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[連載]「僕らはまだ、世界を1ミリも知らない」著者の太田英基さんとのぞく、世界の日常 - 結婚と恋愛について -

2014年10月27日 01時08分 JST | 更新 2014年12月23日 19時12分 JST
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「世界一周」と聞いて、あなたはなにを思い浮かべますか?

赤道に沿って地球をぐるっと回る「移動」か、それとも現地の人々と交わり、心を突き動かされる「旅」か。その後者である世界一周の旅を成し遂げたうちの一人が、現School With代表の太田英基さんです。

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ご自身の体験を踏まえた著書「僕らはまだ、世界を1ミリも知らない」を8月に出版された太田さん。今回、太田さんに加えて、4名のゲストを招きトークセッションを行いました。テーマは「自分の国の日常」。2年以上世界を旅していた太田さんと、母国と日本で生活した経験を持つゲストにとって、「日常」とは一体何なのでしょうか。(以下敬称略)

母国の日常は世界の非日常?

太田:今日はお集まりいただき、ありがとうございます。それでは簡単に自己紹介していきましょうか。

エムラ:エムラです。トルコ出身です。トルコの人たちは苗字はほとんど使わないので、エムラと呼んでください。東工大出身で、コントロールシステムに関わるシステムエンジニアの勉強をしていて、今は自動で動く車の研究をしていて、プログラミングが趣味です。よろしくお願いします。

アベノ:僕の名前は長すぎて覚えきれないと思うので、省略しますね。僕の名前は、アベ・ネザール。アベノと呼んでください、それがニックネームなので。

僕らは普段苗字を使わなくて、下の名前で呼び合うことが多いです。けれど他国の人と交流するときや他の目的のために自己紹介をするときは、祖父の名前を苗字として使います。これが僕らの習慣で、ほかとはちょっと違うかなと思います。エチオピア出身で、東京大学の公共政策大学院の修士課程2年です。

いままでアメリカやフランス、アラブ首長国連邦、インドや中国を旅していました。トルコはまだだけれど。アジアやヨーロッパサイド、アフリカ側もどちらも見たことがあります。

ナンシー:ナンシー・ベラスケスです。中米のエルサルバドル出身です。もともと青森に5年間住んでいて、去年の夏に東京へ引っ越してきました。翻訳や記事を書くフリーランスの仕事をしながら、エンジニア関連の仕事やプログラミングを今は勉強中です。

オルガ:オルガです、ロシア出身で、早稲田大学院でマーケティングを勉強しています。マーケティングリサーチカンパニーで働いていて、わたしの前の仕事はこんな感じのグループディスカッションを開いて、ユーザーのヒアリングをしたり市場調査する仕事でした。よろしくお願いします。

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(左から)ナンシー、オルガ、太田さん、エムラ、アベノ

太田:ありがとうございます。この座談会では、日本に住む皆さんが、自分の国との違いや疑問に思うことをぶつけて、いろんな切り口から「日常」というものを考えられたらと思います。まじめな感じではなく、ラフにいきたいなと。ということで、最初のトピックは「LOVE」です!

日本では男女の付き合い方が昔からだいぶ変わってきています。それがみなさんの国だとどうなのか、聞いてみたいです。

オルガ:とても難しい質問だと思います。だって大都市と田舎、若い人かお年寄りか、伝統的なものか最近の付き合い方かでも違いますから。

太田:オルガさんの場合はどうですか?

オルガ:わたしはロシアの首都のモスクワに住んでいますし、海外旅行もたくさんしますから他国の文化を知っています。ロシアには他言語を一切喋らないような人たちもたくさんいるけれど、そういう人たちは周りにいないから何とも言えないですね。

「彼は私のもの」というトルコの女性たち

エムラ:トルコと日本を比べるのは難しいけれど、トルコ人の女の子は、付き合った途端に強気になる子が多いです。何をするにも決定権は彼女にあって、今日はここへ行って何をして......って決めるようになる。彼女たちは総じてプライドが高いのだと思います。いつも、いかに自分が綺麗に見えるかを気にして振舞っていますね。

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オルガ:イスラム教の宗教色が強い国ではないんですか?

エムラ:いや、それは100年前の話かな(笑)

オルガ:でも未婚の女の子は、外泊することもできないのでしょ? 付き合うことが恥ずかしいと思う人たちもいると思います。私の友達のロシアの女の子がトルコへ行った時、トルコの男の人達がついて来てナンパしてきたそうです。なぜなら、トルコの女の子を口説くより簡単だと思っているからだと。

エムラ:いやいや、全然違います。もちろん全員が当てはまらないとは言えないけれど、結婚していない女の人が外泊したり遊んだりするのがいけない国というのはトルコだけではないです。けれど敬虔な人もいるのは確かです。

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トルコ人のほとんどのカップルは、例えば朝起きたとき、おはようメールを送ってくれないと女の子は怒るし、「何してるの?」「今日なにするの?」とか何回かやりとりをしないと気がすまない。寝る前もおやすみメールがないとだめ。1週間にも4回か5回会わないとダメだし、多すぎると思います。もし仕事が忙しくても絶対会わなきゃダメなんです。ほとんどの女の子は独占欲がすごく強くて、自分たちが付き合っているということを猛烈にアピールします、「彼は私のもの」と。全員ではないけれど、そういうトルコの女の子は多いと思います。

太田:トルコの女の子とほかの国の子ならどちらがいいですか。

エムラ:日本の付き合い方の方が、カジュアルで良いと思います。トルコより簡単だし、さっぱりしているから。その方が気が楽かな。

約80通りある付き合い方

太田:エチオピアではどうですか?

アベノ:トルコと日本、それぞれに似ているところもあります。ただ僕らの国は複数民族が住む国です。大体80種類の民族が住んでいて、それぞれ文化、それぞれの付き合い方があります。

ナンシー:違う民族同士で付き合うことは難しいんですか。

アベノ:その民族や、本人たちの環境によります。都市部ならデートをしている人もいます。でも東西南北それぞれの地域で、デートの仕方も付き合い方も結婚のスタイルもまったく違います。これはエチオピアならではの特徴ですね。エチオピア国内に住んでいても、すべての民族の文化や生活は把握しきれません。だから僕も他の民族がどういう風な付き合い方をしているのか知らないんです。

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都心部であれば、仕事場や学校の人同士でデートに行ったり付き合っている様子を見られますし、それが一般的になってきています。そして、たいてい男の人から告白すべきだと思われていますね。彼女がどんなに相手を好きでも、彼女はひたすら待たなきゃいけない。これは昔から変わらないスタイルですね。

けれど田舎では、さまざまな規則があります。小さいころから、男の子と女の子が別々に育てられて、すでに誰と結婚するのか決められていることもあります、それが伝統だったり宗教上の理由だったりするのです。でも都心部なら学生でもフリーに付き合うことができます。ある地域では、女性が妊娠して親同士が婚約をしてしまえば、そのお腹の子も生まれる前から結婚相手が決まってしまうんです。

都心部では、自分の意見を主張できるひとも増えています。でも田舎の人々にとっては、わたしたちが考えるような付き合いは想像もできないんだと思います。ずっと家にいて畑を耕したり、家事を手伝うしかない。ほかの国を旅する余裕も教育を受ける機会もない。

太田:その環境は近い将来変わると思いますか?

アベノ:教育制度は変わっていくと思います。同時に多くの国と交流できる場を求めてもいます。世代交代もして女性が権力を持ち、結婚さえ自分で決断できる時代になりました。ただ、独自の文化を守り続けていくことにも自負があるんです。エチオピアの男は、亭主関白な人が多いのですが、そういうところは日本人男性と似ている部分かもしれません。

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太田:結婚は何歳くらいが平均ですか?

アベノ:それも都会と田舎で違います、あと時代。今でも一部の地域では10代で結婚するひとたちもいます。付き合うという過程を経ずに、すぐ夫婦になるように思います。都心部では女の子は24歳から30歳の間に結婚するのがベスト、男性は30歳以降が結婚適齢期だと考えられています。日本とほとんど一緒ですね。

ナンシー:田舎では何をすると既婚者として認められるんですか? 市役所に書類を提出したりするのか、その民族独特の方法があるのか......。

アベノ:伝統的な方法や、宗教的な方式、そういうお役所絡みの手続きが必要なときもあります。半数以上がクリスチャンで、残りの一部はムスリムだと言われていて、彼らは自分たちと同じ宗教の人と結婚してほしいと思っていることも多いです。

太田:離婚の場合はどうですか?

アベノ:離婚は、すること自体難しいかと思います。ただ聞いた話だと、都会では離婚する人たちは増えているようです。

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太田:でも紙面での取り決めがないとどうするんですか?

アベノ:田舎の人々は、特に女性は文字の書き方すら知らないのです。彼らは彼らの独自の文化があるから、離婚したいなら理由を明確にしなければいけません。

オルガ:地域が違えば女性の主張が強まることはありませんか。

アベノ:そうは思いませんね、基本的に男性優位です。もし奥さんの家族が旦那と別れたほうがいいと言ったとしても、簡単には離婚できません。田舎では離婚することはとても罪深いことです。もし女性が離婚すると「あの人はバツイチだ」と悪い評判として広がって、誰も相手にしてくれなくなるのです。田舎でも都会でも、一度離婚してしまうと再婚するのは難しいものです。中には、まだ一夫多妻制を採用している民族もあります。

ナンシー:それは違法ではないんですか?

アベノ:政府は何も言えないんです、文化だから。法律では一人の女性に一人の旦那さんが普通です。だからたくさんの女性を抱えていたらそれは罪になります。ただ田舎の独自の文化には政府も口出しできないんです。けれど何か人権を損害するようなことがあれば罰せられると思います。

太田:日本にも、幼い頃から結婚相手が決められていた許嫁という制度がありました。でも都心部では、エチオピアでも日本とほとんど一緒なんですね。

(つづく)

School With

僕らはまだ、世界を1ミリも知らない

[太田英基:1985年生まれ。フィリピンでの英語留学3ヶ月間を経験した後、約2年間、50ヶ国を旅しながら、現地のビジネスマンを中心とした様々な人たち1,000人以上と交流をする。その様子を宣伝会議、ビジネスメディア誠、東洋経済、AERA、マイナビなどに寄稿。2011年7月には旅中に東洋経済新報社から、『フィリピン「超」格安英語留学』を出版。近年人気急上昇中のフィリピン留学の仕掛け人と呼ばれる。帰国した2012年7月以降、各方面から講演依頼・執筆依頼をうける。2013年、School Withを立ち上げ、代表取締役に就任。]

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ライター: Misaki Tachibana

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▲編集元:TRiPORT