起業したい女性は、今すぐにでも起業すべき

女性がCEOを務める民間企業は全体の6.5%で、女性が設立者の企業は僅か1.3%。史上初、学士及び博士課程を修了する割合で女性が半数を上回ったのに、なぜ未だにこのような状況なのか?
TechCrunch Japan

編集部記:Zoe Barryは、デジタルヘルススタートアップのZappRxのファウンダーCEOである。

シリコンバレーで女性がテック企業を始める割合は、驚くほど低い。たったの3%だ。女性がCEOを務めるプライベート企業は全体の6.5%で、女性がファウンダーの企業は僅か1.3%だ。女性が歴史上初めて、学士及び博士課程を修了する割合が半数を上回ったのに、なぜ未だにこのような状況なのだろうか?

落胆を禁じ得ない数字や、最近のニュースを賑わせたEllen PaoとKleiner Perkinsの裁判で浮き彫りになった性差の問題の他に注目すべき良いニュースもある。テック業界にいる女性は、素晴らしい仕事をしていて、それに注目が集まっている。最近のデータから、女性が率いるテック企業のほうが、資本を効率的に回し、投資額に対するリターンが35%も高いことがわかった。ベンチャーキャピタルの取引でも2013年前半には女性リーダーの企業が13%を占めるようになった。2004年時点ではたったの4%だった。言い変えれば、投資家が女性リーダーの企業に投資する魅力に気がついたということだ。

私は、ベンチャーキャピタルから投資を受けたデジタルヘルスケアスタートアップを一人で創業した女性CEOだ。仕事の中でテック業界での女性の扱いが良い方向に向かっていることを実感している。私より以前にこの業界にいた女性たちの悲惨な状況とは違ってきているのだ。そして女性が起業するのに完璧なタイミングが来ていると感じるようになった。

女性でも優れたリーダーになれる

Marissa Mayer、Sheryl SandberやGinni Romettyのように重役に就き、Fortune 500の有名企業を率いてる女性の存在は衝撃的だ。彼女らのリーダーシップとそれによって得たステータスは、女性が重役に付くイメージを定着させ、テック業界、さらには他の業界でも女性をリーダーに起用する必要性を訴えている。

そして嬉しいことに、彼女らほど輝かしい立場でない女性でも素晴らしい仕事を成し遂げて、際立ったリーダーシップを発揮していることも分かった。Harvard Business Reviewに掲載された2011年の研究では、職場の男性と女性の仕事ぶりを評価している。

どの役職レベルでも、女性の方が同僚、上司、部下、そして仕事で関係する人からの評価が比較対象となる男性より高かった。役職レベルが高いほど、その差は開いていった。そして注目すべきは、どの役職レベルでも、リーダーシップの発揮に関連する16の能力のうち、12の能力で女性の方が高い評価を得ていたことだ。その中でも、主導権を持つことと結果を追求することの2つの能力においては最も大きな差が見られた。このような能力は男性特有の能力であると考えられてきた。

女性は家にいるもので、役員会議とは縁遠いと長いこと思われていたことを考えると、この情報はとても興味深いもので希望を感じる。女性起業家の背中を押すには、これ以上ない変革のタイミングである。

女性が率いるビジネスに成功の兆し

驚くべきことではないかもしれないが、優れた女性が舵を取ることで、興味深いことが起きる。女性がリーダーの企業は、典型的な男性リーダーの比較となる企業より成長率が高いのだ。収益が1000万ドル以上の規模の女性リーダーの企業は過去10年間で、56.6%成長していた。全ての1000万ドル以上の規模の企業と比較するとそれは47%早い計算になる。

女性をリーダーシップを発揮するポジションに据えることが、会社の成功にとって重要な要素であるようだ。役員に女性が2人以下のスタートアップの失敗する確率は50.3%だが、5人以上の女性が重要なポジションにいる企業の成功確率は61%に跳ね上がる。

ヘルスケアの分野では、特に女性が重要な役割を果たすようになってきた。それは役員クラスでも一般社員でも変わらない。医療や健康関連のサービスのマネージャーの73%が女性であり、女性がそれらの企業を代表する立場になった。ここ十年の間で高い収益を上げる、女性リーターのヘルスケアや社会保障に関連する企業の数は3倍になり、さらに成長を続けている。 それらの企業全体では54.9%の成長が見られ、1000万ドル以上の収益規模の企業に至っては183%の成長が見られた。

ヘルスケア分野にアメリカ国内の注目を集まる中、才能ある女性リーダーが数多く台頭し、アメリカの健康とウェルネスの新時代を築くことになるだろう。

ベンチャーキャピタルが起こす雪だるま効果

女性が率いる企業が成功するほど、ベンチャーキャピタルの関心が集まり、更なる成長を促すことになる。ドットコムバブルの間、女性が率いるビジネスに投資するベンチャーキャピタルは最低水準だった。1997年から2000年の間にアメリカ国内で投資された資金のたった6%しか投資されなかったのだ。しかし、2000年から2011年の間のその数字は41%まで伸びた。

この事と、女性リーダーのテック企業が男性リーダーのテック企業より12%も高い収益を上げている事実もある。成長が約束されていることが分かるだろう。

女性が率いる企業に投資したベンチャーキャピタルがそのリターンを得られれば、さらに投資に積極的になる。転がりだした雪だるまを止めることは難しいので、この流れは更に加速するだろう。

女性が女性を支援する動きが始まった

女性起業家が、若くて経験の少ない女性起業家を支援する活動が今までになく活発になってきた。例えば、私には成長と成功を得るのに大きな影響を与えたメンターがいた。私はこの感謝の気持ちを次の起業家を教えることで表したいと思う。

ここ数年、私は100万ドルを調達した若い女性起業家のメンターを引き受けていた。彼女のスタートアップは、Forbes30のUnder 30に名を連ねた。素晴らしいことに女性テック起業家の80%にメンターがいるそうだ。私の経験から言うと、メンターの存在は将来、成功する確率を高めると考えている。

女性リーダーの企業や良い企業に投資したい女性投資家も増えている。役員や取締役会に女性を入れる企業も増えるだろう。なぜなら、数字は嘘をつかない。女性が決定権を持った時の成功の確率は数字で出ている。テック業界に女性が増えることで、メンターとのつながりも充実することだろう。今、若い女性起業家が最初の会社を立ち上げるのに盛り上がっていて最適な時期でないと言うなら、いつそのような時代がくると言うのだろうか?

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

(2015年4月17日TechCrunch Japan「起業したい女性は、今すぐにでも起業すべき」より転載)

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