屋さん」が分からないと思っています。なので、美味しいラーメン屋さんを知っている人こそが「美味しいラーメン屋さん」をおすすめすることが、検索エンジンの「次」につながるのではないかと思っていました。

ただ、専門家ではない人がネットに落ちている情報をもとに「美味しいみたいですよ」と記事をまとめるケースが増えてきました。「よく分からないけどそういうモノが載っている」では検索エンジンと変わりがありません。やはり、「ラーメンを食べ続けて30年の私がオススメする」といった身元が保証されている人がまとめた記事の方が読みたくなるし、価値があります。

引用される、されないの定義に関しても、どこの誰かは分からない人に引用されているから権利者は怒るのであって、ネット界隈で有名な人に引用されたら「ありがとうございます」となるのではないでしょうか。だからこそ、誰がどう評価しているのかを明確にすべきだと前から思っていました。

また、まとめサービスをやっていく中で、一次コンテンツ作成者のおかげで成り立っているのに、コンテンツを二次的に利用して流通させている人にインセンティブを与えているだけなのはどうなのかと。立ち上げの頃からずっと議論してきました。

——NAVERまとめの立ち上げは2009年。今まで一次コンテンツ作成者への施策は着手できていませんでした。

言い訳がましく聞こえてしまうかもしれませんが、サービス立ち上げ期の2009年と今では状況が全く異なっています。

当時はブログ全盛の時代であり、ネットコンテンツが元気な時代でした。サービスを立ち上げるにあたっては、スタンダードなユーザー投稿型のサービスを考えていました。

ただ、すでに他のサービスがあり、たくさんコンテンツが発信されているという事実がありました。後発で参入しても成功しない、その次に何をするかを考えなければいけない、という議論をさんざんしました。

それでリンク記事とTwitterの声を見せるようなただリスト記事ではないもの、DJで言えばサンプリングして新しいクリエイティブが作れるようなものがないか、といったところからセカンドメディア的な構想が始まりました。

「ユーザーは簡単には書いてくれないんじゃないか……」という思いは抱えたまま、NAVERまとめを開始してみたのですが、結果は想像通り。実際に誰も書いてくれなくて、1年くらい何の成果も出せませんでした。「NAVERまとめは最初から上手くいっている」という文脈で語られがちですけど、全然そんなことはありません。

それで最初に、(まとめ作成者への)インセンティブをやろうとなりました。最初は広告収益を全額分配するというところからです。そのあとに東日本大震災が起こって、情報が錯綜する中で輪番停電のまとめなどもできたりして、そういったところから知られるようになっていきました。

2011年に(コミュニケーションサービスの)LINEができて、会社が大きくなっている中で、NAVERまとめの存在意義が求めらるようになったのが2012年頃です。つまりそれまでは全てを作成者に返してしまっているので赤字の運営です。その頃からまとめのページビューも増え始めたのですが、一方では検索サービスのNAVERも閉じてしまったので、独立して事業を回さないといけないという状況になりました。

——NAVERまとめは広告商品(スポンサードまとめ)でビジネスをしています。

PV至上主義から脱却したかったのです。自分たちの作っているものに誇りがあるのですが、ネット広告は結局アドネットワークになっていきます。でもそれだけで終わりたくなかったのです。単価を上げ、より多くインセンティブを返す方法を考えたのです。

当時はライブドアと会社も1つになり、一緒になって商品を作ろうとなっていました。ちょうどNAVERまとめは人が来てみて頂けるようになってきたので、アドネットワークだけでできない、うちでないとできない商品を…というので野心的に作りました。

NAVERまとめは自分たちの実力とは別に、評価が一人歩きしているところもあったのですが、決して順風満帆ではありませんでした。ですが、今回の一連の騒動を受けて、「今ここで対応すべきだ」と強く思えたので新方針を発表しました。

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さまざまな“まとめ”が掲載される「NAVERまとめ」のトップページ

「お前が言うな」の声、言われると思っていた

——今回の発表について、ネット上では評価する声があると同時に「お前が言うな」という批判の声も大きいです。

それは言われると思っていました。ただ絵に描いた餅、ポジショントークで言うのではありません。新方針にチャレンジすると言い切ることが、自分たちの進むべき道を明確にしてくれるのではないかとも思いました。どういうことをやってきたかまず知って欲しいし、これからをどう考えているかを知って欲しい、と。

——ホワイトリストを作るのでプラットフォームに乗って欲しいという新方針は、NAVERまとめが「Googleになりたい」と言っているような印象を受けます。

Googleというと語弊があるのですが、「検索」になりたいんです。コンテンツを必要としている人とコンテンツを持っている人をいかにつなげるか、ということなのです。

一連の騒動で少しだけ違和感があるのは、検索エンジンについてどう考えるかということです。

権利侵害という意味でいうと、法律的には検索エンジンだけが免責されていて(編集注:検索サービスにおける「複製」は、著作権法上は適法となっている)、自社のサーバー内に保持しています。また中身が分かるレベルでの引用、画像もサムネイルの使用は認められています。

それを踏まえて、ロボットは良くて、ロボット以外がはダメな理由(まとめが検索サービスと認められない理由)はそもそも何だったのかと。

例えばロボットが信頼性を評価できないことが今回の騒動につながりました。彼らは2014年頃にドメインを判定する、オーサーランクを導入する、と言っていましたが、それがきちんと適用されていれば問題は起きなかったかもしれません。

一番人の目に触れている検索エンジンがどんなルールを設けているか、それがその先のコンテンツのあり方を大きく定義していることには違いありません。

「ウェブの記事はタイトルが9割」という話を耳にすることがあると思いますが、これは中身の信憑性は置いておいていい、人はタイトルしか見ないという今までの仕組みがそうさせているところがあります。

——「検索」において実質的にロボット検索のGoogleしか選択肢がないことが問題だということですか。

1つの選択肢しかなければ、すべてのコンテンツはその評価軸に沿って作られるようになってしまいます。だから、今回のような問題が起きてしまったと思いますし、記事の内容よりタイトルにこだわる傾向にになったのではないでしょうか。

ただ、大学教授であろうとその分野で優れた知識を持っている人でもタイトルのつけ方がうまいかどうかというと、決してそんなことはありません。

タイトルをつけるのが上手な人と協業するかたちはないのか……と模索したのがNAVERまとめです。検索エンジンという概念はありつつも、それだけではない接点を上手く作っていくことを考えました。

みんなが検索しようと思ったときに最初に開くページではないので、プラットフォームとして拡大しようとしても難しい部分はあるけれども、LINEのスマートポータル事業と繋がる部分はあります。

LINEは“あらゆることはLINEにつながる”と考えているので、将来的にはLINE上で医療のことを知りたいと思ったとき、その医療情報を誰がどのように作ったのか、そこまでつなげる必要が出てくるでしょう。

やり方に関しては見切り発車な部分もありますが、根拠なく新方針を発表したわけではありません。LINEのスマートポータル戦略が進んでいることを踏まえて、私たちはロボット検索とは違ったルールで権利をきちんと守ってコンテンツを届けることができると思っています。

NAVERまとめで閉じる話でもないと思っているので、LINE IDでの認証を設けることにしました。LINE IDは(変更できないので)ウソを言ってあとから直す、ということはできません。

そもそも何も担保しない状態だったので、まずは少しでもフィルターがかかる状態にすれば、身元が保証されるようになっていき、検索する意味も変わっていくと思います。

——ロボット検索より以前にあったディレクトリ検索(編集注:「サーファー」と呼ばれる担当者がウェブサイト1つずつにカテゴリを付けて登録するタイプの検索エンジン。かつてはYahoo!検索でもこちらが主流だった)に近い印象も受けます。

私はディレクトリ検索全盛の時代から、ロボット検索が席巻するところまでを、身をもって体験しているので、あのとき多くのモノが失われたのを知っています。

当時はサイトが「その人自身」を表すものでした。今よりもサイトを作るのにハードルは高かったのですが、「好きな情報を発信したい」という情熱がフィルタにかけられて検索エンジンに登録されていました。

そこには、ファンの人同士が作っている「リンク集」なんかもあって。そうすると自分の好きなことから新しい興味へ、「横に横に広がっていくインターネット」になっていました。ですがロボット型の検索は「ドリルダウン」しかありません。

例えばフェラーリが好きで調べたい人は、実はスポーツカー全体が好きなことがあります。そうすると他のメーカーのスポーツカーについても派生して調べたいし、興味がある。ディレクトリ検索はそういったものをカテゴリで辿っていけました。

そのルールが正しかったかというと異論もありますし、これまで何度もレギュレーションはアップデートされてきました。ですが、(登録される情報は)機械をだませても人の目はだませません。例えば「肩こり 幽霊」なんていうキーワードは(人の目であれば問題があると)分かります。

例を挙げると——最近は事情が違ってきましたが——一般的にはコンピュータ