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あたたかい恋愛映画「SHIFT~恋よりも強いミカタ~」監督が語るフィリピンの本当の姿

2014年11月07日 16時16分 JST | 更新 2015年01月06日 19時12分 JST

こんにちは。TRiPORTライターのひろです。

みなさんは普段、どんな映画を観ますか? ラブストーリーやアクション、SFなどジャンルは数多くあり、洋画が好きな人もいれば邦画が好きな人もいます。好みは人それぞれですが、たまには映画を通じて、あなたがまだ知らない世界の価値観を覗いてみませんか?

今回は10月25日より公開している映画「SHIFT~恋よりも強いミカタ~」の監督として、フィリピンで注目を集めているシージ・レデスマさんと「僕たちはまだ、世界を1ミリも知らない」などの著者である太田英基さんの対談を取材しました。知られざるフィリピンの現実と映画の内容はもちろん、知られざるフィリピンの姿に迫ります。

映画監督までの道のりと作品について

太田:太田英基と言います。僕は4年前フィリピンのバギオに滞在し、3ヶ月間英語を学び、その後2年間世界中を旅していました。帰国してからはSchoolWithという会社を立ち上げて、フィリピン留学をサポートするレビューサイトを運営しています。留学する時に、語学学校を選ぶにも情報が山のようにあるのでそれらをレビュー形式で整理するというようなサービスです。

シージ:はじめまして。シージ・レデスマと言います。31歳です。マカティというところに住んでいます。映画監督になる前はマカティやグローバルシティのコールセンターで9年間働いていました。

太田:マカティやグローバルシティは良いところですよね。日本でいう六本木とか青山のようなイメージで、とても綺麗で治安も良いビジネス街です。ところで、どうして映画監督に転身されたんですか?

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シージ:もともと芸術や音楽、映画に興味がありました。しかしフィリピンでは、映画監督という職業は現実的な仕事ではありません。映画監督を生業にするのは経済的にも難しいので、仕事をするかたわら、あくまで趣味として活動していました。2012年に会社を辞めてフィルムスクールに通いながら制作を続け、フィリピンの映画祭で受賞したことをきっかけに本格的に映画監督として活動を始めました。

太田:実際に映画を拝見したのですが、日本では性の問題を扱いたがらないので、日本人がこの映画をみたら少しショックを受けるかも知れませんね。日本ではゲイやレズビアンの人はなかなか心を開きにくい環境だと思います。デリケートな問題をオープンにしているという点で、フィリピンやタイは少し先進的だと思います。僕がフィリピンで英語を勉強した時、その先生はゲイでしたが、彼はそのことを隠そうとせず、とてもオープンだったのが印象的ですね。フィリピンではどのくらいの割合の男性がゲイなんですか?

シージ:詳しくはわかりません。でも10年前に比べると性の問題にオープンになった人はかなり増えました。自分が抱えていることを打ち明けるのが、普通のこととして考えられるようになりました。それでもまだ抵抗を感じるような保守的な人もいるので、家族に打ち明けられない人も居るようです。

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太田:「SHIFT~恋よりも強いミカタ~」は、近くにいながらも届かない、相手への切ない恋心を描いた作品ですが、あの物語はシージさんの実体験なんですか? もしかして劇中の主人公の名前もその彼の名前とか?

シージ:はい、以前ゲイの男性を好きになった実体験をもとにしています。彼の名前に関しては秘密です。笑

太田:女性にとっては少し切ない物語かもしれないですが、この映画は性について考える良い機会になりますね。なぜフィリピンはこういったデリケートな問題に関してオープンなんでしょうか?

シージ:おそらくアメリカの影響を受けているからだと思います。LGBTの社会運動などが活発になっていることも関係しているのではないでしょうか。フィリピン人々のそういった問題に対する姿勢が変化したのも、ここ10年くらいだと思います。これは新しい文化のようなもので、普通の男性に見えて心は女性だったり、見た目が女性らしいゲイの人もいます。私が働いていたコールセンターでもゲイの人が多かったですね。

感情を大切にするフィリピンの人々

太田:語学学校というと、フィリピンは韓国の留学生が非常に多いですね。現在おそらく200~300の語学学校がフィリピンにはあると思いますが、その半分近くがセブにあります。セブは綺麗で治安も良いイメージがあるからマニラなどと比べても人気があるんです。3~4年前までは日本人が経営している語学学校はたった3校でした。

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太田:今ではその10倍にもなる3、40校近くが日本人経営の学校です。これは留学生が増えている証拠かと思います。「なぜ日本人や韓国人がフィリピンで英語を学ぶのか」といった切り口で考えてみるのも面白いかもしれません。僕が思うに、フィリピンの政府が歓迎して受け入れてくれていることも学校や留学生が増えた要因ではないかと思います。

シージ:フィリピンの人々にとっては授業も新聞も英語ですから、あまり英語に抵抗が無いですし、英語が話せると仕事にもつながりやすいので、そこから海外に勤務するパターンもよくあります。私の家族も海外で働いていますし。あと、アメリカの植民地だったからか英語を喋れる人の方が立場が上、という雰囲気は昔から少しあります。

太田:日本に来てみてどんなことを感じましたか?

シージ:街によって雰囲気がかなり違いますね。私は今回で日本に来るのは2度目で、前回は大阪に行きました。東京のほうが都会的で人も多く先進的なイメージです。

太田:なるほど。訪れる地域にもよりますが東京も大阪もさほど変わらないと思いますよ。僕はフィリピンの街並がとても特殊な感じがしました。特にマニラのマカティに行った時はあんなにフィリピンが発達していることを知らなかったので、全く想像と違いました。ビジネスエリアのすぐ近くにスラム街があったのも印象的でした。

セブに留学する日本人が増えているため、「セブ」という地名の認知度は上がっていますが、セブがフィリピンの一部だということは、実は知らない人も多いように感じます。日本人はフィリピンについてそれほど詳しくありません。監督はフィリピンのどんなところが誇れると思いますか?

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シージ:フィリピンは様々なことに対して受け入れる体勢が整っています。台風などの自然災害や経済的に苦しい状況でも生活に喜びや楽しみを見いだすのが得意なんです。食べるものが無い状況でも、旦那さんの浮気の方が気になったりするくらいで、感情の部分がとても豊かな人が多いように思います。

太田:日本人のイメージを覆すようなフィリピンスポットを紹介してください。

シージ:そうですね。マカティーやグローバルシティはかなり綺麗な町並みなので、フィリピンが田舎で発展途上だと思っている日本の方にとっては、かなりイメージと違うのではないでしょうか。観光地でいうとパラワン島やボラカイ島などがおすすめです。パラワンはとても静かで最後の秘境とも言われています。ボラカイ島はとても有名なホワイトビーチで最近開発が進んでいるパーティービーチです。

太田:では、この映画に興味を持っている日本人にメッセージをお願いします。

シージ:この映画に興味をもってくれてありがとうございます。世界中の人に観てもらえてうれしいです。さみしい気持ちを感じている人に少しでも暖かい気持ちになってもらえたらいいなと思っています。

太田:それでは、最後に映画にも出てきた質問を。シージさんは5年後、どうなっていたいですか?

シージ:そうですね。これから先も映画監督として、いい映画を作り続けていきたいと思います。

*Anna Koike「Back to Cebu〜2回目のセブ旅行〜part2

*Taka「フィリピン:マニラ→バギオ→ビガンを散策

*深瀬真和「フィリピン南部はダバオ市のリゾート パールファーム

[太田英基:1985年生まれ。フィリピンでの英語留学3ヶ月間を経験した後、約2年間、50ヶ国を旅しながら、現地のビジネスマンを中心とした様々な人たち1,000人以上と交流をする。その様子を宣伝会議、ビジネスメディア誠、東洋経済、AERA、マイナビなどに寄稿。2011年7月には旅中に東洋経済新報社から、『フィリピン「超」格安英語留学』を出版。近年人気急上昇中のフィリピン留学の仕掛け人と呼ばれる。帰国した2012年7月以降、各方面から講演依頼・執筆依頼をうける。2013年、School Withを立ち上げ、代表取締役に就任。]

[シージ・レデスマ:フィリピン・マニラをベースに活動する映画監督。マニラのセント・スカラスティカ・カレッジで心理学を学び、卒業後に9年間コールセンターで働いたのち、映画製作への道へ進む。現在、アジア・パシリック・フィルム・インスティチュート(フィリピン)に在学中。本作『SHIFT~恋よりも強いミカタ~』が、長編映画デビュー作となる。]

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ライター:Hiroto Kawasaki

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