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海上自衛隊の最新鋭艦・いずもの内部に入った

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昨年3月、海上自衛隊に最新鋭の護衛艦が就役した。建造費およそ1200億円という海上自衛隊最大の船、「いずも」である。一体、この「いずも」はどんな船で、どんな役割を担うのか。「報道ステーションSunday」でその内部を取材をすることができた。

横須賀にある海上自衛隊の基地に入ったとたん、その巨大な船体に圧倒される。船の一番高い部分までマンションの10階建てくらいの高さはあるだろうか。その高さはおよそ49メートル。全長は248メートル、幅は38メートル。他の護衛艦に比べ、サイズ、高さとも比較にならない大きさだ。

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写真は「いずも」の飛行甲板だ。格納庫からヘリコプター運搬専用のエレベーターに乗って16.5メートルほど上昇したところにある。「いずも」は潜水艦を探す哨戒ヘリ7機に加え、救難輸送ヘリなど2機の合計9機が運用できるが、この飛行甲板からは5機のヘリが同時に離発着できる。

でこぼことした表面の甲板には、他の護衛艦と異なる滑り止めが特別に加工してありオスプレイも離発着できる。この甲板には高性能20ミリ機関砲で、1分間に4000発もの弾を撃つことのできるファランクス、さらに飛んできたミサイルを自動的に撃ち落とす能力をもつシーラムといった武器が搭載されている。シーラムは「いずも」にしか装備されていない武器だ。

いずもの内部は13階建てになっている。人間用のエレベーターはないので、細くて急なタラップをひたすら登るわけだが、そのもっとも高い位置にあるのが航空管制室だ。飛行長(Air Boss)と書かれたイスに座ると、左右にわたって甲板の艦首から艦尾まで実際の目で見渡すことができる。この航空管制室は空港と同じ機能をもっていて、ヘリの離発着をすべて管理している洋上の管制塔である。

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率直にいって、実際に全通甲板に立つと「空母にしか見えない」と感じる。実際、中国は「いずも」を「准空母」だとして反発している。(http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/07/izumo_n_4552727.html

日本は憲法解釈上、戦闘機を載せることができる空母を保有することは許されない。自衛官に聞いてみると「空母とはまったく異なります」との答え。

「固定翼機を飛ばすためのカタパルトもアングルドデッキもありません。改修するといっても大変な予算がかかりますし。あくまで大規模災害や国際緊急援助にも使える多目的艦です」

大規模災害や国際緊急援助のためにどんな装備があるのか。天井に何本もの管がむき出しになった迷路のような艦内を進むと、新品の3段ベッドが並ぶ寝室があるのだが、その数は1000床。乗員のほか、およそ500人の輸送が可能だ。これは大規模震災などで被災した人たちに提供するためと、さらには海外での緊急事態の際の邦人輸送を想定している。

実際に身長166センチの私が寝てみるとギリギリのサイズで、現代の男性の体格には小さすぎるなという印象だが、それでも被災者が体を休める場所としては暖もとれて便利だと思う。

他にも「いずも」には一般の病院なみの医療施設も完備されている。集中治療室、歯科治療室、隔離病棟のほか、手術室まであって任務の際は自衛官の医師が2名搭乗する。

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(手術室)

一度に300人が食事をとれる食堂では海上自衛隊自慢のカレーライスが作られていた。船では火を使えないのですべてスチームを使っての料理だ。スパイスが何種類も使われている本格派で、香りも高く本当に美味しい。船の勤務はそれこそ食事しか楽しみがないこともあり、どんなメニューも味には徹底的にこだわっているという。

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(厨房)

他にも「いずも」は重要な役割を担っている。100インチの巨大モニターを使用し、陸・海・空の部隊を一緒に動かす指揮所・司令部としての多目的室だ。「いずも」には船の至るところにアンテナが設置されていて、これまでの護衛艦よりも大幅に通信能力が向上している。この能力を応用して、海上の司令塔としてはもちろん、大規模震災により崩壊した自治体の代替施設としても使用できるという。

ヘリを使った対潜哨戒能力、自衛隊最大の船としての輸送力、さらに最新の通信設備を搭載した海の司令塔。様々な能力をもつこの巨大護衛艦は、海洋進出を続ける中国や東シナ海をめぐる危機に対し、どのような任務を果たすのだろうか。吉野敦艦長に聞いた。

「任務はこれまでと変わらないと思います。海自はもともと日本の領域警備をしなさいと。何かあったらそれに対応するようにしなさいという大きなミッションがありますから、これまでどおり変わらずに対応することになります」

優れた能力を搭載した巨大護衛艦。集団的自衛権の行使が一定条件で可能になった今、緊急事態が起きたときに米軍がいかなる要請をしてくるかは未知数である。その際、司令を下す幹部がどのような判断をするのか。運用についての歯止めはどうするのか。国会での慎重な議論が求められる。

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