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厳しさと癒しを兼ね備えた不思議なムスタン王国でトレッキング体験

2016年01月04日 19時20分 JST | 更新 2017年01月03日 19時12分 JST

こんにちは。世界2周の旅を終えたTRiPORTライターのTaniです。

世界2周目の旅では、トレッキングを中心にしながら旅を続けました。今回はその中でも特に印象深かったムスタン王国のトレッキングについて。ムスタン王国は2008年まで存続したネパール領の自治王国で、8167mの高峰ダウラギリを臨めるネパールと中国・チベット自治区の間にあるエリアです。

ネパールのトレッキングルートのメッカ「アンナプルナサーキット」も近くにある山岳エリアで、ネパール第2の都市・ポカラからアクセスすることができます。

なぜムスタン王国を歩くのか?

そもそも、なぜ私はムスタン王国でトレッキングしようと思ったのか? その理由は単純です。比較的旅行者が少なく、情報が少ないチベット文化圏を歩きたかった。ただ、それだけなのです。10日間のパーミット(入域許可証)で500$もかかるムスタン王国はどうしても旅行者が敬遠しがちな場所。

しかし私は、かの有名な仏教学者河口慧海(日本人として初めてチベットへの入国を果たした黄檗宗の僧侶)も歩いたムスタンへ、どうしても訪れてみたかった。そしてなによりも、高地にある独特なチベット文化圏の空気を吸いたかったのです。今でも「チベット」という言葉の響きだけで、そのときの体験を思い出し、心拍数が上がります。

ムスタン王国トレッキングは専門ガイドの同行が必須。カリ・ガンダキ(ガンダキ河)に沿って歩く場合の標高は2700m〜4200mほどで、比較的容易なルートです。約2週間のトレッキングの宿泊は基本的にゲストハウス。そのためテントや食材を持ち運ぶ必要はなく、基本的な装備だけで挑戦できます。各ご家庭の手料理をいただくことができるのも魅力的。

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筆者撮影

目の前に広がる私の桃源郷

入域許可証の関係上、わずか10日間しかムスタン王国に滞在できないので、トレッキング計画は念入りに立てました。

①河口慧海氏が長期滞在していたツァランに行く

②ムスタン王国の首都ローマンタンに行く

③年間20名も通らないマイナールートで目的地に到達する

この3点を中心にガイドと真剣に話し合い、トレッキングに臨みました。お決まりの観光コースを歩くことが私の目的ではありません。あくまでも自分の好奇心に従い、「扉をノックしたい地」を訪問するのが私の旅の趣向なのです。

チベット・トレッキングの魅力は「目的地に到着した達成感とチベットの方々の文化・優しさに直に触れられる」こと。これに尽きると思います。荒涼とした大地を歩き、幾重も峠を越え、ようやく到着したチベットの村。そこには昔からの生活を現在も続けている地元の方々が住み、笑顔で我々を迎え入れてくれました。

村の黄金色の小麦畑が目に入ってきた瞬間の「あ〜、目的地にたどり着いた」という安堵感はトレッキングの醍醐味。10時間歩いた疲れも吹き飛びます。また早朝の村の静けさも趣深し。少し離れた丘の上に登り、村を眺めてみる。両脇にそびえる5000m級の山々に挟まれ、工夫に工夫を重ねて生活しているムスタンの人々には感銘を受けます。

私が訪問した6月はちょうど麦の刈入れ時。地元の方々は朝5時過ぎから農作業を始め、我々トレッカーが食事をする時間帯に宿に戻り、料理を振る舞ってくれました。歩き疲れてお腹が減っているときの手料理は、胃袋にも心にもあたたかく染み渡ります。

「タシデレ(チベット語でありがとう・こんにちはの意)」と頭を下げて挨拶をすると、最高の笑顔を見せてくれるムスタンの人々。完全なキャンプトレッキングとは異なり、地元の方との交流があるゲストハウスに泊まりながらのトレッキング(俗に言うティーハウストレッキング)は、個人的にかなりおすすめです。

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筆者撮影

トレッキングルートが崖崩れ

旅にトラブルはつきものです。今回のトレッキングでも当然のように待っていました。年間およそ20名しか通らないルートを選択した我々。このルートを通る2014年初のトレッカーだったので、事前情報が何もなく、なんと土砂崩れの影響でトレッキングルートが壊れていました。

傾斜40度ほどの崩れた岩場を約500メートル這いつくばって進まなければならない状況に。ガイドが「Oh!My God!」と嘆くも、「We can do it !」と、一歩を歩み出します。高所恐怖症の私は崖下を見ないようにして、異常な緊張感を持ってこの500メートルを歩き切りました。まさかこんな危ない道を歩くことになるとは...。以前私はヒマラヤトレッキングで登山道が足元から崩れ落ちるという経験がありましたが、このときはそれ以上の恐怖を感じました。

さいごに

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Photo credit: Makiko Nakamura「チベット

このような厳しい生活環境にも関わらず、チベットの時の流れはスローモーション。空の近さと青さが心を癒してくれます。厳しさと癒しを兼ね備えた不思議な空間が、旅行者をチベット圏に再び引きつける魅力なのでしょう。

ネパールに限らず、私にはまだ、世界中にトレッキングしたい場所が星の数ほど存在しています。

「次はどこを歩かせてもらおうか?」

感謝の念を強く想い、胸を膨らませながら毎日過ごしています。

地球上にはまだまだ魅力的なトレッキングルートがあることでしょう。また歩くことができたら報告します!

文・写真:大谷浩則

ネパール・チベットの旅行記はこちら

*acco「Nepal

*Makiko Nakamura「チベット

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