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iPhoneを盗られて知った、郷に入り学ぶことの大切さ

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盗難、セクハラ被害ゼロ。外に出てもハプニングなく、予定通りに帰国する。これが私の旅スタイルです。リスクマネジメントが得意で、自分の身を守るほどの英会話も十分に準備し、旅に出ています。

そんな私が唯一、人生最大と呼べる失敗は、無知が原因で現地の人にいやな思いをさせてしまったことです。

無知が招いた衝撃的な出来事


2011年秋、18歳だった私はアメリカの南部にある、ノースカロライナ州シャーロットに滞在していました。ニューヨークやワシントン、シカゴとは程遠い小さな都市であったため、移動手段はバスが基本でした。予定が合えば友人の車で出掛けることはありましたが、この日は一人で市の中心で、バスを乗り継ぎ大きなショッピングモールへ向かっていました。

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Photo Credit: Padicha via Compfight cc

バスに乗ることはこの時が初めてではなかったため、いつも通り行先を伝え、お金を支払い、バスの手前に腰かけました。普段の私であれば外の景色を見ながら座っているのですが、この時は何故だかiPhoneを取り出し、おもむろに弄っていました。

少し経った頃、ふと隣から視線を感じるなと思った瞬間、手元にあったiPhoneが無くなっていました。一瞬のことでパニック状態になった私が横を見ると、そこには黒人のお母さんと小太りの男の子がいて、その男の子の手には私のiPhoneが握りしめられていました。

「I'm sorry.」

お母さんが男の子の手から私のiPhoneを引き離し、手渡しました。自分の物を外で取られた経験が初めてだったため、私の放心状態はバスを降りるまで続きました。

学んで気付いた、一生の後悔


それから3年後、現在私は大学の副専攻としてアメリカの政治経済を学んでいます。自由で裕福な国と言われている国の裏側には、移民、ヒスパニック、黒人をはじめとする貧困層が大量にいることが問題になっています。

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Mami Nakae「NYC弾丸トラベラー!」より

彼らの多くは、リーマンショック以降の不況やグローバル化により、他国へ、特にアジアへの工場移転等でリストラされ、職を失ってしまい、都心部にある給料の安いサービス業に就かざるを得ない状況に置かれているそうです。さらに都心部の安い借家に住み、車も保険もなく(または保障の弱い安い保険に加入)、移動は公共交通がメイン、病気や怪我をしても病院での治療が受けられず、食事は安くカロリーの高いものばかり。毎日の生活で精一杯だということを学びました。

毎日の生活でいっぱいいっぱいな人々の前で、市場経済のトップに君臨するApple社のiPhoneを見せびらかすという、私の3年前の行為は、目の前で7、8万円をチラつかせていたのと同じことだというに気付きました。

学べば学ぶほど、「なんてことをしてしまったのか」と思います。私の何気ない行動ひとつが、現地に住む人々の心を傷つけたかもしれないと思うと、胸が痛みました。

無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり


哲学者のソクラテスは言いました。「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」。諸説ありますが、簡単に言うと無知は人を傷つけ、知は実践できない無駄なことが多い、知識が行動に表わされるものが英知である、英知を持てという意味です。

今、私はどこの国へ出掛けようと、その国の文化や歴史、マナーやルールを調べ尽くして足を運ぶようにしています。私が選ぶ場所は全て、その国に住んでいる人たちにとって、かけがえのない大切な生活の場なのです。それを外から来る人が土足で入りこんで、乱したり傷つけることは許されないと思います。

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Takato Ichiki「Walking Brooklyn(ニューヨーク・ブルックリン散歩)」より

世界には沢山のマナーやルールがあります。サービスを受けたらそれに値するだけのチップを支払う、ドイツでは日本の挙手に当たるものはヒトラーを想起させるからマナー違反である、一部のイスラム地域では女性の露出は控えるなど。そうしたルールを事前に知り、できる限り倣うこと。そうしないと自分が気づかないうちにその国に住む人を傷つけている、嫌な思いをさせることもあると気付きました。

3年前のアメリカで起こった出来事は、今でも私が飛行機に乗るたびに思い出します。しかし、もしあの時バスの中でiPhoneを出していなかったら、男の子に取り上げられなかったら。きっと私は違う国へ行っても、現地のことを詳しく知ろうとしなかったかもしれません。

相手のことを知ってやっと、現地に入ることができる。英知を携えて外に出ることの大切さを、忘れてはいけないのではないでしょうか。


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ライター:Momo Nagano

http://blog.compathy.net
▲編集元:TRiPORT

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