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防災への第一歩は、マチノコトをもっと知ること。

2015年01月16日 20時12分 JST | 更新 2015年03月17日 18時12分 JST

兵庫県南部地震の発生、阪神・淡路大震災から20年が経とうとしています。今年の3月で、東北地方太平洋沖地震から4年になります。

昨年8月に起きた広島の土砂災害での教訓を含め、これまで繰り返し唱えられてきたのは「自分の命は自分で守る」という「自助」の重要性です。災害時、避難勧告や指示を聞いて適切に行動することは確かに大切です。しかし相手は自然災害。例え行政であっても、万全の対応は不可能です。阪神淡路大震災の時、倒壊した建物から救出され生き延びることができた人の約8割が、家族や近所の住民等によって救出されており、消防、警察及び自衛隊によって救出された人は約2割だというデータは有名です。また、広島の土砂災害では、数年前より地域ぐるみで危険箇所や避難経路を学び、土砂災害に備えてきた毘沙門台小学校区の例があります。自助の意識が根付いていたため、避難勧告よりも早く住民が自ら避難し、犠牲者をゼロに抑えました。行政に頼り切りにならず、日頃から最新の情報を得て、危機を察知できるように努めることの大切さは耳が痛いほど聞いてきました。

とはいえ、ふと振り返った時、自分の家に3日〜7日分の備蓄を準備している人はどれだけいるでしょうか。東北地方太平洋沖地震の後、一年もすれば防災グッズの売り上げが落ち込んでしまったという事実に、私たちは目を向けなければなりません。では、どうすれば皆が防災を行動に移すようになるのでしょうか。

災害時、助け合えるコミュニティは存在するか?

東北地方太平洋沖地震で仲間が被災し、私たちは物資や募金を届けるために何度も被災地に足を運びました。そこで感じたのは、大変な中でもコミュニティの中でお互いに助け合う濃密な人間関係でした。支援も落ち着き、改めて考えた時に抱いたのは、自分たちが住むまちへの危機感でした。もし災害があった場合、お互いに手を取り合って助け合えるようなコミュニティは果たして存在するのだろうか。例えば、私が議員を務めている東京都港区では町会への加入率は50%にも満たず、地域の防災訓練に参加している人はわずか3%程です。このままではいけない。自分たちの力で、何とかしてみんなの防災意識を刺激できないだろうか。もっと強い絆を地域に築くことはできないだろうか。そう強く思いました。

2002年に私たちが日本各地の防災情報を発信し共有するためのウェブマガジン「Standby」を立ち上げたのは、そんな思いからでした。防災意識に目覚めた人たちが動き出すきっかけをつくろうと、全国にある防災情報や防災の知恵を収集し、発信してきました。防災セミナーや新しい形の防災訓練、企業のBCP(事業継続化計画)策定サポートなども行いました。しかし、地震発生から時が経ち、人々の意識が段々と薄れていく中で、防災情報を発信し続けることに限界も感じつつありました。防災に関心がある人には情報が届いていた一方、関心がない人たちには全く情報が届いていないというジレンマも抱えていました。単に防災情報を発信するだけでは、人々がなかなか防災を「自分ごと」として捉え、行動するまでには至りません。もっと流行のまちづくりやコミュニティデザインの文脈の中で防災情報を発信する必要があると感じました。

「マチノコト」をもっと知ること

そこで仲間と開設したのが、コミュニティデザインにまつわる事例を紹介するウェブメディア「マチノコト」でした。http://www.machinokoto.net/

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「マチノコト」が目指すゴールは、各地に存在する、知られていないけど実は凄いコミュニティデザインの事例を他の人が真似できるような形で紹介することを通じて、まちづくりに携わっている人が多くのヒントを得られるようにすること。そしてその結果、新たなコミュニティリーダーが日本各地にたくさん生まれ、いざというときに助け合えるコミュニティが日本中にできることです。これまで、東京都にある港区立赤坂小学校で行った防災とエンターテイメントを掛けあわせたイベント「アカリトライブキャンプ」、鯖江市がエリアオーナーとして運営する地域クラウドファンディング「FAAVO さばえ」、未来都市におけるコミュニティのあるべき姿を模索するイベント「Neighbors Next U26 Summit」など、様々な活動を紹介してきました。またサイトの他にも、「マチノコトオープンゼミ」と題したコミニュティデザインに関わる様々な現場で活躍されているゲストの方をお招きしての勉強会(行政やNPOの職員、企業に勤めている人などがフラットに学び合う場です)、横浜トリエンナーレ体験ツアー、日本財団主催の避難所運営訓練のサポートなどの活動も行ってきました。昨年の10月には、正式にNPO法人化の手続きが完了し、今後はさらに活動の幅を広げていきたいと考えています。

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多くの災害が予想される中で、これからは一人ひとりがまちと接点をもち、自分たちの力でまちづくりに関わっていく姿勢を持つことが大切になります。そのための一歩を踏み出すため、きっかけづくりに私たちの活動や「マチノコト」がお役に立てたら嬉しいです。まずは、一人でも多くの人が災害に対してスタンバイしている状態をつくること。そしてその先に、まちに住む他の人のこともちょっと考えて行動できる人が増えていったら素敵だと思います。