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こけし風の女子が、ポーランドの聖マリア教会前で、涙を流し祈られる

2014年11月30日 02時17分 JST | 更新 2015年01月27日 19時12分 JST

旅をしていて、ぶち当たる問題、というか自意識として「宗教」がある。「あなたの宗教は?」という問いかけを、旅の間に何度受けたことだろう。つたない英語で、しかも根本から考えたことのなかった問に悶々としている時、わたしはポーランドのクラクフにいた。様々な国があるけれど、歴史的になんども分割され、いろいろな国に支配された場所だということを、ポーランドに来て初めて知った。

そんな悲しい歴史を、わたしの未熟な知識で補いながら、聖マリア教会前で考える。

時には固く握った両手をおでこに押さえつけ、すがるように祈る人々もいるけれど、この教会にはわたしのような観光客が半数以上だった。

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Misaki Tachibana「白い空の下、甘いお菓子を頬張りながらポーランドを練り歩く(ワルシャワ、クラクフ)

「宗教ってなんだろう......。」そんな問を頭の中で繰り返していると、二人のおばあちゃんがやって来た。一人は堪能な英語で呼びかけ、もうひとりは今にも泣きそうな顔でわたしの肩をぽんぽんと叩いた。二人共、薄いピンクや白のワンピースを着ていて、身なりはとても上品な老婦人だった。

突然のことに戸惑っていると、泣きそうな顔をしていた方のおばあちゃんがポーランド語で何か言った。英語を喋れる方のおばあちゃんは「彼女が貴女のために祈ってもいいかと聞いているわ」と言った。

特に断る必要もなかったから、はい、と答えると、おばあちゃんは細く、けれど響く声で歌いだした。賛美歌のようなものかと思ったれど、わたしには歌の意味が分からなかった。わたしの肩に手を置いたまま、顎を少し上げて歌いながらおばあちゃんは一筋涙を流していた。

歌い終わると、二人のおばあちゃんはにこりと笑って「貴女のために祈りたくなったのよ」と言って、去っていった。

その頃のわたしと言えば、長旅のせいもあって決して小奇麗な格好をしていたとはいえない。長い黒髪はぱっつんに切りそろえ、まさにこけしの風貌であった。そんな日本人のどこぞの馬の骨とも知れない女子が、聖マリア教会の前でおばあちゃん二人に歌って祈られる、この構図。

滑稽で、ちょっぴり恥ずかしくて、でもおばあちゃんがずっと手を置いていた肩は、心なしかあたたかかったような気がした。


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ライター:Misaki Tachibana

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