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山田敏夫 Headshot

SPA化が進むファッション業界

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今年5月、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、プライベートブランドを立ち上げる計画をプレスリリースしました。

同月、三越伊勢丹ホールディングスが3カ年計画として自社開発のSPA事業に重点を置く「新たな店舗モデル」を発表。これらの動きは一体何を意味しているのでしょうか。

■ビッグデータを保持する企業は強い

スタートトゥデイと三越伊勢丹に共通しているのは、顧客のビッグデータを持っていることです。

Webと店頭という違いはあれど、どちらにも多くのブランドがテナントをかまえており、大量の購買情報から「白のTシャツはクルーネックが売れやすい」「ワンウォッシュジーンズはひと月に何本くらい捌ける」という動向を的確に読み取ることが可能。

ビッグデータをもとにプライベートブランドをつくれば、売上の原価率を大幅に下げられることに加え、在庫もコントロールすることができます。

テナントに出展しているブランドからすると自分たちの洋服の購買履歴を利用されることになるので、面白いわけはありません。スタートトゥデイも三越伊勢丹も製販一貫を予定しているため、同価格では品質で差を付けられる可能性もあります。

ただ、そこで袂を分かつことになるかと言うと、そうはならないでしょう。格好の売場を失うことは、テナントに出展しているブランドにとって、自分たちの首を絞めることにつながるからです。

一部のブランドからは批判の声が上がるかもしれませんが、企業は減益になったときにこそ叩かれるもの。スタートトゥデイや三越伊勢丹が叩かれたとしたら、次のステージに進んでいる証なのだと思います。

■着々と導入が進む最先端テクノロジー

ファッション業界は10年スパンで業態が変化していくと言われています。今起きている波は、最先端テクノロジーの導入。

記憶に新しいのはGoogle が発表した「Project Jacquard」で、衣服に織り込んだ繊維センサーで端末をリモート操作するという"着るウェアラブル"は、業界に少なからず衝撃を与えました。

三越伊勢丹は、人工知能アプリ「SENSY」と連携し、店頭で接客を行っています。アプリ内に登録されている提携ブランドの服を"好き"または"嫌い"に分類すると、人工知能がユーザーのファッションセンスを学習し、好みに合ったアイテムを提案してくれるというサービスです(最近はお酒のテイスティングにまでその幅を広げています)。

■独自の価値を創出できない企業は淘汰される

プライベートブランドの立ち上げ、そして最先端テクノロジーの導入。2つのトピックスにまたがるのは、付加価値の創造です。

データに基づいて良質なメイドインジャパンの洋服をつくる、テクノロジーを利用してユーザーに未体験の驚きを与える。そういった付加価値の提供こそが、今後のファッション業界の鍵を握るのではないでしょうか。

私が運営しているブランド「ファクトリエ」が、CCC社をはじめとした異業種とコラボレーションを行っているのも、付加価値を提供するためです。

梅雨真っ盛りの6月には、超老舗の傘工場"カネイ"の方たちと「代官山 蔦屋書店」にてトークイベントを開催。ただ商品を生み出すだけでなく、ユーザーの関心を惹くようなテーマを設定して催事を行い、その延長線上で商品を届けています。

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流通構造にパラダイムシフトが起ころうとしている今、従来のファッション業界における方法論は段々と通用しなくなってきています。「いかにして独自の価値を創出するか」をおろそかにする企業は淘汰されていく。そんな気がしてなりません。