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さとり世代を動かす、"言葉の力"とは?

2016年03月20日 00時03分 JST | 更新 2017年03月20日 18時12分 JST

年代が違う人たちとコミュニケーションをとっていくとき、自分の常識や習慣が当たり前だと思わないことは重要だ。

平成生まれの若い人と関わる機会が多い大学教員の私にとって、常識が通用しないことはよくあることだ。

例えば、簡単に確認すれば良いようなことや検索をすればすぐにわかるようなことをすぐに人に聞く、などがあるが、SNSとともに育ち、一方でマスメディアの言説を信用していない彼らにとって、それは自然のことのようだ。

一方、企業の人事担当者やマネージャ向けの研修をしていると、「若者とどのようにコミュニケーションをとったらいいのか・・・」「常識が通用しない・・・」「内向的だ・・・」と言った声をよく聞く。

しかし、若者のそれを責めても仕方がないだろう。

慶応大で開催している私のゼミに参加してくれている20代の若者は、エネルギーに溢れ、常に自らリーダーシップをとるように自然に育っていく。

さとり世代などと揶揄される今の学生だが、それと無縁の我先にリーダーシップを取ろうとする若者たちもいるということだ。決して大げさではなく、日本の希望だと感じている。

もちろん、以前からそんな風に考えていたわけではないという。

私がかけた言葉をきっかけとして、彼らの目は輝き、そして彼らの人生はいままでとは違う方向に大きく動いていったのだ。そんな場面を幾度も見てきた。

彼ら一般に主体性がないのではなく、そのような環境や場彼らがそのように動けるような関係性を先輩、大人が用意して築けていないだけではないだろうか。

そのためには自身の背中や在り方で示す、というのももちろん大事だが、やはり「言葉」が媒介として重要な役割を果たすだろう。

我々年長者は、自分の人生を通じて得てきた、心の内から沸き上がる言葉を、常日頃から彼らに伝えようとしているだろうか。

今回、私の言葉が人生に影響を与えたと言ってくれるゼミの学生やOBOGを中心に、言葉集がつくられた。

その中から二つご紹介したい。

ありのままの自分こそ最強

ひとは自分に自信が持てない、自分の短所に目が行きがちだ。

テニスサークルとスタバのバイトの時間帯責任者を二つの組織でリーダーの役職に就いていた私は、立場を意識し過ぎて自分を取り繕い、本音を語らないまま、リーダーにふさわしい人物であろうとした。

しかし、そんな背伸びした状態でいることは精神的に辛く、周囲からも頼りにされなくなっているように感じた。

飲み会の場で先生に相談したところ、このような言葉を掛けてくれた。

「まだありのままの自分を受け入れられていないんだと思う。

ネガティブなのもリーダーとして未熟なのも今の自分なんだから、まずそれを受け入れた方がいいね。

ありのままこそが最強だよ」

「だからといって、今の自分に満足していいのとは違うよ。人接するときにはありのまま、つまり今の100%自分でいるのが君の力がもっとも出ている。

でも、一人でいるときは修行だよ。俺もそうだもん。どれだけ、自分の100%を底上げしていくかだよね。」

それ以来、まわりの目ばかり気にせず、肩の力を抜いてやれるようになった。あとは修行だ!(4年)

一体みんなに何の制約があるの?

ゼミに入ってまもなく行った"夢ワーク"で「何の制約もなかったときの夢は?」ということを話し合った。ワーク担当の学生が立てた問いかけだった。

小杉先生は冒頭に「俺は今でも何の制約を感じていないよ」とおっしゃった。

最初私には何のことか理解できなかった。でもあとで送られてきたメールに「人はイメージしたところまでは行ける。でもそれ以上にはなれない。」と書かれてあった。

私ははたと気づいた。普段何かに取りかかろうとする時にできない理由を探そうとしていないかということ。

本当は出来るはずなのに辛い思いをしたくないから、言い訳をして挑戦せず思考が停止してしまう。

この原稿の機会をいただいたのは、締め切りの前日だった。他にやるべきことはたくさんあったのだが、時間の使い方をイメージしたことで全てこなせた。

やれるというイメージを最初に持てたからだ。制約は、全て自分で勝手に作っている。

それを別名「言い訳」と言うのだ。(3年)

さて、いかがだろうか。

現在計画中の本書『慶応大人気講師が教室では教えなかった5つのこと「超訳 コスギの言葉」』は、現役の学生や社会人たちが、大学時代に出会った私の言葉を編んでくれている。

さらに、クラウドファンディングをきっかけとして、ただ本を作り読んでもらうだけでは終わらせず、読んだことをきっかけに私やゼミ生と繋がっていけるようなしくみを考えている。

企業人にとってもこのゼミはとても参考になる筈だ。

実際に話をすると多くの企業の人たちが強い関心を示す。

なお、ゼミの詳細は自律型組織の例として、拙著『リーダーシップ3.0』(祥伝社新書)で紹介している。

この本を、こんな人たちに読んで欲しい。

  1. 冷めている、悟っていると言われている大学生。
  2. 将来が見えない、大学に行くことと将来が繋がらない、これから大学生になろうとしている高校生、中学生。
  3. 社会人

実は、一番読んで欲しいのは、3番目の社会人だと思っている。

希望を失い、自身を見失っている多くの社会人に是非手にとって欲しい。

そして、そんな彼らを採用し、どう使っていいか途方にくれている企業の管理職、人事担当者。

彼らにあなたが、自分の経験に基づいた心から沸き上がる熱い言葉を投げかけて欲しいのだ。