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フランクな職人が集う場所。北林功さんに聞く、ものづくりの街「ポートランド」とは

2014年05月27日 21時31分 JST | 更新 2014年07月26日 18時12分 JST

2014年4月14日に京都、4月17日に東京で行われたポートランド市開発局主催のイベント「POP UP PDX in Japan 2014」。

このイベントでは、オレゴン州ポートランドに拠点を置くメーカーや職人が、こだわりの商品を日本に紹介しています。イベントの協力企業のひとつが「COS KYOTO」という会社。京都に拠点を置き、様々な人・技術・素材を結び合わせ、新たなプロダクト・コミュニケーションを創出(COS KYOTOサイトより引用)しています。代表の北林功さんは、このイベント開催の前にも日本発のプロダクトを紹介するため実際にポートランドへ足を運んでいたそうです。

ポートランドと京都の架け橋として活躍されている北林さんに、ポートランドの魅力や、ポートランドと京都との共通点、「POP UP PDX in Japan 2014」実施のきっかけについて伺いました。

京都とポートランドが持つ共通の「クラフトマンシップ」

--最初にポートランドに足を運んだきっかけは何ですか?

日本の素材や技術を用いた製品の可能性を探るために、クリエイティブシティと言われるポートランドに行けば「何か(チャンスが)あるかな」と思い、一週間ちょっと現地に飛んだことがきっかけです。しかし、生活様式に違いがあるため、プロダクトそのままでの販売では難しいが、日本の素材や技術は非常に高い評価を受けたので、これをポートランドのクリエイターへもっと知ってもらうことで可能性が広がるのでは、という話になりました。

写真:ポートランドの「ACE HOTEL」 一階には古い店舗をリノベーションしたバーがある

--京都とポートランド、似ているところが多くあるとのことですが。

まずは街のつくりが似ています。自然環境でいうと街を森が囲んでいて、中央に川が流れているところです。都市生活と自然が共存している理由は、ポートランドには「都市成長境界線」があり、その線の先の開発が制限されています。

そして街は碁盤の目になっている。古い建物も多い点、街中を自転車で移動する人が多い点、大企業だけでなく中小企業も多く、(企業の大小問わず)様々なところにチャンスを与えるという点も共通していると思います。

--現地で生活する人の性格という面ではいかがでしょうか。

ものづくりに真剣な態度が似ていますね。まさしく「クラフトマン」がいっぱいいます。メジャーなブランドが好きではない、という点も京都と近いかもしれません。メジャーなブランドがない、だからといって高くはない。自分好みのお店がちょっとずつある。欲しいものがなければ自分で作る、という印象です。

こういう文化が好きな人が全米から集まってきているのがポートランドです。

写真:DIYの聖地・「ザ・リビルディング・センター」で。北林さん(左)と名物店員Ella Rose Kellyさん(右)

--ポートランド独自の特徴についても教えて下さい。

多様性に対する寛容度が高いところです。僕らがいきなり現地に行っても、すぐに仲間扱いされ日本人に対しても差別が無いです。コンビニなんかでも「今日なにしてるの?」とフランクに聞かれることもありましたね。7、8割が白人で、人種の面では多様性があるわけではないですが、価値観に対する多様性はあります。

6月には3000人から5000人が真っ裸になって自転車をこぐイベントもあるのですが、裁判の判例でも、公衆の面前で裸になることが表現の自由として認められています。自己表現をすることに対して何も抵抗がなく、それぞれが独自のことを真面目にやっていると思います。

例えばサンフランシスコの場合は「結果を出したヤツが偉い」という印象を受けましたが、ポートランドでは身の丈でもそれはそれでリスペクトされるのだと思います。ある意味合わない人は合わずにすぐ出て行くし、合う人はずっといる街です。

ポートランドの職人の心を掴んだ京都

写真:現地の紙すき工房+活版印刷所。タイプライターを使用している

--「POP UP PDX in Japan 2014」は、そんなポートランドのものづくりに触れられるイベントでしたね。

京都や日本の工芸品をポートランドに持っていくイベントをしたいなと、うすうす思っていたのですが、逆にポートランドでお世話になった方から日本でそのようなイベントをしたいと先に提案がありました。

(東京・京都の2都市となった)出展は、「ビジネス目的なら東京だけでいいんじゃないか」という話も出たのですが、クラフト文化の交流という面が互いに重視され、京都も会場となりました(京都で開催のあと、東京での開催となったが)。出展したブランドのデザイナーのひとりが一週間滞在を延ばして京都に戻ってきたのです。京都案内をしていたら、その方がものすごく感銘を受けたようで、「こういう素材を使って製品を作りたい」という話がありました。たまたま案内の翌日に同じような素材を手に入れてきたので見せると、「これを使って作ろう」と動き出すことになりました。

--その方が感銘を受けた具体的な部分は何でしょうか。

まずは柄ですね。モダンだけど懐かしくて温かい。いかにも「日本っぽい」ものではなく、日本の素材を使いつつ、現地の生活にもマッチするものが好評でした。今後、アメリカで商品化される予定です。さらに秋にはポートランドで日本の商材を扱った展覧会をやりたいと思っています。

※写真提供:北林功

ライター:市來孝人

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▲編集元:TRiPORT