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ジュセッペ・サントイエッマさん - ローカルガイドがつくる地図「Use-it Europe」とは -

2014年08月26日 23時23分 JST | 更新 2014年10月25日 18時12分 JST

皆さんが旅先で一番知りたいことは何ですか? 美味しい&安いものはどこで食べれるのか。現地の若者はどこに集まるのか。すてきなライブ音楽はどこで聴けるのか。ガイドブックはなかなか教えてくれない、現地の人しか知らない情報を手に入れたいものです。

Go local、つまり現地の人のように旅するために誕生したのが「USE-IT Europe」です。

「USE-IT Europe」とは

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公式HPより

「USE-IT Europe」とは、1971年にコペンハーゲンで生まれたネットワークで、当時若い旅人向けのインフォメーションデスクに過ぎませんでした。

しかし、現地の人と旅人をつなぐネットワークを作りたいという夢を叶えるべく、努力を重ねて2005年にベルギー発の「USE-ITガイドマップ」が出版されました。現在ヨーロッパの40つの街がUSE-ITのネットワークに入っています。

広告が一切入っていないUSE-ITガイドマップは、完全に現地の人によって作られており無料です。USE-IT Europeからダウンロードすることができますし、現地のホステルや観光局などに行けば無料でもらえます。今後、無料アプリも公開される予定だそうです。

今年は南イタリアのプリア州の州都バーリも、USE-ITガイドマップを出版しました。今日はUSE-IT Bariの創作を管理したジュセッペ・サントイエッマさんにお話を伺いました。

旅人の想像をかきたてる「Use-it Europe」という地図

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Photo Credit: Giuseppe Santoiemma(写真右にジュセッペさん)

― なぜUSE-IT Bariを作ろうと思いましたか?

はじめてUSE-IT Europeについて知ったのは3年前ドレスデンを訪れたときです。ホステルに泊まって、そこでUSE-IT Dresdenのガイドマップをもらいました。ずっと見ていた地図やガイドブックと違って、デザインが格好いいし、すごくわかりやすい英語で書かれていて。気になって、すぐインターネットカフェに入ってUSE-IT Europeをググってすぐ「これはバーリにぴったりだ」と思いました。

バーリとプッリャ州を外国に紹介したいとずっと前から考えていたのです。そしてバーリの人にバーリが面白い街だと理解してもらいたかったのです。フィエラ・デル・レヴァンテ(国際見本市)やMedimex(「Mediterranean Music Expo」の略で和名は「地中海音楽エキスポ」)のような大きなイベントが行われているのに、バーリが旅人を魅了できる街として認識されていないのは残念でたまりませんでしたね。

だから、ドレスデンからロンドンに行って、ロンドンからイタリアに帰ったらすぐUSE-IT Bariに手をつけました。まずUSE-IT Europeのネットワークに連絡して、毎年ブリュッセルで行われているミーティングに参加させてもらいました。そして具体的にUSE-IT Bariを作り始めました。

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Photo Credit: USE-IT Europe

─ なぜバーリにぴったりだと思いましたか?

USE-IT Europeのマップは、大きな街にはふさわしくないと思います。ロンドンや東京のような大都会なら一枚のUSE-ITマップでは絶対に足りません。バーリのような大きすぎない街、そして観光地としてあまり知られていない街が最適だと思います。

USE-IT Europeのガイドマップが街に関するメインな情報、そして現地の人のオススメを提示することができると同時に、旅人の想像力に頼る部分も大きいのです。つまり街を自由に楽しめるためにヒントを与えるというわけです。

チームで製作し、それぞれの得意分野を担当

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Use-it Europe公式Facebookページより

-- USE-IT Bariのプロジェクトには何人加わりましたか? どのように仕事を分担していたのでしょうか。

まず「AKU BARI」(日本語の「開く」から意味を借りて、様々なものにオープンであるイメージを与えようと名付けた)という財団を作りました。そして、私も含めて5人でガイドマップの創作を始めました。

私自信がコンテンツを作ると同時に、プロジェクトを管理しました。キアーラ・キョッチョラさんはプロジェクト管理に加わりながら食に関するコンテンツを、古学者のパオラー・ブッティリョーネさんはバーリの歴史とバーリの建築に関するコンテンツを作りました。バーリの海岸通りのリバティ様式の建物が素敵で、私もびっくりしました(笑)。あと、アントネッラ・チョチョラさんは劇場について書いてくれました。

そして私が大好きなローカルチップ(「現地の人のオススメ」)のコンテンツはいろんな人が協力してくれましたが、アウレリオ・チャンチョッタさんがバーリにすごく詳しくて、素敵なスポットを紹介してくれました。

そしてヴァレーリオ・パストレさんとアンジェラ・タンブッリーノさんがデザインを担当しました。ヴァレーリオがカバーとマップに出るすべての絵を作りました。

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Photo Credit: USE-IT Europe

-- じゃあUSE-IT Bariのカバーの聖二コーラ(イラスト中央)とタコ(イラスト左端)のキャラクターもヴァレーリオさんが作ったわけですね。どうしてこれらのキャラクターを選びましたか?

両方ともバーリの象徴だからですね。イタリアでは各街に守護聖人がいますが、バーリの守護聖人が聖二コーラです。そして、バーリは生魚が食べられていることで有名で、タコは特に名物です。生ムール貝やウニも食べられますが、タコは聖二コーラと共に街の象徴なんですよ。海岸通まで行けば釣ったばかりのタコを岸壁に打ってそのまま食べる漁師たちも見られます。

でもタコは生だけではないです。タコサラダや焼いたタコのサンドイッチなど、伝統的なタコ料理はいろいろあります。

素通りはもったいない!南イタリアの魅力

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Photo Credit: Daniele Zanni via Compfightcc

-- ゴミの問題や治安が悪いというイメージのせいもあって、日本の方はなかなか南イタリアを訪れませんね。南イタリア、そしてバーリを楽しめるポイントを教えてください。

まず食べ物ですね。南イタリアの伝統的な食文化は素晴らしいです。ストリートフードから一流レストラン料理まで、シンプルで健康的、その上とても美味しい料理を楽しめます。そして、ヨーロッパと北イタリアの街と比べたら値段がとても安いんです。

さらに南イタリアの街は、歴史的、芸術的な文化遺産も豊富です。ふだんは南イタリアを訪れる方はナポリにしか行きませんが、バシリカータ州(マテーラだけではなく)やプリア州も素敵な場所だと思いますよ。

しかし、南イタリアの問題の中では、交通の不便さが目立ちます。行こうと思っても電車やバスの本数も少ないんです。ただし、バーリはプリア州の州都だけあって、空港や港、電車やバスなど交通はとても便利です。

バーリに到着する旅人はすごく多いですが、普段は一泊しか泊まらず、すぐバーリからギリシャやクロアチア、あるいはマテーラやアルベロベッロのほうに向かいます。みなさんバーリでは観光するところも楽しいこともないと思いこんでしまって通り過ぎてしまうんです。

だからこそUSE-IT Bariを作りました。USE-IT Bariの目的は、バーリに到着する旅人にバーリを楽しめるためのオススメスポットを紹介することですからね。

この夏こそ南イタリアへ!- 南イタリアのおすすめ夏イベント3選 -

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マルゲリータ劇場 Photo Credit: K-Jose.ph. via Compfightcc

─ ジュセッペさんが一番オススメしたいスポットはどこですか?

マルゲリータ劇場です。19世紀に建て造られましたが、当時バーリには既に劇場が多くて、新しい劇場の建設が禁じられていた。その禁令を避けるために、マルゲリータ劇場は海の中に支柱を建て造られ、陸地とは桟橋で繋がれていました。海とバーリの古い町並みに挟まれて、素敵な建物です。

今はアートの展示やイベントなどの会場として使われています。

-- バーリをもっと知ってもらうための次のプロジェクトは何か考えていますか?

USE-IT Europeはイタリアでどんどん人気を集めて、ボローニャ、パレルモ、ブレシャなどなど、いろんな街で既にUSE-ITが存在しています。そのなかでバーリは南イタリアではじめてのUSE-ITを作った街です。私たちの目的はバーリ、そして南イタリアの悪いイメージを壊し、ありのまま紹介することです。胸を張って美しい場所がいっぱいあると言えますから!

ですので次のプロジェクトとしては、まずUSE-IT Bariの第二版を出したいと思います。USE-ITのガイドマップが毎年更新されるからです。そして、他のプリア州の街もそれぞれのUSE-ITを作ってほしいです。うまくいけば来年レッチェとターラントもネットワークに入るかもしれません。

[ジュセッペ・サントイエッマ:1982年生まれ。ナポリ東洋大学で日本語学を勉強し、2010年修士課程を修了。2012年ロンドン大学東洋アフリカ研究学院の修士課程を修了。イギリス、ギリシャ、スペイン、フィンランド、トルコ、日本など、様々な国を旅した。現在アート雑誌や新聞で翻訳者として活躍している。]

■Guarini Letizia「南イタリアの夏巡り

■Claudia Di Meo「イスキア島

■Guarini Letizia「南イタリア最大のカーニバル―プティニャーノ&アルベロベッロ

ライター:Leti Letizia Guarini

http://blog.compathy.net

▲編集元:TRiPORT