空気を読み過ぎて人間関係がつらいあなたへ 第5回

実験を利用して解決を目指していきたいと思います。

実験を通じて「あなた」を取り戻そう

前回までのお話で、幸か不幸か、あなたが空気を読んでしている行動が、じつはあまり必要とされていないことも、あるかもしれませんので、わざと空気を読まずに、手伝わないでいるとどうなるか実験して、確かめましょうとお伝えしました。

ここからは、実験を利用して解決を目指していきたいと思います。

もしかすると実験から得られる気づきだけで、「そんなに気をつかわなくてもいいんだ」となっている人もいるかもしれませんね。

ですがここでは一歩進めて、「やらされ感」を解消するようにしていきましょう。

実験を繰り返していく中で、一度中断することを何度かトライして慣れたならば、「空気を読んで」中断したときに「あなたが選択することもできる」ようになっているはずなのです。

といいますのは、あなたが空気を読むことで「反射的に行動する」という、いつものパターンを何度も中断してきました。これがすでに一つのトレーニングです。

相手が重いものを持っている

→ 危ない持ち方だなぁ(手が出そうになる)

→ 中断

→ 観察

実験では、観察の結果何が起こるかどうか?に注力しましたよね。この観察の部分を変更します。

ここでは「自分の仕事ではない」と判断して、手伝わないという選択肢を選ぶことができます。おなじように「頼まれていないけれど、自分から進んで手伝う」ということを、あなたが選択することもできるのです。

相手が重いものを持っている

→ 危ない持ち方だなぁ(手が出そうになる)

→ 中断

→ 落としても替わりのモノはあるし、そうなっても彼の成長する経験になる

→ 手伝わないと決める

→ 自分の仕事を続ける

相手が重いものを持っている

→ 危ない持ち方だなぁ( 手が出そうになる )

→ 中断

→ 高価で壊れやすい商品だよアレ、やらせて壊れたら絶対後悔する

→ 手伝って持つ

空気を読んで行動した結果、後悔することもあるかもしれません。

「あいつのためにするんじゃなかった」、「自分が大変になって損した」

おなじように行動した結果、「相手のためにも自分のためにも良かった!」ということもあるでしょう。

空気を読んだけれども行動しないことを選んだ結果、

「どうしてやってあげなかったのか?」

「やってあげたほうがスッキリしたかも......」

という思いが残るとか、後悔や葛藤が残ることも完全にないとは、言えないでしょう。

おなじように行動しないことを選んで、「荷物を背負い込むことにならなくて良かった」とか、「自分のために時間を使えるから、期限に間に合いそう」などと感じることもあるでしょう。

行動しても、後悔することもあるし、よかったと思えることもあります。行動しなくても、後悔することもあるし、よかったと思えることもあります。

どちらを選ぶのか?という判断をするためには、あなたの長所を活かしてみましょう。

いまの状況を観察して(空気を読んで)、今後どうなりそうか?

いままでだと、パッと手が出るとか、代わりを買って出てしまう場面でも、いったん中断します。

そこでこう考えるのです。

  • ○○をすると、こんな結果になりそう
  • 何もしないと、こんな結果になりそう

ではどちらを選ぶことがいいだろうか?

いったん空気を読んだ自分に気づいて、流されることを止めます。

そうして「空気を読むとこうなると思うけれど、それを自分がするのかどうか?」という選択、決断をします。

ただ流されるように空気を読んで「行動させられたようになる」ことと、状況を観察し、過去の経験、持っている情報や知識を利用し、未来を予想することで、「あなた自身で決める」というプロセスを差し込んで決定することの間には、とても大きな差があります。

自分自身で決める

空気を読んで行動することとは、自動的な行動になり易いものです。

「しょうがないな」、「私がしなきゃ」だから私が... こんなふうに自然にしてしまいませんか?

そこに自分の意志はあるのか? それはしたいことなのか? 別の可能性や選択肢はないのか?

「なんとなく」「自然に」「つい」という行動をいったん置いて、自分で選んで決める。

長く難しく書いてしまったかもしれませんが、空気を読んで行動できるという長所、得意なカタチ、言ってみれば自動的なパターン化した順番の中に、「自分で選んで決める」ということを追加しましょう、ということです。

大人としての良識を身につけているのであるならば、良い結果であっても悪い結果であっても、ポジティブに受け入れやすいはずです。それは「自分で選択して決めた」という、主体的な判断ですから。

自分で選ぶことには責任があります。

同時に「やらされた」こととは、全く違うものなのです。

(2016年07月26日「ボトルボイス」より転載)

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