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息子は自閉症......おにぎり屋を営む老夫婦が一番しあわせだった日

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長年お店を営むふたりに、それぞれ人生で一番しあわせだった日について聞きました。

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北区十条・おにぎり蒲田屋(創業55年)

【おじいちゃんが一番幸せだった日】


「新装開店した日」

25で妻と蒲田にお店を開いてから、私たちは長いこと和菓子屋を営んできました。昔は甘いものがあまりなかったからか繁盛しましたね。

しかし昭和44年、十条に越してくると様子が違った。売れないんです。洋菓子が広まってきた頃ですから、時代のせいもあったかもしれない。そんな時、繁盛しているおにぎり屋が目につきました。

「いいかもしれない」。私たちはそこで、徐々に和菓子を辞めておにぎりを始めました。もちろん、和菓子を辞めるのはつらいことでしたし不安もありました。  

平成6年12月26日、54周年の結婚記念日、おにぎり蒲田屋が改築して久しぶりにお店を開くその日、店の前には行列が50mもできていました。十条に越してきた頃では想像もできない光景……私は嬉しかった。そして、新しく建ったおにぎり蒲田屋の姿は、とても誇らしかったね。

添野武 79歳

【おばあちゃんが一番幸せだった日】


「英二の笑顔を見た日」

3人いる子どものうち、次男の英二が生まれた時は、嬉しさと一緒にちょっと違う感情もあって……。英二は自閉症。大変な人生を歩む子どもを産んでしまったと申し訳なくて、お店も大変だったから、お父さんに「産んでしまってごめんね」と言いました。

そしたら「お前一人で産んだんじゃない。二人で産んだんだ」って言ってくれて。そうして私たちと英二との生活が始まりました。高校までは「いる場所」がありましたが、卒業後はなかなか難しく、そこでお父さんと有志で集まった方々とで障害者が生活しながら作業ができる施設を作りました。英二はそこに入所しました。  

それから数ヵ月後、久しぶりに会いに行くと、作業をする英二の姿が見えました。英二は顔を上げてにこっと笑いました。いつもむすっとしていたのに。その笑顔が見れた時、とても幸せな気持ちになりました。

添野ツルヨ 72歳

(2016年5月発行:東京グラフィティ「おじいちゃんとおばあちゃんが一番しあわせだった日」より転載)