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私のかっこいい足を見て!!! 義足のファッションショー開催

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 病気や事故で足を失い、義足をつけて生活している15人がモデルとなるファッションショーが7日、東京都江東区の日本科学未来館で開かれた。おしゃれな服とパフォーマンスで、観客からは拍手喝采を浴びていた。

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写真:大勢の来場者の前でポーズをとる義足モデルたち

 
◯ファッションとパフォーマンスで魅せるショー

 ショーは9日までの障害者週間に合わせて開かれた。義足のモデルが約20分間、集まった来場者の視線が注がれる緑の「ランウェー」を歩いた。
 出演したモデルのうち14人が「ヘルスエンジェルス(http://www.healthangels.jp/)」という陸上チームに所属し、スポーツを楽しんでいる。ショーでもおしゃれな着こなしだけでなく、音楽に合わせてサッカーのドリブル・パス回し、なわ跳び、短距離走などを披露した。プーマに所属し、走り高跳びで2メートルの記録を持つ鈴木徹選手(http://torustyle.blog45.fc2.com/)は数歩の助走で、大人の腰の高さのゴムひもを軽々跳び越えてみせた。

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写真:ゴム跳びを披露する鈴木徹選手

 モデルの一人で、100メートル走で2016年のリオデジャネイロ・パラリンピック出場を目指す村上清加さん(31歳)は「競技場ではスカート姿で走れないので、新鮮な体験でした。『かっこいい義足』を多くの人に見てもらえて、うれしい」。

 
◯自己紹介は「〇〇切断の××です」

 ショーの後には観客とモデルがテーブルを囲んで話す1時間程度の交流会が開かれた。テーブルにつく前にモデル15人は「〇〇切断の××です」と自己紹介をした。
 こうした紹介になるのは、切断部位により、競技や生活の面で違いが生じるからだ。義足の名称も切断部位に合わせて(上から)股義足(こぎそく)、大腿義足、下腿義足と3種類に分かれる。
 特に大きな分かれ目になるのは、切断部位がひざの下(下腿)か上(大腿)かという点。パラリンピックの陸上競技も、ここでクラスが異なる。大腿切断の場合、ひざが義足の関節に置き換わる。今の技術だと、この関節は体重をかけると曲がるが、力を抜くとすぐに伸びてしまう。速く歩くために必要不可欠な構造だが、どれだけ使い慣れても、健常者のひざほどには動きを制御しきれない。
 この特徴が、生活面で支障をきたすことがある。例えば階段の上り下り。下腿義足の場合、健常者と同じようにステップを片足ずつ、交互に登ることができる。ところが大腿義足になると、義足の関節を曲げたままもう片方の足を前に運ぶ動作ができないため、両足で一段ずつ登る必要がある。
 また、強い風が吹くだけで関節の曲げ伸ばしの速さがずれる。慣れたタイミングで歩くとひやっとするだけでなく、転倒してしまうこともあるそうだ。
 今回の取材中、大腿義足の方数人から、「事故などで足を切断しなければならなくなった時、選択肢があるのなら、ひざを残す道を選ぶべき」とアドバイスを頂いた。
 股義足の場合は走ったり跳んだりすること自体が難しい。競技会では大腿切断の人と同じクラスになるので、記録上も不利になってしまう。それでも日本でただ1人、左脚義足の野田隼平選手(http://www.kanpara.com/?p=1852)が競技に挑み続けている。

 
◯「障害者はスポーツをやるべきだ」

 今回のショーを義足づくりの面で支えたのは、義肢装具士の臼井二美男さん(http://www.ssf.or.jp/history/story_22/00.html)(59)。過去パラリンピック4大会に同行している義足の専門家だ。
 「パラリンピックに出る選手も、最初はみんな歩くのさえ大変。平行棒をつかみながら歩き方を覚えることから始まり、大変な努力と練習を重ねています」。

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写真:参加者にコンピューター制御の義足の仕組みを説明する臼井二美男さん(中央)

 義足づくりではまず切断部の足の型を取り、ぴったりはまるソケットをつくる。その後、体のバランスを確認しながらソケットに足をくっつける位置を決める。ぴったり合わせないとうまく歩けない、完全なオーダーメード品。臼井さんは「世界に一つしかない、自力で歩くための靴」と表現する。
 つくった後も足がやせてすき間ができ、すれて痛い思いをする人が多い。足に布を何枚も重ね着したり、ソケットの内部にクッション材を貼ったりして調整するが、義足での活動量の多い人で1年半に1度、ソケットの交換が必要になる。
 スポーツをする場合、弾力のあるカーボン製の板でできた義足が使われる。「ブレードランナー」のあだ名で有名な南アフリカのオスカー・ピストリウス選手がつけていたあの義足だ。
 ピストリウス選手は両足義足だが、こうしたスポーツ義足は片足だけでもソケット下の部分だけで50万円以上する。そして生活で使う義足と違い、現状では国から補助金が出ない。2020年の東京パラリンピック開催は、こうした道具へ支援が広がる最後のチャンスではないかと、選手や関係者は考えている。

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写真:右足に生活義足をつけた村上清加さん

 ショーに出演した村上さんは25歳の時に事故で右足の大腿部を切断。「義足を初めて持った時は、こんな重い物をつけて自由がうばわれるのではと、頭が痛くなった」と話す。
 そんな村上さんが頑張る目標となったのが陸上競技だった。今も満員電車で怖い思いをしながらも日々、道具を持って通勤している。
 「『健常者はスポーツをやったほうがいい。障害者はスポーツをやるべきだ』と断言する車いすの選手がいます。特に子どもは施設やクラブの設置も含め、スポーツができる環境が必然にならないといけないと思います」
 臼井さんは「義足の子どもへ支援があれば、運動能力はもっと高まるはず。技術力のある日本なら、こうした医療・福祉をサポートする分野で世界をリードする国になれると思う」。

※この記事は朝日中高生新聞12月7日号、朝日小学生新聞12月9日付に掲載した記事を大幅に加筆しました。紙面のサンプルや記事の一部も見られます。「朝日小学生新聞」「朝日中高生新聞」のホームページはこちら http://www.asagaku.com

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