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「地球温暖化」をニュースで伝えるたびに感じていたジレンマ

2014年10月10日 16時05分 JST | 更新 2014年12月09日 19時12分 JST
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今年の夏は、全国各地で豪雨被害が頻発し、8月には広島市の土砂災害が発生し多くの命を失いました。特に今年は西日本で豪雨被害が続き、日照不足による人々の暮らしや農作物への影響は深刻です。もちろん、過去にも大雨や台風、豪雪や竜巻、あるいは干ばつなど多くの自然災害は起きてきましたが、特にここ数年は「極端現象」と呼ばれる大災害が頻繁に起きるようになっていると感じます。そして、私も含めメディアは「異常な気象現象」「これまで経験したことのない自然災害」という言葉を繰り返します。

こうしたニュースを伝えるたび、「なぜこうした異常ともいえる気象現象が起きるのか」と、原因を探るために取材をしたり、専門家に話を聞くのですが、どうにもはっきりしないというジレンマがずっと続いています。というのも、個別の突発的な事象、例えば大雨被害などについて、気候学的な見地などからメカニズムを分析することは可能なのですが、たとえば「地球温暖化に関連するのか」などマクロ的な視点となると、そこには大きな壁があるわけです。「それはまた別の話」とか、「そもそも温暖化は進んでいない」とか、「いやいや、今は寒冷化における小春日和だよ」という人もいて、専門家ごとに意見が異なり、一気に言及が難しくなるわけです。これは、短期的なビジョンでとらえるか、長期的に見るかの違いにもよるのでしょうが、いずれにしても実にわかりづらい内容になり、多くの視聴者に伝えづらい。その結果、「なんだか最近、気候がおかしいよね」「何が原因なのだろう」「何か対策はないのかな」という疑問は宙に浮き、毎年のように「異常な気象現象」という言葉を繰り返していることに自分自身フラストレーションを抱えていました。

そんな中、先日「地球環境フォーラム2014」というイベントに参加する機会をいただき、脱炭素社会に向け具体的な提言をされているコロンビア大学地球研究所のジェフリー・サックス所長、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のレナーテ・クリスト事務局長、そして元グーグル日本法人社長の村上憲郎さんとご一緒させていただきました。

思い切って普段感じていることを伺ってみたところ、サックスさんはこう答えてくださいました。「人類が気候を変えてしまうということは未知の現象であるから、そこに異論があるのは当然のことですね。さらに、科学の不確実性という問題。経済的利害がからむこと。こうした問題を解決していくためには、確実なデータを得て、現実に向き合うことが大切です」

レナーテさんが事務局長を務めるIPCCは、過去130年間で気温は約1度上昇し、温室効果ガスは1970年以降、毎年1.3%ずつ増えていると発表しました。特に2000年以降は2.2%ずつ増えて排出量は有史以来もっとも高い水準です。こうした世界の知見をあわせたデータをもとに、IPCCは気温上昇が太陽活動の変化など自然要因だけでは説明できず、明らかに人間による温室効果ガスの排出が温暖化の主たる原因として、地球温暖化の進行が喫緊の課題であることを改めて示しています。

9月にNYで行われた国連気候変動サミットに際しては、世界各国で温室効果ガス削減など気候変動への取り組みを求める大規模なデモ行進も行われ、NYでは40万もの人が参加しました。映像を観ながら、日本は「地球温暖化」という問題にどう向き合うのかを改めて問われているように感じました。

脱炭素社会実現に向けては、サックス氏も主張しているように、原発利用という議論があります。実際、2015年のCOP21に向けて、日本政府は新たな目標策定を目指していますが、小渕優子経済産業大臣は、「COP21の前にベストミックスを策定」と発言しています。つまり、目標策定の上で、原発をベースロード電源として位置付けているということです。

福島第一原発の事故を経験している日本にとっては、他国のように脱炭素社会実現のため原発を活用するという考えを受け入れらない人も多いと思います。また、途方もない核のゴミという、地球環境に大きなインパクトを与える原発が、地球環境の持続可能性のために必要だという議論にも違和感を覚えます。日本も地球温暖化問題への危機意識を高めることは必要だと思いますが、元グーグル日本法人社長の村上憲郎さんが指摘するように、それぞれの国、地域にあった議論を深めることが大切で、「乾いたぞうきん」を絞るような目標設定ではなく、ITを含めた新しい技術開発を進め、国際競争力を上げるためのバネとなるような温暖化対策こそが、今求められていると思います。